27_宮城県気仙沼市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.27
申請日:2023年7月7日
申請/実施責任者:宮城県気仙沼保健福祉事務所
場所:宮城県 気仙沼市
居住者:当事者本人(78歳、男、無職)、配偶者(73歳、無職)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:18頭
手術日:7月19日
協力病院:フォルテ動物病院
チケット発行数:4枚(成猫4頭分を申請。子猫14頭は行政を通してボランティアへ譲渡予定のため)
手術頭数:4頭
協働ボランティア:個人ボランティア
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 2018年に当事者の孫が子猫1頭を保護。市営住宅に住んでいて猫を飼えない孫から、保護した子猫を預かったことが飼育のきっかけである。
- 飼育し始めてから3年ほどはリードを着けて散歩させる程度であったため妊娠することはなかった。2年ほど前にリードを外して室内外の行き来を自由にしたことで妊娠・出産し、成猫4頭(すべてメス)となった。
- 2023年2月に当事者より猫の引取・処分に関する相談を受けたことから発覚。
- その時点で成猫4頭、子猫9頭(3月生まれ)を確認。子猫が2カ月くらいに成長するのを待って引き取ろうとしていたが、当事者の話が二転三転しするため話を進められずにいた。
- その後、新聞に掲載された子猫の里親募集をきっかけに当事者の娘と連絡が取れたが、5月にも出産して子猫が18頭に増えていたことが判明。うち4頭はすでに譲渡されていたものの、成猫4頭+子猫14頭の計18頭が残っていた。
- 当事者に対して室内での飼育と不妊手術の実施について指導。しかし、配偶者が認知症で猫を外に出してしまい室内飼育が徹底できず、近所の動物病院に相談したが断られたとのこと。
- 餌付け者が多く多数の猫が生息している地域のため、室内外を行き来させるのであれば不妊手術は必須であるが、当事者は生活に困窮しており手術費用の捻出が難しい。連絡を取っている当事者の娘も生活が苦しい状況であることから申請を決定した。
- チケットによって手術済みとなった成猫4頭は発情がなくなり落ち着いている。当事者宅での飼養継続が困難であった子猫14頭については、1頭が当事者の娘の知人へ譲渡され、残り13頭は気仙沼保健福祉事務所が保護した。目ヤニが出たり、餌不足のためか発育が遅い子猫もいたが、気仙沼保健福祉事務所が保護したことにより健康状態は良好となった。
- 今後も室内外飼育となるため庭にもトイレを設置。また、当事者宅の飼育部屋は畳の一部が尿で汚れて臭いが発生していたため、床にクッションシートを敷いて清掃しやすくした。
- 子猫が多数いたときは運動スペースが不足していたが、成猫4頭のみになったことで1頭あたりのスペースが増え、猫がリラックスできるようになった。3段ケージを設置したことで部屋内でも上下運動できるようになった。
- 気仙沼保健福祉事務所が保護した13頭のうち5頭はボランティアへ、2頭は一般の方へ譲渡済み。6頭が残っているが、うち3頭は後日ボランティアへ譲渡予定である。残りの3頭についても譲渡先探しを継続している。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
7月19日 | 0 | 4 | 0 | 4 |
計 | 0 | 4 | 0 | 4 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
手術後、猫たちは外に出てもすぐに家に戻ってくるようになったとのこと。また、オスの野良猫が家に寄り付かなくなってよかったと当事者に感謝された。
子猫の数が多く当事者家族の負担が増大していたが、飼養する猫を成猫4頭のみとすることによって当事者家族の負担は大幅に減少した。保護した子猫の譲渡先探しは継続して行っていく。
どうぶつ基金スタッフコメント
最初の2年間は完全室内飼育だったようですが、未手術で室内外を自由に行き来できるようにしたことから現在の状況に至りました。当事者が相談に来た時点での猫の総数は9頭の子猫を含め13頭、そのわずか数カ月後にはさらなる出産で22頭になっていました。猫の繁殖力の高さがよく分かります。
目の前の可哀想な命を救うことは否定しません。人間であれば当然の感情です。しかし、動物の命を預かることは決して簡単なことではありません。飼育環境を整えること、毎日きちんと食事やトイレのお世話をすること、必要な医療を受けさせること、そして愛情を注ぐこと。どれか一つではなくすべてが揃って初めて、人の飼育下にある動物は幸せに過ごすことができます。子猫たちは新しい環境へ旅立っていきますが、成猫4頭は当事者が飼育を継続します。当事者にはこのことを忘れず、これからも一緒に暮らす4頭を大切にしてほしいと思います。