82_埼玉県東松山市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.82
申請日:2022年2月22日
申請/実施責任者:東松山市 環境政策課
場所:埼玉県東松山市
居住者: 当事者本人(64歳、男、会社員)、母(91歳、無職)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:24頭
手術日:2022年3月14日、3月25日、3月27日
協力病院:堀どうぶつ病院
チケット発行数:24枚
手術頭数:10頭(8頭は支援前にボランティアの費用負担で手術済み、6頭が未手術となった)
協働ボランティア名:個人ボランティア
申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)
- 3年程前に野良猫を家に入れたことが飼育のきっかけである。当初は6頭だった。
- そこから何度も出産を繰り返し、頭数が増えていった。
- 近隣住民からの相談でボランティアが当事者宅を訪問して多頭飼育が発覚。ボランティアが訪問する半年ほど前、近隣住民からの通報で行政が訪問している。その際は、猫は5頭くらいとの話であったため、不妊手術を行い、飼い猫であるなら室内飼育をするよう指導が行われていた。
- 想定以上に猫の数が多く、子猫の生育状況もよくない状態。また、当事者による全頭手術は、金銭的にもこれまでの経緯からも早急な対応が見込めないと判断したため申請に至る。
- 繁殖シーズンに入り妊娠している猫が複数いたため、チケット発行前にボランティアの費用負担によって8頭を手術。チケットによる手術は10頭で、14枚のチケットが未使用となった。
- 3頭が捕獲できず未手術となったほか子猫2頭が死亡。子猫1頭は健康状態により手術中止となり、ボランティア宅に保護された。
- 未手術の成猫3頭は今後も継続して捕獲を試みる。捕獲でき次第、ボランティアが費用負担して手術予定。
- 保護、死亡の子猫3頭を除いた21頭は当事者宅に戻り、当事者が飼育を継続する。ボランティアが保護した1頭については検討中。
- 支援時に市職員と当事者で協力して片付け・清掃を実施。衛生環境が多少改善された。
- 目ヤニなど病気になっていた子猫は、ボランティアの手持ちの薬などで対応して体調が良くなった。また、ワクチンやノミダニ駆除を行ったことで、猫の健康状態の改善につながった。
- 頭数抑制を図ることができたうえ、片付け・清掃により飼育スペースが少し広くなり、今後の清掃もしやすくなった。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
3月14日 | 1 | 2 | 0 | 3 |
3月25日 | 0 | 1 | 0 | 1 |
3月27日 | 5 | 1 | 0 | 6 |
計 | 6 | 4 | 0 | 10 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
ボランティアの早急な対応によってほとんどの猫の手術が完了したが、まだ未手術の猫が残っているため自己評価は70点とする。今後、当事者宅の衛生状態の改善や、周辺地区の野良猫のTNRなどの課題も残っており、引き続き支援を続けていきたいと思っている。
どうぶつ基金スタッフコメント
ボランティアが近隣住民から相談を受けて訪問する半年ほど前、行政が近隣住民からの通報によって当事者宅を訪れていました。この際は、猫は5頭ほどという話を受けて、不妊手術や室内飼育の徹底のみを指導して引き上げています。恐らくこの時点で5頭をはるかに超える数の猫がいたはずで、ここで現場確認をしなかったことが悔やまれます。
頭数確認において、多頭飼育当事者の話は絶対に鵜呑みにしてはいけません。猫が増えすぎて当事者自身が頭数を把握できていないケースもありますが、頭数を少なく申告する、お気に入りの子だけ隠して手術させないようにする、といった当事者も少なくありません。
多頭飼育崩壊の解決方法は全頭手術のみです。1頭を見逃せば元の状態に戻るどころか、さらに状況が悪化する可能性があります。支援を無駄にしないためには、頭数確認は当事者の自己申告ではなく必ず行政が自分自身で行うことが絶対です。