22_千葉県君津市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.22
申請日:2023年6月27日
申請/実施責任者:君津市 福祉部 高齢者支援課
場所:千葉県君津市
居住者:当事者本人(72歳、女、無職)、長男(42歳、会社員)
居住環境:貸家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:16頭
手術日:2023年8月13日
協力病院:ふー動物病院 袖ヶ浦
チケット発行数:15枚(1頭はすでに手術済み)
手術頭数:13頭(2頭はボランティアの費用負担により手術済み)
協働ボランティア:個人ボランティア
申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)
- 5、6年前から2頭の猫を飼っていた。2、3年前に今の居住地に引っ越してきたが、周りに不妊手術を受けていない猫が多数おり、飼い猫が屋外に出た時に近隣の猫と交配して子猫を産み始めてから、急激に増えて行った。
- 近隣で活動していた個人ボランティアが屋内外を自由に行き来している猫を見つけ、その自宅近くに行くと糞尿の強い悪臭が漂い、訪問時に当事者に声をかけ事態が発覚した。
- 申請に至るまでに当事者に不妊手術の必要性、傷病猫の治療、猫飼育のための衛生面の改善、遺棄の禁止、同居の長男に協力を仰ぐように指導した。
- 近隣には当事者の自宅以外にも5、6軒の住宅が密集している地域。近くに行くだけで悪臭がして、以前にも近所から苦情を言われたことがあった。室内の猫の頭数から考えて保護した猫の頭数が少ないため遺棄している可能性もあり、今回当事者、市、ボランティアで検討しこれ以上深刻な状態になる前に解決しようと申請に至った。
- 申請前に子猫9頭はボランティアが保護しボランティアの費用負担で全頭手術済み。数頭ずつ譲渡が決まっている。当事者宅には成猫16頭がいる状態。
- 総数16頭のうち、1頭は手術済みだった。うち2頭が出産間近であったため、ボランティアが費用を負担して先に手術を行ったため、チケットを使用しての手術は13頭であった。
- 手術にあたり、全頭を一旦病院に保護して大掃除を実施。猫のトイレやケージ内の掃除も行ったことで臭いが解消された。
- 頭数のわりにトイレが小さく爪とぎの場所がなかったため、ボランティアが指導し、トイレは大きなもの、爪とぎも数か所に設置。寝床となる段ボール箱のベッドを複数設置したことにより飼育環境が改善された。
- 手術後は猫風邪によって目の症状があった猫や鼻水・よだれがあった猫もいたが全て改善された。当事者と長男は今後も同じ場所に住み続け、猫の飼養を継続する。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
8月13日 | 4 | 9 | 0 | 13 |
計 | 4 | 9 | 0 | 13 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
今回どうぶつ基金のチケットを利用した活動は2回目だったこともあり、ボランティアとの連携や申請等もスムーズにとれ、全頭手術完了まで比較的スムーズに行う事が出来たと思う。猫が短期間で多数繁殖する事を知ったので今後も高齢者の自宅訪問をする際に、未手術猫が多数いるのを発見したら少ない頭数のうちに全頭手術するように促す必要があると感じた。
どうぶつ基金スタッフコメント
転居前の飼い猫の飼養状況は不明ですが、当事者が飼い猫の不妊手術をしていれば今回の多頭飼育崩壊は防げたはずです。もしも、経緯にあるように増えすぎた猫を遺棄していたのだとすれば動物愛護法違反であり、当事者の責任はとても重いものとなります。
今回のケースでは、近隣から苦情が出るも行政が把握するには至らず、運よくボランティアが当事者宅を発見したことで支援に繋がりました。多頭飼育崩壊は早期発見・早期対応が基本、そして予防が最も重要です。予備軍をいち早く把握するための制度設計はもちろん、行政や近隣住民の意識の変化も求められます。