74_宮城県大河原町多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.74
申請日:2024年1月26日
申請/実施責任者:宮城県仙南保健所
場所:宮城県 柴田郡大河原町南
居住者:当事者本人(87歳、女性、独居、無職)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):14頭(0頭)
手術日:2月15日、2月22日、2月27日、3月7日
協力病院:フォルテ動物病院
チケット発行数:14枚
手術頭数:14頭
協働ボランティア:個人ボランティア
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 1993年頃、娘が高校生の時に友人から譲り受けた。
- 譲り受けた猫(メス)を避妊手術をせずに室内外を行き来させて餌をやる飼い方をしていたため、猫が妊娠・出産を繰り返した。何度か不妊手術を試みたものの全頭実施に至らず繁殖が繰り返され、産まれた子猫も同様の飼い方をしていたため頭数が増え、30年程で多頭飼育状態に陥る。
- 当事者の居住地域の役場(丸森町役場)から、多頭飼育者の飼い猫による糞尿被害の悪臭苦情が寄せられたので当時者の指導に協力して欲しいとの依頼があり発覚。
- 雌雄を分けて飼養し(保健所からケージ・捕獲器の貸出を提案)、不妊手術を実施すること(メスから始めること)、猫の里親探しもする、家族(娘)に相談し指導内容について協力を求めること、飼い猫以外に餌を与えないことを伝えるも、当事者が高齢と費用不足を理由に何も行わなかった。
- 娘も自分は関係ないとのスタンスで役場の指導(電話)にも耳を傾けず協力を得られない状態であった。
- どうぶつ基金の多頭飼育救済支援制度を利用して不妊手術を実施出来ないか検討をはじめていたところ、個人ボランティアから協力したいとの申し出があったため、申請に至る。
- 全頭チケットにて手術済みとなり、13頭はボランティアが保護。残る1頭は当事者宅で完全室内飼育で終生飼養する。
- ボランティアの飼養施設ではケージの大きさや運動場スペース、トイレの数が確保されている。猫風邪に罹患していた猫はボランティアが動物病院で治療を行い、回復した。糸状菌症は現在治療中である。
- 当事者宅で終生飼養する1頭は完全室内飼育となり、トイレ、水皿、餌皿が設置され、家の中は清潔な状態に改善されている。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
2月15日 | 2 | 1 | 0 | 3 |
2月22日 | 1 | 3 | 0 | 4 |
2月27日 | 1 | 3 | 0 | 4 |
3月7日 | 1 | 2 | 0 | 3 |
計 | 5 | 9 | 0 | 14 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
当事者には娘がおり、今後の見守りのことも考え、多頭飼育者に対してもっとサポートしてもらいたいと考え、娘と接触したが連絡をとることを拒否され、ボランティアの負担が大きかったことが反省点である。
家族の協力を得られるような指導方法について、考えていきたい。
どうぶつ基金スタッフコメント
30年もの長きに渡って不適切飼育が行われていました。もっと早くに把握できていれば、不衛生な環境で多くの猫が苦しむことはなかったと思うと残念です。また、同居・別居にかかわらず家族の協力を得られないケースは少なくありません。こういった対応の難しさも多頭飼育崩壊解決の壁になっています。
今回は協力を申し出てくれた個人ボランティアの方のおかげで全頭手術済みとなり、14頭のうち13頭がボランティアに保護されました。当事者宅に残った1頭は完全室内飼育となり、飼育環境も改善されました。当事者にはこの1頭を大切に最期までお世話する義務があります。多くの方の支援を無駄にしないようしっかりと義務を果たしてほしいと思います。