18_鹿児島県鹿児島市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.18
申請日:2023年6月1日
申請/実施責任者:鹿児島市 生活衛生課
場所:鹿児島県 鹿児島市
居住者:当事者本人(80歳、女、無職)、長男(61歳、パート)
居住環境:貸家・戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:16頭
手術日:6月19日
協力病院:ル・オーナペットクリニック
チケット発行数:15枚(幼齢で手術対象外の子猫1頭を除く成猫15頭分を申請)
手術頭数:15頭
協働ボランティア:NPO法人 犬猫と共生できる社会をめざす会鹿児島
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 15年ほど前に1頭の野良猫を保護し飼い始めた。10年前、保護した猫1頭を連れて現在の家に引っ越してきた。不妊手術をしないまま室内外を自由に行き来させていたため、近所の猫と交配し繁殖。その後も繁殖を繰り返し、多頭飼育状態に陥る。
- 近隣住民から、「猫を屋外で多頭飼育している家があり、糞尿被害で困っている。」との相談があり、当事者宅を訪問し、発覚。
- 当事者本人は、不妊去勢手術を実施したいという気持ちがあるものの、経済的余裕がなく、高齢で身体も不自由である。また、同居する長男は猫に無関心で協力も得られないため、当事者一人では全頭の実施は困難であると判断し申請に至る。
- 16頭中チケットにて15頭手術済み。当事者宅で継続して飼養する。子猫1頭(現在生後2か月齢)は譲渡の取組を行い、譲渡先が決まらずに手術可能な月齢になった場合は、追加のチケット申請を行う予定。
- 屋外にトイレを設置し、周辺の糞についても当事者本人が可能な範囲で拾うようになった。糞の処理を行うようになったことで、以前よりも衛生的となり、猫たちは穏やかに過ごしている。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
6月19日 | 7 | 8 | 0 | 15 |
計 | 7 | 8 | 0 | 15 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
高齢の当事者は経済的な余裕がなく、家族の協力も得られず、多数の猫の不妊手術を実施できずにいたが、どうぶつ基金の支援を受け、これ以上の繁殖を防ぐことができた。当事者宅の探知のきっかけは近隣からの苦情であったが、短期間で全頭の手術が完了したことで、周辺住民も安堵している様子がみられた。これからは、近隣から猫を見守ってもらえるよう、糞尿の処理を続けるよう指導していく。
どうぶつ基金スタッフコメント
最初は猫1頭であっても、未手術で室内外を自由に行き来できるようにしていたことで、あっという間に頭数が増え多頭飼育崩壊の状況に陥りました。高齢の親が多頭飼育崩壊を起こしているのに同居する子が無関心で一切関与していないという状態は全国でも多く起こっています。近隣の苦情から発覚したとはいえ、現時点で行政の支援があったことで、これ以上の多頭飼育になりかねない状況を回避できたと言えるでしょう。現場の成猫15頭は全頭手術済みとなりました。未手術の子猫1頭も手術可能な時期になっても譲渡先が決まらない場合はチケットの再申請を行うなど今後の目処が立っています。当事者は高齢ということもあり、行政には指導や見守りを継続していただきたいと思います。