66_群馬県藤岡市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.66
申請日:2023年12月7日
申請/実施責任者:藤岡市 環境課
場所:群馬県藤岡市
居住者:当事者本人(56歳、男、工場経営)、妻(55歳、パート)、父(79歳、トラック運転手)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:44頭(35頭で申請するも実際は44頭であった)
手術日:1月13日、1月27日、2月24日
協力病院:ふ-動物病院(群馬)
チケット発行数:35枚(当初の総数35頭分を申請)
手術頭数:24頭(1頭は捕獲できず、1頭は健康状態により手術不可、1頭は申請後に把握できたため未手術。子猫17頭は手術前に譲渡されたため)
協働ボランティア:NPO法人群馬わんにゃんネットワーク
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 約7年前、工場に入り込んできたオスの野良猫1頭を保護した。
- 最初にオス猫1頭を保護してから1年の内に、オス猫の子を妊娠したと思われるメス猫が来たため保護し、その後5頭を出産。出産による急激な頭数の増加はなかったが、他の野良猫も保護したり、外で飼っていた猫が帰って来なくなったりするなど増えたり減ったりしていた。時には敷地内に猫を捨てられてしまうこともあり保護することもあった。約2年前から頭数が20頭以上に増え、現在では2023年秋に生まれた子猫を含め30頭以上の多頭飼育に陥ってしまった。
- ボランティア団体の方が市内を歩いていたところ、外に複数の猫がいる家を発見。ちょうど当事者がいたので話を聞くと、室内と室外に合わせて約30頭の猫がいることが判明し、その後、市に情報提供があり多頭飼育が発覚。
- エサを放置せず決まった時間と場所でエサやり、物が散らかっていたり、トイレは設置されているが不衛生な部分があったので片付けるように指導。
- 当事者は動物愛護の観点から野良猫を保護しており、むやみに猫を増やすつもりもなく、飼育状況は悪くはない。しかし、現在35頭まで増えており、このままの状態では生まれては死んでしまう猫が多くなってしまうおそれがある。また、外飼いの猫が周辺地域で出産し、当該地域での生活環境に悪影響を及ぼすおそれもあり、それらを未然に防ぐため申請に至る。
- 35頭で申請するも、頭数確認時の相違と報告時新たな猫1頭を確認し、実際は44頭であった。子猫17頭は手術前に譲渡済み(全頭里親の費用負担により手術済み。うち2頭は死亡)。未手術3頭のうち1頭はヘルニア手術を受けた病院で当事者の費用負担にて手術予定。捕獲できなかった1頭と新たに判明した1頭の計2頭は捕獲出来次第、手術予定のためその際は再申請を検討中。27頭は当事者宅でそのまま暮らす。
- 餌を出したままにしないことや、片付けをしたことにより衛生環境が改善された。また、ほとんどの猫が風邪をひいていたが、手術後のケアにより健康状態も改善。
- 点在する複数のケージで飼っていたが、今回の支援を機に猫用の部屋を自作し、猫が自由に動けるスペースができた。また、トイレ数も適正であり、一室にまとまったため管理も行えている。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
1月13日 | 9 | 3 | 0 | 12 |
1月27日 | 6 | 4 | 0 | 10 |
2月24日 | 2 | 0 | 0 | 2 |
計 | 17 | 7 | 0 | 24 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
協働ボランティア団体からの情報提供により本件が発覚したが、相互の連携が円滑に取れたことで迅速な対応できた。また、結果として猫が合計44頭いたことになるが、支援を実施したことで状況の悪化を防ぎ、飼育環境の改善に繋げられた。
どうぶつ基金スタッフコメント
当事者について「動物愛護の観点から野良猫を保護しており、むやみに猫を増やすつもりはなく、飼育状況は悪くない」とありますが、とてもそのようには思えません。保護した猫の譲渡活動を行っていたのかどうかは行政の報告からは不明ですが、全頭未手術、そして支援前の写真から狭いケージに複数の猫が入れられている状況が分かります。
これは適切な飼育環境でしょうか?
多頭飼育崩壊の解決に携わるすべての関係者は、「保護している」という言葉に惑わされることなく、そして「愛情」があるかどうかではなく、ただその動物が置かれた状況によってご判断いただきたいと思います。その認識がなければ的確な指導などできるはずがありません。
本件の当事者は、過去の経緯から今後も猫を増やす可能性があります。指導や見守りを継続して行っていただくことを求めます。