56_埼玉県所沢市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.56
申請日:2023年1月12日
申請/実施責任者:所沢市 生活環境課
場所:埼玉県所沢市
居住者:当事者本人(73歳、女性、パート)、夫(76歳、定年退職者)、孫(28歳、男性、会社員)、孫(19歳、女性、会社員)
居住環境:借家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:26頭
手術日:2022年1月28日、3月23日
協力病院:おおにし動物病院
チケット発行数:22枚(手術済み1頭、子猫3頭を除く22頭分を申請)
手術頭数:17頭(支援実施前に5頭が譲渡されたため)
協働ボランティア名:個人ボランティア
申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)
- 2017年、当事者の娘が勤務先の周辺にいた猫を3頭連れて帰ってきた。
- その3頭が6年間でどんどん増えてしまった。不妊手術をしなければならないという危機感はあったが、生活が苦しく手術費用が工面できなかったため対応していなかった。
- ボランティアが当事者宅周辺でTNR活動を行っていた際に、捕獲したい猫とは別の猫が捕獲された。当事者宅の猫ではないかとの情報があり、訪問して話を聞いたところ、捕獲された猫を含めて室内で多数の猫が飼育されていることが発覚した。
- 猫の適正飼育・管理について指導を行うも、宅内には猫が溢れかえっており放置するとさらに頭数が増えてしまう。環境の悪化も考えられ、当事者が手術費用を捻出することが難しいことから申請に至った。
- 総数26頭のうち、手術済みの成猫1頭とボランティアが保護している子猫3頭を除く22頭分を申請。しかし、支援前に5頭が譲渡され、チケットによる手術は17頭となった。
- 最終的にボランティアが、子猫3頭(未手術)+支援前に譲渡した成猫5頭(未手術)+手術済みの成猫3頭の合計11頭を保護(未手術の猫についてはすでに手術済みである※2023年6月確認)。残念ながら1頭が亡くなり、当事者宅には14頭が残っている。
- 飼育頭数が減ったことでスペースにやや余裕が見られる。玄関先にトイレも設置された。また、ボランティアからマット等の支援があり、以前よりは暖かく過ごせている。ボランティアの費用負担により、手術の際にケガの治療や抜歯などの医療処置が行われたほか、全頭にコンべニアの注射を行い風邪の免疫ができた。
- ボランティアが譲渡先探しを継続し、当事者の飼育頭数を5頭までにすることを目指していく。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
1月28日 3月23日 |
9 | 7 | 0 | 16 |
計 | 10 | 7 | 0 | 17 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
多頭飼育現場の猫の頭数、飼育環境等の状況を掴むのに時間を要してしまい、その間に子猫が数頭生まれてしまった。しかしながら、ボランティアの協力のおかげでスムーズに手術を実施することができ、譲渡先も複数見つかるなど多頭飼育現場の大きな環境改善に繋げることができた。
どうぶつ基金スタッフコメント
猫の繁殖力は非常に高く、不妊手術をせずに複数頭を飼育すると確実に頭数は増えていきます。本件も最初の3頭に不妊手術をしていれば、このような事態になることはありませんでした。そして、当事者が不妊手術の重要性を理解しているのであればなおさら、もっと早くにSOSを出していただきたかったと思います。
ボランティアによって発見された本件は、その後スムーズに行政に繋がり、今回の支援によって解決に向け大きく前進しました。行政の報告にもあるように、ボランティアの方の協力を得られたことが大きかったと思います。当事者宅の猫の頭数は半減し、飼育環境の改善も進んでいるようです。最終的に5頭程度を残すことを目標に、今後も譲渡先探しが継続されるとのこと。猫も人も穏やかな暮らしを取り戻す日は近いと信じたいですね。