中止にしましょう。
不正なネコ駆除計画。

ネコにぬれぎぬを着せないで

2021年7月、奄美大島は、徳之島、沖縄北部、西表島と一緒に、世界自然遺産に登録されました。特別天然記念物で絶滅危惧種のアマミノクロウサギ を始めとする在来種の生態系を守る長年の取り組みが実を結び、生息数が増えたことが高く評価されました。問題はその取り組みの中で生じました。マングースの駆除が威力を発し、アマミノクロウサギ は10倍と劇的にその数を増やしたにもかかわらず、その調査結果の発表を伏せて遅らせ、先にネコを新たな絶滅の要因、マングースの次のターゲットとして、駆除対象にしたのです。
実際にはアマミノクロウサギ の一番多い死因ロードキル(交通事故)への対策が優先されるべきなのに。

アマミノクロウサギが減った理由

少し細かく説明します。長年、世界自然遺産の登録をめざしていた奄美大島では、なんとかアマミノクロウサギを絶滅の危機から救いたいと思っていました。でもそれはネコのせいではありません。奄美大島にやってきた人間が、アマミノクロウサギを食用にしたことに加え、1979年、ハブ退治に持ち込まれたマングース30頭が、数万頭に増え、アマミノクロウサギを捕食したことが絶滅の危機の最大の要因でした。そのことに気づいた環境省が2000年、30人のマングースバスターズを結成し駆除に乗り出しました。このときアマミノクロウサギの頭数は、マングースの持ち込み以前の6000頭から4800頭にまで減っていました。2016年、マングース駆除が功を奏して、アマミノクロウサギは4万頭、約10倍にまで増えました。
ところがこのマングースを取り尽くし駆除の対象がいなくなった2018年、環境省はマングース駆除を完了するだけでなく、今度はネコがアマミノクロウサギを絶滅させるとして、ネコの駆除計画を発表し、予算を獲得しました。しかも環境省の、アマミノクロウサギが4万頭に増えている、という調査結果を伏せ、まだアマミノクロウサギには絶滅の危惧があるとして、マングースの次のターゲットとしてネコの駆除計画を発表したのです。
このような情報公開の恣意的な操作は、断じて許せるものではありません。

動物愛護管理法を軽視する環境省

世界自然遺産に登録された奄美大島で、増えたアマミノクロウサギの数が隠され、データの公表が意図的に遅らせられたことは、許されることではありません。ネコによるアマミノクロウサギ の絶滅の危機がいたずらに煽られ、公正な予算編成が阻まれました。その結果、科学的根拠が乏しい「ネコの駆除計画」が進められています。これは、国民の知る権利を侵害し、民主主義を大きく逸脱した、行政による不正行為です。野生動物保護を口実にした、動物愛護管理法の軽視です。これが動物愛護管理法の啓発と遵守を担当している環境省によって行われていることも、大問題です。

世界自然遺産になってよかったの?

もちろん。奄美大島が世界自然遺産に登録され、よかったです。アマミノクロウサギの保護活動が成功し、数が増え、高く評価され、登録に結びつき、よかったです。でもだからといって、次はネコ駆除計画に着手する、ということではありません。科学的根拠がありません。
また、アマミノクロウサギが増えたから、世界自然遺産に登録できたから、といって問題がすべて解決したわけではありません。現在アマミノクロウサギ の一番多い死因は、ロードキル(交通事故)です。アマミノクロウサギ の不慮の死を防ぐため、ロードキル対策に予算をつければなりません。また、アマミノクロウサギによる島の名産タンカンの木の食害も問題になっています。ひとと野生動物の共生を標榜するのであれば、タンカン農家へ食害を防ぐ柵の設置の補助金などの予算もつけるべきです。

寄付金は何に使われるの

どうぶつ基金は、この奄美大島のノネコ管理計画中止キャンペーンでお預かりした寄付金を、奄美大島での現地調査や、国会議員の理解を得るため調査に基づく専門家の説明会やロビイング、奄美大島のさくらねこ病院(現在は閉鎖中)など奄美大島のネコの獣医療費、この件を知ってもらうための広報費用、資料制作費用などに使い、一刻も早くこの、ネコのいのちをいたずらに奪う、奄美大島のノネコ管理計画を中止していきます。どうか、ご支援ください。

中止にしましょう。
不正なネコ駆除計画。
どうか、ご支援ください。