57_滋賀県甲良町多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.57
申請日:2023年9月25日
申請/実施責任者:甲良町役場
場所:滋賀県犬上郡甲良町
居住者:当事者本人(52歳、女、警備業※パート)、母(92歳、無職※年金収入のみ)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):56頭(12頭)
手術日:2024年1月12日、13日
協力病院:にじのはしスペイクリニック多賀診療所
チケット発行数:48枚(手術済み8頭を除く48頭分を申請)
手術頭数:48頭
協働ボランティア:多賀にゃん
申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)
- 2019年頃に2頭ほど地域猫を保護し、2021年頃には複数の猫がいる状況であった。
- 2012年に1人暮らしだった当事者が母宅(現在の自宅)に猫3頭と転居してきたが、外を徘徊している猫を自宅に連れ込むなどし、不妊手術を行っていなかったため多頭飼育状態となった。
- 母の担当ケアマネージャーより「母親の生活環境の悪化および介護サービスの利用に制限をきたす」との理由で、町の地域包括支援センターに通報があり発覚。
- 2021年頃には地域の総合センターが状況を把握しており、訪問のうえ生活環境整備等指導を行っている。また、近隣住民も当事者に猫の手術および譲渡を勧めていた。
- 子猫が増えていること、母親の体調が懸念されること、さらに猫の世話代に母親の年金を充てるなどしており、金銭面の不安もあったことから申請を決定。
- チケットを使用して全頭手術済みとなった。手術後はボランティアが当事者に猫の習性等を教え、餌の補助を行ったり、猫のトイレを増やし衛生を保つ指導を行った。風邪をひいている猫もいたが、ボランティアに保護され治療を受けている。
- 室内の床が見えない程のごみに埋め尽くされ、糞尿の処理ができておらず不衛生な状況であったが、2023年5月からボランティア団体の介入により、床が見える状態に改善した。
- 最終的に56頭全頭をボランティアが保護し、すでに24頭が譲渡されている。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
1月12日~13日 | 22 | 26 | 0 | 48 |
計 | 22 | 26 | 0 | 48 |
※ボランティアが把握していた頭数が誤っており、手術日ごとの内訳が不明のため上記の記載とする。
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
環境部局だけでなく、福祉部局や福祉関係者やボランティアの介入のおかげで円滑に進めることができた。今後、同様事例が発生しないように、初期対応を心掛けたい。
どうぶつ基金スタッフコメント
当初、一部の猫は当事者宅に戻し、残りの猫はボランティアで保護・里親探しをするとのことでしたが、最終的に全頭保護となりました。「飼い主の元に戻すな」という意見もありますが、全頭保護についてはメリットとデメリットがあります。住居が賃貸住宅で退去を迫られている等の切迫した状況では時間をかけられませんが、全頭保護を行うにあたっては、当事者の精神面への影響も考慮し、理解と納得を得られるよう信頼関係を構築したうえで行うことをお勧めします(本件はそのように対応されていることと思います)。
また、これまでの経緯を見ると本件の当事者は今後も注意が必要です。新たな猫を増やさないよう、定期的に訪問するなど継続して関わっていくことが必要でしょう。