58_群馬県安中市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)  

申請No.58
申請日:2021年11月15日
申請/実施責任者:安中市 環境政策課
場所:群馬県安中市
居住者:当事者本人(86歳、女性、無職)、娘(60歳、無職)
居住環境:借家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:26頭
手術日:12月10日
協力病院:ふー動物病院(群馬)
チケット発行数:20枚(手術済み3頭、手術ができない幼齢猫3頭を除く20頭分を申請)
手術頭数:18頭(2頭捕獲できず)

申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)

  1. 最初は自宅で猫1頭を飼育していた。多頭飼育状態に陥るまでの期間は覚えていない。
  2. 近所の捨て猫や動物虐待を受けていた猫を、室内に入れて飼い始めたところ数が増えすぎて管理ができなくなった。
  3. 当事者の支援のため、社会福祉協議会の担当者が3~4年ほど前から家を訪ねていたが、猫のいる部屋には案内してもらえず。
  4. 野良猫に餌をあげていることは知っていたが、室内で多頭飼育していることは把握できておらず、当事者の娘より猫の相談を受け、初めて部屋を見せてもらい発覚。
  5. 2020年9月に近隣住民より糞尿の相談あり。市で現場を確認したところ、当事者宅の玄関前に複数のエサ箱を確認。野良猫にはエサを与えないこと、エサをあげるようなら室内で飼ってもらいたい旨話をする。この時点では、室内で多頭飼育していることは把握できておらず、啓発文書を手渡し口頭で注意を行った。
  6. 猫の状態を見ると、風邪をひいている猫や栄養不足で痩せている猫が複数確認でき、経済状況をみても手術費用の捻出は難しい。さらに猫が増えることは、猫にも当事者にも好ましくないため多頭飼育救済の申請を決定。
  7. 支援時、倉庫に空いていた穴を修復し、猫の居住スペースには毛布を複数枚かけて寒さ対策を行った。また、トイレの数を増やして散らかっていたゴミも片付けた。
  8. ボランティア団体からペットフードの寄付があり、栄養不足で痩せている猫が減少。隠れて姿を現さなかった猫も、姿を見せ体を動かすようになった。
  9. 現場にいた子猫4頭は動物愛護センターに引き取られたため、当事者宅に子猫は残っていない。この4頭の子猫は動物愛護センターからすでに譲渡され、新たな飼い主のもとで暮らしている。
  10. 未捕獲の2頭について、捕獲機を仕掛けるなどしているが姿を見せていない。ボランティア団体協力のもと、引き続き捕獲を試みている。
手術日 オス メス 耳カットのみ
12月10日 12 6 0 18
12 6 0 18

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
猫の頭数を正確に把握することができなかった。


どうぶつ基金スタッフコメント
野良猫にはエサを与えないこと、エサを与えるなら室内で飼うように」という指導は誤りです。全国の行政は、この指導が多頭飼育崩壊を生む原因の1つになっていることをきちんと認識すべきです。山梨県甲斐市の案件では、愛護センターの指導でそれまで家の外でお世話していた猫を家のなかに入れたことが多頭飼育崩壊につながりました。
また、福祉行政と動物愛護行政の連携が取れていればさらに早く発見できたかもしれません。多頭飼育崩壊の問題も飼い主のいない猫の問題も、解決するには民間だけではなく行政の力が必要なのです。全国の行政には、さまざまなケースに対応して得た知見を引き継いでいただき、ぜひとも主導的な役割を果たしていただきたいと強く願います。


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