11_長野県坂城町多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.11
申請日:2022年6月3日
申請/実施責任者:坂城町 住民環境課
場所:長野県埴科郡坂城町
居住者:当事者(68歳、女、無職)、長男(36歳、会社員)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:45頭
手術日:7月22日、23日、8月28日
協力病院:しんけん動物病院
チケット発行数:40枚(手術済み5頭を除く40頭分を申請)
手術頭数:30頭(10頭分が未使用となった。理由については概要を参照のこと)
協働ボランティア:ふくねこさかき
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 現住居に転入した10年前、1頭の猫を飼育し始めた。
- 不妊手術をせずに飼育していたことから繁殖し、10年で現在の頭数まで増えてしまった。
- 同居家族とは生計を別にしており、当事者の生活は困窮している。不妊手術の費用を捻出することが難しく手術済みの猫は5頭しかいない。当事者の収入は年金のみ、その半分が猫の餌代等に充てられている。同居家族の経済援助は受けられない状況で、現在は福祉部局の支援を受けながら生活再建を図っている。
- 当事者の支援を行っている福祉部局からの情報提供により多頭飼育状態であることを把握した。手術済みがすべてオスだったことから、メスから不妊手術を実施するよう指導。また、野良猫への餌やりもやめるよう注意した。
- 当事者が生活困窮から脱却するには、猫をこれ以上増やさないことが先決であると考え申請を決定。
- 手術対象40頭のうち30頭が手術済みとなった。高齢のため獣医師判断により1頭が手術対象外となったほか、緊急で不妊手術を行った猫が1頭、手術前に死亡した猫が1頭、屋外飼育されていた猫のうち7頭が戻らず(他地区に移動したと思われる)、10頭分のチケットが未使用となった。
- 飼育環境はもともと良好であったが、捕獲時に部屋の清掃を行ってノミ等の駆除薬を散布したことによりさらに衛生環境が向上。猫にもノミダニ駆除薬が投与され体調が改善された。
- 高齢猫については今後も手術は実施しない。他地区へ移動したと思われる7頭が戻ってきた場合は、ボランティア団体により不妊手術を実施する予定。
- 当事者と猫は、このまま同じ場所に住み続ける。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
7月22日 | 2 | 8 | 6 | 16 |
7月23日 | 5 | 5 | 1 | 11 |
8月28日 | 3 | 0 | 0 | 3 |
計 | 10 | 13 | 7 | 30 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
町に制度および財源がなかったため、どうぶつ基金を活用させていただいて多頭飼育の方を救済することができた。ただ、獣医師の費用面での負担が大きいことや、多頭飼育以外でも不妊手術の普及・啓発が必要なことから、今後は町単独での補助制度創設の検討が必要である。
どうぶつ基金スタッフコメント
「飼育環境はもともと良好」とのことですが、確かに支援前の写真を見てもゴミの散乱等はなく猫が過密状態になっている様子も見受けられません。最初に不妊手術さえしていれば、どこにでもいる「猫を飼っているご家庭」として、人も猫も穏やかに暮らせていたのではないでしょうか。
未手術の高齢猫が1頭、他地区に移動したと思われる未手術の猫が7頭いて今後も注意は必要ですが、今回の支援でひとまず猫の繁殖は止まりました。当事者は、行政のサポートを受けながら今後の生活再建を考える余裕が少し生まれたと思います。これからも一緒に暮らす猫たちが少しでも幸せでいられるように、ここでしっかりと生活を立て直し、飼い主としての責任を果たしていただきたいと思います。