46_鹿児島県日置市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.46
申請日:2023年9月25日
申請/実施責任者:日置市 市民生活課
場所:鹿児島県日置市
居住者:当事者本人(52歳、男、飲食業)、配偶者(47歳、女、パート)、配偶者の妹(46歳、無職※当事者の手伝いをしている)
居住環境:貸家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:20頭
手術日:11月9日、10日
協力病院:ル・オーナペットクリニック
チケット発行数:20枚
手術頭数:17頭(3頭が捕獲できず未手術)
協働ボランティア:さつま・しっぽの会

申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)

  1. 2014年頃、近所の猫が敷地内に入りこみ子猫を出産し、この親子の猫5頭に餌を与え始めた。そのうち餌をもらいに来る猫が増え、残飯は猫によくないとキャットフードを別に設置したところ猫が定住してしまった。
  2. オス2頭について不妊手術を行ったところ、その2頭が術後に追い出されるようにいなくなってしまったことが可哀想で、その後は不妊手術をすることなく自然に増えていった。さらに、多頭飼育をしている当事者宅近辺に猫が遺棄されることもあり現在の頭数にまで増えてしまった。
  3. 近隣住民から「当事者宅に猫がたくさんおり、その猫が敷地や畑で糞尿をするのでどうにかしてほしい」との相談が市に寄せられ保健所と同行訪問を行った。
  4. 当事者が不在であったため、配偶者の妹に近隣から相談があったことを説明。適正飼養の指導、餌やりに関する助言・指導、不妊手術に関する指導、病気治療に関する指導を行う。猫は人なれしていたが、現場では猫風邪が蔓延。多くの猫に目やに・くしゃみの症状があり、皮膚疾患を発症している猫もいた。
  5. 最初に不妊手術をしたオス2頭が行方不明になったことで、当事者には不妊手術への強い抵抗があった。また、病気に関してもなるようになるしかないという考えで、動物病院に連れていくことはあるものの基本的には手出しをしない状態である。
  6. 経済状況から当事者が不妊手術費用を負担することは困難である。近隣から相談が入っていることや猫が今後も増え続けることのリスクについて説明して説得を試みたところ、当事者から手術の同意が得られたため申請に至った。
  7. 17頭は手術済みとなったが3頭が捕獲できず。その後も捕獲機を仕掛けていたが、アナグマや猪の子供が捕獲器にかかるなどして猫が寄り付かなくなってしまった。未手術の猫3頭については、動物病院独自の割引制度等を利用して当事者負担で手術するよう依頼している。
  8. 手術を終えた猫は全頭当事者宅に戻り、今後も当事者が飼養を継続する。猫風邪が蔓延していたが、手術後に協力病院で治療をしてもらい状況は良くなった。室外にある倉庫にトイレとダンボールベッドが設置されたが、猫の数が多く、餌場やトイレは清掃が追い付いていない様子である。餌のやり方やトイレの世話については今後も継続的に指導・助言を行っていく。
  9. 当事者宅の近所にも野良猫を屋外飼養している方がおり、その猫も頻繁に当事者宅の餌を食べに来ているとのこと。野良猫に関しては、行政枠の無料不妊手術チケットを利用しながら、これ以上猫が増えることのないよう対策を講じていきたい。
手術日 オス メス 耳カットのみ
11月9日 5 5 0 10
11月10日 4 3 0 7
9 8 0 17

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
どうぶつ基金、協力病院、ボランティア団体の協力で多頭飼育救済を行うことができました。感謝申し上げます。
17頭については、スムーズに2日間で手術まで終えることができましたが、野生動物(アナグマ、猪)の邪魔が入り、3頭の未使用チケットが出てしまいました。
当事者については、今後も定期的な訪問等で、これ以上数を増やすことのないよう継続的に見守っていく必要があると思われます。


どうぶつ基金スタッフコメント
未手術の猫が3頭残ってしまったこと、近隣で餌をもらっている未手術の野良猫がやってきていることから、今後も継続して注意が必要です。未手術の3頭については確実に手術を受けさせること、そして、行政の報告にもありますが、近隣一体のTNRを進めることが最大の予防になるでしょう。また、引き続き当事者宅近辺に猫が遺棄されるようであれば、警察に届け出るなど、犯罪に対して毅然とした態度で臨んでいただきたいと思います。
不妊手術に抵抗感のある当事者の同意を得て支援を完了することは、実はとても大変なことです。過去の事例でも直前に当事者が同意を翻し支援を断念したケースは多くありました。粘り強く交渉した行政や支援実施に協力したボランティアの方の尽力を無駄にしないよう、当事者には飼い主としての責任にしっかり向き合っていただきたいと思います。


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