42_群馬県渋川市多頭飼育救済支援レポート(行政枠) 

申請No.42
申請日:2022年11月4日
申請/実施責任者:渋川市 環境森林課
場所:群馬県 渋川市
居住者:当事者本人(65歳、女、無職)、夫(70代、パート)、長男(40代、サービス業)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:38頭(35頭と申請するも実際は38頭であった)
手術日:12月10日、25日、26日
協力病院:ふー動物病院 群馬分院
チケット発行数:35枚
手術頭数:35頭(チケットが不足した3頭についてはボランティアの費用負担により手術済み)
協働ボランティア:NPO法人群馬わんにゃんネットワーク

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 2017年に転居した際、家の前の納屋に住み着いたメス猫が出産。1頭も不妊手術することなく餌をあげ続けた結果、数年後には30頭ほどになった。
  2. 当事者が困り近くに住む自治会長に相談し、自治会長のアドバイスで市役所に相談したことから発覚。
  3. 子猫の健康状態が大変悪いため受診すること、餌皿の衛生管理、毎日の飲み水の取り替えを指導。また、猫の頭数に対して餌の量が少なすぎるため、餌の量を増やすことも指導した。
  4. 当事者本人は無職で夫もパート、同居している長男も生活費の支払い等で経済的に困窮しており、当事者家族に手術費用を負担することは困難である。また、猫の多頭飼育(室外飼育)によって周辺の生活環境が悪化していることから申請に至る。
  5. 35頭で申請していたが捕獲時に38頭と判明。35頭はチケットを使用し、チケットが不足した3頭についてはボランティア団体の費用負担によって全頭の不妊手術を完了した。
  6. 猫は全頭当事者宅へ戻り、当事者がこのまま飼養を続ける。
  7. 猫の生活スペースである庭を清掃して衛生環境は改善している。また、ボランティア団体が費用を負担してケガや風邪の治療等を行ったことで猫の体調も回復した。適切な餌やり等を指導していくことで、さらなる飼育環境の改善につなげたい。
手術日 オス メス 耳カットのみ
12月10日 0 4 0 4
12月25日 6 19 0 25
12月26日 4 2 0 6
10 25 0 35

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
今回、多頭飼育救済枠チケットを利用して不妊手術を実施したことで、さらなる頭数の増加を防ぐことができました。今後も、飼育環境を清潔に保つことや適切な餌やり等を指導していくことで、状況を改善していく必要があると思われます。


どうぶつ基金スタッフコメント
2017年から約5年で現在は38頭。通常であればもっと頭数が増えていてもおかしくありません。これまでにどれだけの数の子猫が亡くなっていったでしょうか。自分が飼っている猫の頭数さえも把握していない当事者は、そのことにも気がついていないでしょう。ひとまず繁殖を止めることには成功しましたが、行政の報告にもあるように、今後は飼育環境のさらなる改善が求められます。行政による指導やボランティア団体による見守り等を継続していく必要があると考えます。
必要な世話を怠る、ケガや病気の治療をせずに放置する、充分な餌や水を与えないなど、本件をはじめとする多頭飼育崩壊現場で起きている「ネグレクト」は立派な虐待行為です。明文化されたことで行政も指導しやすくなった面はあるかもしれませんが、実効性のない指導は時間を浪費するだけで意味がありません。行政と民間、それぞれができることをうまく組み合わせながら、実効性のある具体的な解決策を模索する必要があります。環境省のリーダーシップに期待したいところですが、何十年も先になりそうですね。


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