9_群馬県藤岡市環境課多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.9
申請日:2023年4月26日
申請/実施責任者:藤岡市 環境課
場所:群馬県藤岡市
居住者:当事者本人(男性、66歳、無職)
居住環境:貸家/アパート
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:15頭
手術日:5月12日
協力病院:ふー動物病院群馬分院
チケット発行数:15枚
手術頭数:9頭(子猫6頭が幼齢のため手術できず)
協働ボランティア:NPO法人群馬わんにゃんネットワーク

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 数年前、自宅前に捨てられていた子猫2頭(オスとメス)を保護して飼い始めた。
  2. 経済的に余裕がなく不妊手術をしなかったため出産を数回繰り返し、現在は子猫を含め15頭となっている。
  3. 当事者は介護サービスを受けており、その関連部署から猫に関する相談があった。同時期に地元区長からも同様の相談があり、現地を確認したところ多頭飼育が発覚した。
  4. 身体的な理由もあって住居内の衛生環境は良くなく糞尿の臭いが漂っている。猫の健康状態や周囲に与える影響も考慮してトイレを設置するよう指導。
  5. 猫の数が増えると衛生環境が悪化し経済的負担も増加すること、このままでは多頭飼育崩壊に至る恐れがあることを当事者に伝え、不妊手術の重要性について説明。
  6. しかし、介護サービスを受けている独居の高齢者で不妊手術の費用を負担することは困難と判断、このままでは将来的に崩壊が起きる可能性が高いため申請に至る。
  7. 15頭のうち成猫9頭は手術を行ったが、子猫6頭は幼齢のため手術できず。このうち1頭は支援前に亡くなってしまったが、残る5頭をボランティア団体が保護。今後、然るべき時期にボランティア団体が費用を負担して不妊手術を行う。
  8. 成猫9頭は当事者が飼養を継続する。手術後のケアによって猫の健康状態は改善された。餌のやり方などの飼育方法について当事者に助言・指導を行い、こちらも多少改善されている。
  9. 支援前は室内に物があふれていたが、当事者の同意が得られた物については、猫を捕獲・手術している間に処分して片付けを行った。
手術日 オス メス 耳カットのみ
5月12日 5 4 0 9
5 4 0 9

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
子猫を除く全頭に不妊手術を実施することができ、関係部署と協力して当事者の環境を改善することができた。


どうぶつ基金スタッフコメント
捨てられた猫に対する優しい気持ちから始まった飼育だったのだと思います。保護した猫が雌雄1頭ずつであったことを考えれば、早い時期に不妊手術をしておくべきでした。猫の繁殖力の高さと不妊手術の重要性についての理解が未だ進んでいないことを実感せざるを得ません。
支援前に子猫が1頭亡くなってしまいましたが、残る5頭はボランティア団体に保護されました。9頭の成猫はこれからも当事者と暮らします。飼育環境は支援前より少し改善されたようですが、飼育方法の指導や助言、飼育環境の改善等について、引き続き行政が関与していただくことを求めます。
最近、本件のように福祉関係者からの相談をきっかけに多頭飼育崩壊が発覚するケースが増加しています。犬の多頭飼育は鳴き声などによって比較的早く周囲が気付くことができますが、今回のように、完全室内飼育で起こる猫の多頭飼育は家の中に足を踏み入れるまでその実態は正確には把握できません。福祉関係者は当事者の自宅に立ち入ることが多く、情報共有の体制を構築しておくことが早期発見の鍵となるでしょう。


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