猫の多頭飼育!崩壊を防ぐ活動

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の特別措置法(特措法)や緊急事態宣言の
延長などにより大変な状況になってまいりました。
この影響が皆さまにも及んでいないかと心配をしております。

ご自愛のほど心よりお祈りいたしております。

そんな中どうぶつ基金には、多頭飼育からの救済を求める声や、
崩壊寸前の危機的状況を訴える声が全国から寄せられています。

今までギリギリの状態で多くの猫の世話をしてきた方が、解雇や廃業によって職を失い、
生活が崩壊してお世話ができなくなったというご相談が増えてきました。

そんな待ったなしの非常事態に対して、どうぶつ基金のスタッフは休日返上で対応しています。

2019年度どうぶつ基金が支援した多頭飼育救済は、

行政枠:23件 586頭
団体枠: 6件 162頭
  計:29件 748頭

でした。

2019年度は2018年度の14件292頭を倍増する実績でした。今年度はそれを更に上回ることが予測されます。

多頭飼育崩壊はなぜおこるのか?

多頭飼育崩壊とは、不妊手術など適正な処置を行わないまま繁殖を繰り返し、
適正飼育が出来なくなった状態を言います。

※適正飼育:十分な食事と十分な生活空間が与えられ、糞尿の始末、健康の維持など
衛生上安全に生活が送れる環境

多頭飼育崩壊に陥る人には以下のようなパターンがあります。

  • ブリーダー崩壊型
    人気の猫種、犬種を大量に生産し、流行が変わると経営困難になり飼育できなくなる状態
  • アニマルホーダー型
    動物が好きで、引き取り手がいない動物、捨てられた動物を保護し手放せなくなる状態。また、不妊手術を施さないことで異常繁殖を繰り返し、飼育困難に陥る状態
  • ボランティア二次崩壊型
    多頭飼育崩壊をした人や団体を救済し、自らの団体が飼養困難に陥る状態

アニマルホーダー型は、人の精神状況、生活の立て直しも考えて、
対処をしなくてはいけないのでとても注意が必要です。
そのため福祉専門職の方との協働が不可欠です。

多頭飼育崩壊はどのように起こるのか?

私が関わった多頭飼育崩壊は、目が開けていられないほどの刺激と、
鼻をつく悪臭、積み重なった糞、家中を歩くと靴下に染み込む尿、
どの現場も人も猫も快適に過ごせる環境とはいいがたいものでした。

どうしてここまでになってしまうのか?

<問題1:周囲の人に相談できない環境>
 多頭飼育をしていることで後ろめたい気持ちを抱き、その状況が露見しないようにしてしまいます。
 そうしているうちに異常繁殖を繰り返し、崩壊に陥ります。

<問題2:不妊手術が高額>
 猫の不妊手術には、一般的に15000円から30000円ほどかかると言われています。
 猫の数が増えてしまった後では、この不妊手術代金の費用負担が困難になってきます。

<問題3:飼い主の知識不足>
 猫がここまで繁殖力が高いと知らなかった、1年に何度も出産するとは思わなかった、という声が
 多く聞かれます。解決策を取らないうちにどんどん数が増えていき、お世話が行き届かなくなり、
 劣悪な環境になってしまいます。

多頭飼育崩壊はどのようにして発覚するの?

  • 子供が学校で臭いといじめられ、その後の調査にて発覚
  • 近所の住人から悪臭、鳴き声がうるさいなどの苦情で発覚
  • 飼いきれなくなった猫を中外自由飼いにし、近隣住人からの糞尿被害の苦情で発覚
  • 高齢の飼い主が、施設への入居や入院等によって発覚

など、近隣住人からの苦情による発覚が多数を占めています。
飼い主が専門機関に相談して発覚するという事例は極めて稀です。

多頭飼育崩壊の猫たちは、

  • 十分な栄養が取れずにやせ細り、感染症や病気にかかりやすい子が多くなります。
  • 近親交配により障害を持って生まれてくる子がいます。
  • オス猫はメス猫の発情を促すために、生まれた子猫をかみ殺すこともあります。
  • 十分な生活スペースが確保できないために、争いがおこり傷を負ってしまう子もいます。
  • 極度のストレス状態に置かれています。

取るべき対策

私たちは、多頭飼育崩壊は決して防ぐことのできない問題ではないと考えています。
発生源がしっかりとつかめている=おおもとの蛇口を占めて増えないようにする。
きわめてシンプルな解決策です。

しかしながら、行政は飼い主が判明している猫に支援を施すことは不可能な状況です。

そこで、どうぶつ基金では、行政と民間団体と獣医師と協働して、さらなる悲劇を生まないために、
多頭飼育救済枠を設けて、飼い猫の不妊手術も進めています。

どうしようかと考えているうちに、どんどん家の中で猫は増えていきます。
一刻も早く不妊手術ができるよう対処する必要があります。

多頭飼育崩壊は飼い主の責任です。私が会ったすべての飼い主さんは
「はじめに不妊手術さえしておけば…」と首をうなだれました。

しかしながら、崩壊してしまった以上、
猫も人も健全な生活が送れるようサポートをしていく必要があります。

写真は、どうぶつ基金によって全頭の不妊手術を行い、ボランティアさんの大掃除と継続した
見守りによって、ようやく猫も飼い主さんも清潔で安全な飼育環境を取り戻した現場です。

★さくらねこサポーターに参加しください。
https://www.doubutukikin.or.jp/kifu/

多頭飼育崩壊への緊急対応など、
いざというときにどうぶつ基金が迅速に活動できるのは、
皆様からの継続的なご支援があればこそです。

しかしながら、仕事の激減や解雇、廃業により、やむ負えず寄付を停止する方が
激増し、どうぶつ基金の資金不足が深刻な状況
になっています。

危機的な状況において最も被害を被るのは、いつも小さな弱者です。

トンネルの先に光が見えない大変な状況下ではありますが、どうか罪なき小さな命にも
心を寄せていただき、無料不妊手術継続のために継続したご支援を頂ければ幸いです。

一代限りの命をけなげに生きる猫たちへの支援は、こちらからお願いします。
https://www.doubutukikin.or.jp/kifu/

最近の投稿
  • 【さくらねこ便り】署名大成功!大阪市の街ねこ事業改正決定
  • 【さくらねこ便り】飼い主のいない猫への餌やりに関して条例に規定することについて
  • 【さくらねこ便り】今さら聞けない「地域猫活動」ってなに?③
  • 【さくらねこ便り】被災地の能登半島より便りが届きました/どうぶつ基金