71_鹿児島県鹿児島市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.71
申請日:2022年1月5日
申請/実施責任者:鹿児島市 生活衛生課 動物愛護管理係
場所:鹿児島県 鹿児島市
居住者: 当事者本人(87歳、女、無職)
居住環境:借家/集合住宅
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:30頭(申請時は29頭だったが、天井裏から1頭発見され30頭になった)
手術日:1月13日、17日、18日、20日、25日、27日、28日、31日、2月4日
協力病院:紫原動物病院
チケット発行数:24枚(成猫24頭分のみ申請。5頭は離乳前の子猫のため里親のもとで手術予定)
手術頭数:24頭
協働ボランティア名:NPO法人あんじゅりあん
申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)
- 当事者の入院により詳細は不明だが、野良猫を保護したり知り合いの飼い猫を引き受けたりしていたようである。
- 雄はケージ内、雌はフリーで室内飼育していたが、完全に雄雌を隔離できておらず交配していたと考えられる(詳細は不明)。
- 当事者から保健所に、持病および経済的事情により飼い猫の飼養が困難なため引き取ってほしいとの申し出があり発覚。
- 当初は10頭ほどとの話だったが、訪問したところ成猫約20頭を確認。
- 譲渡先を探すよう指導し、ボランティア団体に協力を依頼するとともに対応の検討をしていたが、相談から数週間の間に当事者が緊急入院。その際に子猫が生まれていたことが判明し、現在の頭数となった。
- 当事者の緊急入院により今後の飼養が困難と見込まれたが、猫の譲渡先を確保するまでボランティア団体が飼育環境を改善し、当事者に代わって飼養することになったため申請に至る。
- 予定していた成猫24頭は全頭手術を完了。申請後に天井裏から1頭発見されたため、この1頭については今後再申請を検討している。
- 当事者は施設へ入所することになり、猫は全頭ボランティア団体の飼養施設に保護された。今後、譲渡先を探していく。
- 猫の健康状態については、目やに、鼻水等の呼吸器症状や栄養不良が改善された。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
1月13日 | 0 | 2 | 0 | 2 |
1月17日 | 0 | 3 | 0 | 3 |
1月18日 | 0 | 3 | 0 | 3 |
1月20日 | 3 | 0 | 0 | 3 |
1月25日 | 1 | 0 | 0 | 1 |
1月27日 | 3 | 0 | 0 | 3 |
1月28日 | 3 | 0 | 0 | 3 |
1月31日 | 0 | 3 | 0 | 3 |
2月4日 | 3 | 0 | 0 | 3 |
計 | 13 | 11 | 0 | 24 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
当事者自身の緊急入院により、多頭飼育崩壊状態の自宅に猫が残されたが、どうぶつ基金の支援により申請分の全頭を手術でき、飼養状況の更なる悪化を防ぐことができた。また、ボランティア団体の協力のもと、飼養環境の改善を行い、当事者不在の自宅で3ヵ月間の長期にわたる飼養継続と健康管理を行えた。(現在、当事者は施設へ入所したため、ボランティア団体が猫を引き取って里親探しをしている。)
本件では、当事者の不在で頭数の把握が困難な状況下で捕獲が行われたため、申請後、新たに天井裏から1頭が発見され、出産したことが悔やまれるが、現在はストレスのない環境下で飼養されている。子猫については適切な時期にボランティア団体から里親に譲渡される予定。
どうぶつ基金スタッフコメント
多頭飼育に至った経緯など詳細は不明ですが、手術前の現場写真を見るといかに悲惨な状況であったか想像がつきます。小さなケージに何頭も押し込められ、床は糞尿まみれ、新鮮な水も、まともに食べられるご飯もない。そのような状態で生きていてくれたことが不思議なくらいです。
当事者自ら「引き取ってほしい」と保健所に申し出ていますが、その後の猫たちの行く末を少しも心配しなかったでしょうか。引き取り手のいない猫たちがどのような末路をたどるのか、その知識すらなかったでしょうか。
同じような状況で、支援の手が入ることなく命を奪われる子は数えきれないほどいます。本件の猫たちを「運が良かった」と片付けるのではなく、全国どこでもこのような支援が行われ命を救うことができる、そういった体制ができるのは一体いつになるでしょうか。