45_群馬県前橋市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.45
申請日:2023年9月21日
申請/実施責任者:前橋市保健所 衛生検査課
場所:群馬県 前橋市
居住者:当事者本人(75歳、女、無職)、配偶者(77歳、男性、無職)
居住環境:貸家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:23頭(当初25頭で申請したが実際は23頭だった)
手術日:11月11日
協力病院:ふー動物病院(群馬分院)
チケット発行数:25枚
手術頭数:19頭(3頭は手術前に亡くなり、1頭は疾患のため獣医師判断により手術対象外となった)
協働ボランティア:NPO法人群馬わんにゃんネットワーク

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 2年ほど前から家にやってくる野良猫にエサをあげていたのがきっかけ。当初は数えるほどの頭数だったが、不妊手術をしていなかったため4頭のメス猫が同時期に出産し、一気に20頭近くにまで増えた。
  2. 当事者本人は一気に猫が増えたことに困惑したが、どうしていいかわからないままエサを与え続け、久しぶりに家に帰ってきた家族に指摘され、保健所に相談して多頭飼育が発覚した。
  3. エサを与え、管理しているすべての猫に不妊手術を実施し適正に管理すること。今後新たな猫が現れた際は責任を持って不妊手術をすることを指導した。
  4. 不妊手術の費用については、一部なら負担可能とのことであったが、全頭実施する場合は年金収入のみでは足りず、協働するボランティア団体とも相談した結果、申請に至った。
  5. 25頭で申請するも、同系色の猫が多く室内外へ出入りしていたこともあり実際は23頭であった。23頭のうちチケットにて19頭を不妊手術済み。3頭は捕獲日に亡くなっていたことが判明、うち1頭は全身麻痺が見られたため、獣医師の判断により麻酔及び手術を見送った。今後の手術予定については、経過を見て検討する。チケットは6枚未使用。
  6. 全頭は今後も当事者宅でそのまま暮らす。当事者本人は、もともと猫自体はかわいがっており、全体的な衛生環境には大きな問題はみられなかった。猫はほとんどが黒系統の毛色の猫であり、近親交配により先天的異常が見られる個体がいたが、不妊手術により新たに猫が産まれることはなくなった。
  7. 近隣住民から糞尿被害の申し出があったが、猫用トイレを整備し、飼養状況も改善された。
手術日 オス メス 耳カットのみ
11月11日 9 10 0 19
9 10 0 19

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
今回のケースでは、当事者に不妊手術の重要性について認識がなかったことに加え、金銭面、捕獲の難しさにより多頭飼育崩壊に陥ってしまっていた。これに対して当事者本人は改善に協力的であり、当事者本人・協働ボランティア団体・どうぶつ基金・市などが協働することで課題解決ができた典型的な例と感じた。一方で、不妊手術の必要性の周知と実行に移るまでのハードルは未だ不十分となっていると感じた。


どうぶつ基金スタッフコメント
当事者の年代、また地域によって不妊手術が重要視されていないことが多くあります。今回の当事者も保健所に相談するまで「不妊手術をする」という認識がなかったと報告されています。増え続ける猫を前にどうしてよいか分からず、かといって猫を放置することもできず餌だけを与え続けた結果、多頭飼育崩壊に陥りました。
当事者家族にアドバイスをしてくれる人がいたら、当事者家族が気軽に相談できる場所があったら、もしかしたら結果は変わっていたかもしれません。日本全国にこのような事例はたくさんあります。身近に起きた多頭飼育崩壊で当事者を責めるばかりでは何も変わりません。多頭飼育崩壊の予備軍をいち早く把握し早期に介入する、そのために何が必要で何をするべきか、自治体だけではなく地域住民も参加して検討していく必要があります。


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