鹿児島県伊佐市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)㉛
申請No.31
申請日:2020年11月18日
申請/実施責任者:伊佐市 福祉課保護係
場所:鹿児島県伊佐市
居住者:当事者(85歳、女)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:8頭(うち2頭はすでに手術済み)
手術日:12月14日
協力病院:帖佐ステラ動物病院
チケット発行数:6枚
手術頭数:6頭
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
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- 数年前、当事者宅にきていた野良猫1頭に餌を与えたことがきっかけである。
- その猫が当事者宅に住み着き、他の野良猫と交配して子猫を産んだことから猫が増え始めた。
- 当事者を担当していたケースワーカーから、飼育や不妊手術などの指導を受けていたが、管理できず8頭まで増えてしまった。
- 2019年9月初め、近所から「当事者宅の猫が餌を求めてうろついている」との情報提供あり。訪問してみると当事者が熱中症で倒れており、そのまま救急搬送→入院となる。
- 当初の入院予定は1週間程度であったため、当事者からの依頼を受けて福祉と支援者が入院中の猫の世話を行った。しかし、当事者の病状が悪化して寝たきり状態となり、10月下旬に主治医から在宅不可と伝えられる。
- 当事者が入院中に猫の妊娠が発覚し地元の動物愛護団体に相談。妊娠中の猫と捕獲できたメス猫、計2頭について避妊手術を実施した。
- 動物愛護団体や保健所から、他の猫にも不妊手術が必要であると指導を受け、保健所からどうぶつ基金の「さくらねこTNR事業」の助言を受ける。
- 当事者は生活保護受給者であり、自力ですべての猫の不妊手術費用を負担することができないため、多頭飼育救済支援の申請を行った。
- 手術後、当事者宅に戻った後にオス猫1頭が行方不明となってしまったが、メス猫1頭が12月末に里親に引き取られた。残り6頭は、人慣れしていなかったり病気があったり等の事情はあるが、このまま行政と支援者でお世話を続けながら、知人や友人、SNSなどを活用して里親探しを継続する。
- 現在も当事者は寝たきり状態で長期入院しており、今後は介護施設への入所を予定。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
12月14日 | 3 | 3 | 0 | 6 |
計 | 3 | 3 | 0 | 6 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
捕獲から手術までの一連の流れについて事前に実施者で計画を協議して臨んだ。当日捕獲の際に1頭が逃げ回って時間がかかったものの無事に全頭を捕獲。搬送や手術の手続きなどもスムーズに実施できた。
どうぶつ基金のおかげですべての猫に不妊手術を行うことができました。多頭飼育崩壊を食い止めることができ大変感謝しております。
どうぶつ基金スタッフコメント
ケースワーカーが以前より猫の飼育や不妊手術に関して指導を行っていたようですが、状況が改善されることはありませんでした。せっかく早い段階で多頭飼育崩壊の兆候を見つけても、有効な手段が取れなければ無駄に時間だけが過ぎていき、その間も猫は増え続けます。今回の件をふまえて、行政には実効性のある対策を検討していただきたいと思います。
当事者の入院によって取り残されてしまった猫たちは、行政と支援者が協力してお世話をしながら、里親探しを継続されるとのこと。多頭飼育崩壊でなくとも、飼い主の予想外の入院や施設入所によってペットが取り残される事態はあとをたちません。自分に何かあった時に愛犬や愛猫が取り残されることのないよう、飼い主はしっかりと考えておかなければいけません。
現場 | オス | メス | 性別不明 | 耳カットのみ | 合計 |