33_佐賀県多久市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.33
申請日:2021年8月26日
申請/実施責任者:多久市 市民生活課
場所:佐賀県多久市
居住者:当事者本人(女、66歳、無職)、配偶者(男、73歳、アルバイト)娘(女、46歳、就労支援を受けている)
居住環境:借家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:54頭(うち11頭は手術済み)
手術日:2021年10月3日
協力病院:ありあけペットクリニック
チケット発行数:43枚
手術頭数:24頭(社会福祉協議会により先に19頭手術を行った為24枚の使用)
申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)
- 20年前に娘の友人から譲り受けた猫2頭のを飼い始めた。
- 最初の2頭に不妊手術をせず室内外の出入り可能な状態で飼育し続けたことにより、現在、多頭飼育状態に陥っている。
- 当事者が福祉部局の社会福祉協議会に相談し発覚。
- 現在、当事者が体調を崩していて飼育管理が困難な状況であり、経済的な余裕もなく不妊手術ができない状態が続いている。
- 社会福祉協議会を通じてボランティア団体の支援を受けているが、経済的に全頭手術が困難であることから市へ協力依頼があり申請に至った。
- 手術実施までに時間を要し、これ以上の繁殖を防ぐため、社会福祉協議会の協力によってメス19頭の不妊手術を先行して実施。
- その後チケットを使用してオス24頭の手術を行い、全頭手術済となった。
- 手術後は完全室内飼育となり、これまでオスメスを分けて飼育していた状態が解消されたことで猫の居住スペースを大きくすることができた。
- また、糞尿の処理や部屋の清掃を適時行って悪臭を抑制するよう指導を行った。
- 今後は、ボランティア団体の協力を得ながら猫の譲渡先探しを行い、飼育頭数を減らしていく。
- 社会福祉協議会が、当事者の生活支援をしながら猫の適正飼育についても継続して確認することとした。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
10月3日 | 24 | 0 | 0 | 24 |
計 | 24 | 0 | 0 | 24 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
当事者は経済的に不妊手術ができる状況ではなかったため、今回の支援で全ての猫の手術を実施し繁殖を止めることができて良かったと考える。ボランティア団体からの支援と社会福祉協議会の生活支援の両方が欠かせないものであると実感した。
どうぶつ基金スタッフコメント
動物愛護管理部局と社会福祉部局の連携、そして官民の連携により支援がうまくいったケースです。まさに環境省の多頭飼育対策ガイドラインのお手本のような事例でした。
協力病院との手術日程の調整に時間がかかってしまったことで、手術実施までに新たに妊娠・出産する可能性もありましたが、社会福祉協議会の協力によってメス19頭のみをチケットに頼らず先に手術するなど、行政側の解決に向けた意気込みも感じました。社会福祉協議会が依頼した病院のご厚意で手術費用は発生していないそう!事情を考慮し、ボランティアでご協力いただいた動物病院様には感謝の言葉もありません。
今後も、社会福祉協議会が当事者家族へ生活支援を行うとともに、猫の飼育状況を継続して確認してくれますが、現場には現在も54頭の猫がいます。当事者家族は社会福祉協議会の力を借りて生活を立て直しつつ、ボランティア団体協力のもと猫の譲渡を進めていく必要があるでしょう。当事者にとっても猫たちにとっても、今回の支援が新しいスタートになればと心から願います。