41_長野県山ノ内町多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.41
申請日:2022年11月2日
申請/実施責任者:山ノ内町 健康福祉課
場所:長野県下高井郡山ノ内町
居住者:当事者本人(47歳、女、製造業)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:23頭(30頭で申請するも実際は23頭)
手術日:2022年12月2日、2023年1月12日
協力病院:しんけん動物病院
チケット発行数:30枚
手術頭数:21頭(総数が23頭であったこと、1頭は手術済み、1頭捕獲できずで9枚未使用)
協働ボランティア:動物愛護会北信濃支部
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 20年以上前、1頭の野良猫を飼い始めた。
- 猫は室内外を自由に出入りしており、集まってきた近所の野良猫にも餌をあげていた。最初に飼い始めた猫が近所の野良猫と交配して一気に数が増えた。
- 近隣住民から「何年も前から猫が家の敷地内に入って糞や尿をしていき迷惑している」との苦情があり発覚。
- 当事者に対し、不妊手術を行う、保健所のホームページで里親募集を行い飼育頭数を減らす、完全室内飼いにするか家の外に猫用トイレを設置する等の指導を行った。
- しかし、当事者の収入では猫の餌代だけで精一杯であり、手術費用を捻出することは難しく頼れる親族もいない。保健所や愛護団体等の協力を得て譲渡による飼育頭数減を目指すが、まずは、早急に不妊手術を実施して繁殖を止めたうえで譲渡等に取り組みたいと考え申請に至った。
- 現場の猫は全部で30頭という申請だったが実際は23頭だった。そのうち1頭が手術済み、1頭が捕獲できず9枚未使用。捕獲できなかった1頭については、外に出たまま戻ってこないため手術の目途が立っていないが、残る22頭は全頭手術済みとなった。
- 9頭が当事者宅に残り、子猫4頭は譲渡が決定。残る10頭は保健所が引き取り譲渡先探しを実施。現在9頭がすでに譲渡済みで、残る1頭も引き続き譲渡先を探している。※5/29追記。残っていた1頭も5/24日に譲渡され、保健所が引き取った10頭はすべて譲渡された。
- 飼育環境は多少改善がみられるが、室内にはゴミが散乱し、糞尿やゴミの臭いが家屋全体に充満している状態。トイレについては適切な数が設定されている。当事者の意向もあって支援後も猫は室内外を自由に行き来しており、運動スペースは確保できている。
- 当事者宅の猫が23頭→9頭まで減ったことで猫同士のケンカが少なくなり、ストレスも軽減されたようだ。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
12月2日 | 10 | 6 | 0 | 16 |
1月12日 | 2 | 3 | 0 | 5 |
計 | 12 | 9 | 21 | 21 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
今回の支援で今後の繁殖を防ぐことができた。また、猫部屋を清掃して猫トイレを設置することができた。しかし、当事者とのコミュニケーション不足や金銭面の問題から家全体の完全清掃までは実施できなかった。今後は定期的に当事者宅を訪問して室内等を清潔に保つように指導し、引き続き飼育環境の改善を図っていく。
どうぶつ基金スタッフコメント
支援後の写真を見ると、飼育環境に改善が見られます。町や保健所、ボランティアのご尽力もあって14頭が新しい家族を見つけ、当事者宅には9頭が残るのみとなりました。頭数が大きく減ったことで猫のストレスも軽減されています。
未手術のまま逃げ出した1頭が戻ってきた場合の対応と、当事者が同じことを繰り返さないよう注意することが重要ですが、今後も行政による定期的な訪問が実施されるとのこと。引き続き、当事者とのコミュニケーションを途絶えさせることなく、見守りと指導を行っていただきたいと思います。当事者の負担も減っており、指導を継続することで飼育環境のさらなる改善も見込めるでしょう。