8_群馬県藤岡市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.8
申請日:2022年5月23日
申請/実施責任者:藤岡市 環境課
場所:群馬県藤岡市
居住者:当事者本人(57歳、男、無職)、配偶者(58歳、女、無職)、次女(28歳、無職)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:38頭
手術日:6月9日、24日、7月23日
協力病院:ふー動物病院 群馬分院
チケット発行数:38枚
手術頭数:32頭(6頭が行方不明で手術できず。発見された場合は当事者が費用を負担して手術予定)
協働ボランティア:NPO法人群馬わんにゃんネットワーク
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 13年ほど前、当時小学生の三女が通っていた学校前に捨てられていた猫を1頭拾ってきた。
- その後、飼い主のいない猫を保護したり、家に住み着いた猫が出産するなどして徐々に頭数が増え、現在は40頭弱となっている。
- 近隣住民から猫の糞尿被害の相談があり、原因と思われる当事者宅を訪問して多頭飼育が発覚。
- 当事者は猫砂を自宅敷地内に複数設置しており、近隣への糞尿被害は自分の猫ではないと主張していた。しかし、衛生環境も良いとは言えず、当事者は外飼いしている猫について管理しきれていない。野良猫に対する無責任な餌やりをやめ、猫の頭数を飼育可能範囲内に留めるよう助言し、糞尿被害の原因になっている可能性もあるので改善を指導した。
- 当事者は経済的な理由から不妊手術を受けさせることできなかったが、不妊手術に対しては理解がある。また、近隣への影響を考えると現時点で対応するべき案件だと考え申請に至る。
- 現場の猫の総数は38頭と申請したが、室内外を行き来している猫6頭が現場に戻らず行方不明になっていることが判明。この6頭が未手術となってしまったが、現時点で確認している32頭は全頭手術が完了した。
- 支援終了後もボランティア団体が行方不明の6頭を探しているが見つかっていない。当事者との話し合いにより、今後もボランティア団体が現地確認を継続し、発見された場合は当事者の費用負担で不妊手術を行う予定である。
- 手術済みの32頭は全頭が当事者宅に戻り、引き続き当事者が飼育を継続する。
- 当事者に対しては餌の管理や衛生環境に配慮するようアドバイスしており、現在のところきちんと守られている。不妊手術以外のケアも行われたことにより、猫の健康状態も良好である。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
6月9日 6月24日 7月23日 |
12 | 18 | 1 | 31 |
計 | 12 | 18 | 1 | 31 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
NPO法人の活動について理解があまりない当事者であったが、市の職員が先に現地確認と事業の説明を行ったことで、話を円滑に進めることができた。ボランティア団体からも「行政が間に入ったことでやりやすかった」と言っていただけた。現状、確認できている猫全頭に不妊手術を実施することができ、自己評価は90点としたい。
どうぶつ基金スタッフコメント
行き場のない猫を保護するなど、猫への優しい気持ちが始まりだったのだと思います。ただ、保護して飼う限りは飼い主としての責任が生じます。不妊手術をすることはもちろん、適切な飼育環境を整え、ケガや病気があれば病院に連れていく-。飼い主として「当たり前」のことができないのであれば飼ってはいけないのです。
飼い主としての責任は、周囲の人に対する責任だけではありません。飼い主は、自分に命を預ける猫や犬に対して何よりも大きな責任があります。手術済みとなった32頭は現場に戻り、これからも当事者家族とともに暮らします。当事者家族には、32個の命一つ一つと向き合い、彼らが最期まで健やかに過ごせるよう、今度こそその責任を果たしてほしいと心から願います。