34_群馬県甘楽町多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.34
申請日:2023年8月3日
申請/実施責任者:甘楽町 住民課
場所:群馬県甘楽郡甘楽町
居住者:当事者本人(44歳、男、日雇い)、実母(72歳、ゴルフ場厨房)、義父(76歳、無職)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:11頭(26頭で申請するも実際は11頭であった)
手術日:8月12日
協力病院:ふー動物病院 群馬分院
チケット発行数:25枚(申請時の総数26頭のうち手術済み1頭を除く25頭で申請)
手術頭数:8頭(1頭は捕獲できず、1頭は健康状態により手術不可。頭数誤りで15枚が不要となる)
協働ボランティア:NPO法人群馬わんにゃんネットワーク
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 2021年に甘楽町に転入し、1頭の野良猫を世話するようになった。そのうち野良猫が住みついて徐々に増えていった。
- 手術済みの1頭と麻痺がある子猫1頭以外は室内に入れることはほぼなく、未手術で屋外飼育をしていた。2023年春、世話をしていた野良猫のメス3頭が子猫を数頭ずつ産んだことで一気に数が増えた。
- 群馬県社会福祉協議会からの情報提供により発覚。
- ボランティア団体と連携し、室内やケージでの飼育や餌の与え方について指導した。
- 当事者も猫が増えることに苦慮しており不妊手術を望んでいるが、家庭の事情で手術費用を用意できず困っているとの情報が得られたため申請に至る。
- 現場の猫を26頭として申請するも実際は11頭だった。手術済み1頭を除く25頭分のチケットを申請したが、頭数誤りによって15枚は不要となった。
- 未手術10頭(総数は11頭)のうち8頭はチケットにより不妊手術を実施。1頭は四肢麻痺の状態で手術不可となり(健康状態の悪化により8月18日に亡くなる)、もう1頭は捕獲できず未手術となった。
- 衛生状態も問題なく猫の体調に変化はないが、支援後も屋外での飼育を続けており、餌を屋外に出しっぱなしにしている。引き続き、餌は屋外に出しっぱなしにせず決まった時間に出すよう指導していく。
- 現在も捕獲作業を続けているが未手術の1頭は捕獲できていない。捕獲でき次第、当事者の費用負担で手術を行う予定。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
8月12日 | 3 | 5 | 0 | 8 |
計 | 3 | 5 | 0 | 8 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
ボランティア団体の協力のもと、周辺住民へチラシ配布で事前に周知したことでトラブルなく実施できた。
当事者は、今まで猫たちの世話が心配で仕事も行けないような状況だった。手術を行ったことで気持ちが吹っ切れ、仕事にも行くようになったことは大きな進歩である。しかし、飼育環境の改善などまだ課題も多く、今後も指導を続けていかなければならない。
どうぶつ基金スタッフコメント
室内飼育や餌の与え方について指導が行われていますが、支援後も状況は変わっていません。また、現場には未手術の猫が1頭残っており、捕獲作業を継続して行う必要があります。これまでの猫が増えた経緯を考えると、定期的な見守りが欠かせない案件であり、今後も行政やボランティア団体が関わり続けることが望ましいでしょう。
本件は、当事者が1頭の野良猫のお世話を始めたことがきっかけとなっていますが、どのタイミングで当事者が「自分の飼い猫」だと認識したのかが気になります。これまで数多くの多頭飼育救済支援を行ってきましたが、「餌をやっているから飼い猫だ」「餌をやるなら責任をとれ」という誤った考えによって事態が悪化したケースが少なからずありました。この考え方が多頭飼育崩壊を生み出す一因にもなっているのだということを、多くの人が知る必要があると感じています。