78_奈良県御所市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.78
申請日:2024年2月27日
申請/実施責任者:御所市 環境衛生部 環境政策課
場所:奈良県御所市
居住者:当事者本人(83歳、女、無職)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:不明
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):25頭(5頭)
手術日:なし
協力病院:おおが動物病院
チケット発行数:25枚
手術頭数:0頭
協働ボランティア:なし
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 15年程前、家の近くに捨てられた猫を当事者の夫(死別)が保護した。その後も同じ場所などで夫や娘(別居)が猫を何度か保護をした。不妊手術をしていなかったため、子が子を生み、異常繁殖をしてしまった。また、猫が数多くいることで捨てに来る人もいた。
- 相談前から猫を複数飼養していることは把握していたが、当事者から飼い猫が増えて困っていると電話相談があり、職員が現地を訪問したことで予想を超える状況であることが発覚した。
- 猫が増えて困るので処分をしたいという申し出があったが、処分することは望ましくないことを伝え、繁殖制限を行い増やさないようにし、徐々に頭数を減らすことを勧めた。正確な頭数を把握すること、可能な限り室内飼いをすること、不妊手術をすること、外で餌を与える場合に野良猫が寄ってこないように猫が食べ終わったら片づけることなどの対応を指導した。
- 独居高齢者世帯であり、経済状況や当事者の年齢を考えても個人で不妊手術を行うことは困難であると判断。行政枠チケットや市補助制度は飼い猫に適用できないため、当事者に多頭飼育支援の説明をし、全て無料であることを伝え、不妊手術を行うことの承諾を得て申請に至る。
- 支援が採択され、手術日の調整を行い3/13~3/15の3日間に決定。当事者に動物病院で手術をすること、捕獲や搬送は市が行うことを伝える。また、自治会長に多頭飼育支援を行うことを説明し、周知などの協力を要請。
- しかし、当事者から息子に手術を待つように言われたので日延べして欲しいという連絡がある。理由としては、猫を殺処分するのではないか、無料と言って後で高額な請求をされるのではないか、独居高齢者世帯なので詐欺を疑っての意見があった。息子に直接説明することを求めたが、月末まで会えないという状態。当事者に誤解を解くように依頼し、動物病院には状況を説明して手術日を3/27~3/29に変更した。
- 当事者は息子の承諾を得ないと手術ができないと主張しているため、当事者の息子と電話で話し、事業やこれまでの経緯を説明する。以前から繁殖制限の必要性は考えていたが、倫理的なことからなかなか踏み切れずに現在に至るとのこと。当事者から伝わっていた内容と所々異なる点があったようで、突然の話で混乱しているので時間が欲しいため日延べして欲しいと回答がある。
- 不妊手術への了承を得られないため、今回の支援を断念。息子は、色々聞きたいことや調べたいこともあり、改めて理解をしてから多頭飼育支援利用も含めての繁殖制限を考えたいと話している。今後、継続的に飼養に対する指導を行う予定。
- 当事者からは25頭と申請があったが、当事者の息子は「母は頭数を把握できておらず、実際はもっといると思う」と話している。繁殖制限を行っていないため、春には出産をしている猫がいると思われ、次回申請をすることになれば今回より多い頭数になることが予想される。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
計 | 0 | 0 | 0 | 0 |
【現場写真(支援前)】
【現場写真(支援後)】
チケット未使用のためなし
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
独居高齢者の当事者から相談を受けて活動を行った。
当該地は市内の山村部にあり、周辺に民家が無いため、外飼いをしていることに関する苦情などはないが、家族の話では当事者は頭数を完全に把握していない状態だった。当事者が早い対応を求めたことや、出産シーズンでもあったので急いで対応を進めたが、結果的に家族の同意を得ることができず活動を断念することになった。
今回の案件に限らず、独居高齢者だけに判断をさせないように日頃から対策を行っているが、当事者から家族へ正しく情報が伝わらなかったことが支援にご納得いただけなかった原因の1つと考えられる。
しかし、不妊手術はできなかったが、当事者には繁殖制限の必要性など、動物飼養に関する助言を行うことができた。
どうぶつ基金スタッフコメント
残念ながら支援実施には至りませんでした。把握できているだけですでに25頭の猫がいる状況を考えると、1日も早く全頭不妊手術を行うべきです。不妊手術をしなかったために頭数が増えたことを反省せず安易に処分を口にすることと、不妊手術を行うこと。どちらが猫の命を尊重しているでしょうか。
猫の繁殖力の高さを考えれば時間の猶予はありません。当事者、当事者家族にはそのことを十分にご理解いただきたいと思います。