【さくらねこ便り】今さら聞けない「地域猫活動」ってなに?①
こんにちは、どうぶつ基金事務局です。
2024年は「あけましておめでとうございます」とは言い難い幕開けとなりました…
令和6年能登半島地震でお亡くなりになった方々の
ご冥福をお祈りいたしますとともに、
被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
地震の翌日には、羽田空港で航空機の衝突事故。
支援物資輸送の任務途中でお亡くなりになった
海上保安庁の職員5名の方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
また、ケガをされた皆様の1日も早いご回復をお祈りいたします。
報道によると、
炎上した日本航空516便では2件のペットの預かりがあったとのこと。
何が起こったかも分からず貨物室で最期を迎えた子たち、
そして、大切な家族を失った飼い主の方のお気持ちを考えるとやり切れません…
命ある動物がモノ扱いされる日本。
こういった災害や事故が発生するたびに憤りを感じます。
~いざという時の備えは万全ですか?ペットを飼っている方は再点検を!~
「備えよう!いつもいっしょにいたいから」ペット動物の災害対策(環境省)
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2309a.html
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さて、現在どうぶつ基金は
「大阪市の街ねこ事業(地域猫活動)の条件である自治会長の
「合意書への署名」というハードルをなくしてください」
というオンライン署名に連名しています。
同じく上記のオンライン署名に賛同し、日本全国で地域猫セミナーの講師として
「地域猫活動」の普及啓発に尽力している
「特定非営利活動法人ねこだすけ」の工藤久美子理事長に
あらためて「地域猫活動」がどういうものかをお聞きしました。
「特定非営利活動法人ねこだすけ」工藤久美子理事長
本日より全4回でお届けいたします。
なかには「そんなことぐらい知ってる」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも、そんなこと言わずにぜひご一読ください!
知っているつもりで知らなかったこと、たくさんあります。
(本記事は、上記署名サイトに寄稿されたものを許可を得て転載しています)
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【地域猫活動始動】
『2001年度に開始されました「東京都飼い主のいない猫との共生モデルプラン」
このプランは町会地域住民、管轄行政、ボランティア、この3者が協力し合い
野良猫問題解決を目指す、と言う実に画期的なプランでした。
それまでは全国統一されたように、餌やり禁止。これで問題解決を図りましたが、
古今東西餌やり禁止で解決した例は皆無です。』
一一2001年は猫の殺処分数は273,000頭。
環境省が発足し、動物愛護管理行政を所轄するようになった年です。
『それまでは全国統一されたように、餌やり禁止。
これで問題解決を図りましたが、古今東西餌やり禁止で解決した例は皆無です。
餌やり禁止により増え続けた苦情と猫の数、これを解決すべく当時の
青島幸男東京都知事の命令のもと、東京都動物保護審議会で提示されたプランです。
このプランは大成功を収め、その後、環境省は全国自治体へ向けて基本指針等を
通じてこの活動を推奨するようになりました。
当時の状況から「地域の合意」これは外せませんでした。
なぜならば、餌やりをまず認めてもらう、地域住民に納得をしてもらう、
この当時としては恐ろしく高いハードルを超えるためには、厳しい文言が必要でした。』
一一発足したばかりの環境省が鳴り物入りで推奨した地域猫活動。
とても画期的な制度ですが、それまで「餌やり禁止」「ノラ猫への餌やりは悪」
と刷り込まれていた人の意識は急には変わりません。
地域猫の管理の為の餌やりすら認めがたい人も多く、地域猫活動を普及させる
ためには高いハードルが必要でした。時代背景や人の意識を思うと
「地域の合意」という厳しい要件は仕方なかったのでしょう。
『しかし時代は変わり、地域猫という言葉が定着し、活動が大きく前進した今、
この「合意」という言葉に変わって「理解と協力」が全国自治体でも
使われるようになりました。』
一一地域猫活動という言葉が広がり、受け入れられるとともに、
ハードルを下げる地方自治体が増えていったそうです。
【地域猫活動の法令の根拠】
『①動物愛護管理法基本指針。
これは全国の動物行政、政令都市、中核都市などに告示されるものです。
地域猫活動、と言う言葉が現れた2006年の最初の指針では「地域住民の合意」
とありましたが、その後2013年の指針では「十分な理解」、さらに2020年には
「理解の促進」と変化して参りました。』
一一動物愛護法基本指針は正しい呼称を「動物の愛護及び管理に関する施策を
総合的に推進するための基本的な指針」といいます。
環境省の告示であり、動物愛護管理法に基づく自治体向けの指針です。
基本指針の文言も時代とともに、
地域住民の合意→十分な理解→理解の促進、と変化しているのが分かります。
『また多くの自治体で重要視している要素は「住民への活動広報」
この広報を通じて地域住民の理解と協力を得る、その方向に変化しています。』
一一まさに署名と要望書で求めていることです。
自治会長の合意書という形式的要件である書面ではなく、広報、理解や
協力を得るための周知の方が地域猫活動では大切です。
『②環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」
2010年発行のこのガイドラインの地域猫のパートには、確かに「合意」という
文言があります。しかしながら内容は素晴らしく、例えば「地域住民は野良猫を
排除するのでは無く、地域住民が飼養管理する事で、この活動は野良猫の
トラブルを無くすための試みであることを理解しなくてはならない。」
あるいは「飼い猫を捨てることは犯罪になることを周知し、捨て猫の防止を
徹底していく必要がある。」と強く地域住民への理解協力を促しております。
「合意」がなくても、少なくとも地域猫活動の目的への理解、遺棄防止への
努力を求めていると分かります。』
一一基本指針とは別の、同じ環境省の「ガイドライン」が出てきました。
大阪市の街ねこ制度は、このガイドラインを受けて策定されているとの回答を
得ています。ガイドラインでは合意、理解という文言が混在しています。
基本指針とガイドラインの関係については、回を改めて工藤さんに深く
解説していただきます。
【合意という文言の弊害】
『以上の事からも「合意」に変わり「理解と協力」。
まずこの活動を住民の方々に知って頂く、そして地域に根付いた地域活動として
位置づけて行く、その為には何よりも住民の皆様方への活動広報、それにより
ご理解を頂く事、これが重要と感じております。
「合意」と言う言葉が活動推進への大きな弊害となっている、これは事実です。』
一一以上、工藤理事長に地域猫活動の始動から現状について解説していただきました。
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次回以後、地域猫活動の今後のあり方、基本指針とガイドラインの関係等について
引き続き、工藤理事長の解説をお届けしてまいります。
先人の努力と尽力によって、何もないところから始まった地域猫活動。
20年以上が経過し、「地域住民の合意」から「理解と協力」へ変化するなか、
大阪市は未だ「町会長の署名した合意書」にこだわり続けています。
制度とは必ず古くなるもの。
だからこそ、時代と実状に合わせた修正が必要です。
より良い制度を求める署名活動にご協力をお願いいたします。
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住民全体の利益に資する環境改善活動である「地域猫活動」を拡充するために、
広く全国の皆様からの署名をお願い申し上げます。
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ぜひとも、全国の皆様のお力をお貸しください。
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