47_東京都青梅市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.47
申請日:2023年9月28日
申請/実施責任者:青梅市役所 環境部環境政策課
場所:東京都青梅市
居住者:当事者本人(74歳、男、無職)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:12頭
手術日:10月20日、21日、30日、11月4日
協力病院:湖畔どうぶつ病院
チケット発行数:12枚
手術頭数:11頭(1頭は捕獲できず)
協働ボランティア:いのちを考える会・青梅
申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)
- 10年~15年ほど前にブリーダー業を営んでいた親戚から、そこで売り物にならない生まれつき心臓の弱い猫1頭を引き取り飼い始めた。
- 最初は不妊手術をせず行き来していたため、繁殖して増えていった。飼い始めて2〜3年ほど経過した頃、屋外から戻ってきた1頭の猫が突然死亡したことがあり、それい以来は完全室内飼育をしていたが、不妊手術をしていなかったため爆発的に頭数が増加した。一時期は30頭ほどにもなったが、生命力が弱く、ほとんどが子猫のうちに死亡したため、現在の頭数となっている。
- 隣接する企業の従業員から、かねてより東京都動物愛護センターに悪臭の相談があった。都による訪問指導や、ボランティアによる訪問もこれまで行われたようであるが当事者がそのすべてを拒否し続けていた。2023年9月に再び隣接の企業から市に相談が寄せられ、東京都動物愛護センターと同行訪問し多頭飼育が発覚した。
- 申請に至るまでに当事者へ全頭の不妊手術の必要性について説明をし理解を得た。当事者は認知症予防のためにも猫を飼い続けたいと主張したため、1頭のみ残して他はボランティアが引き取る対応は可能かどうか、などヒアリングを行った。
- 当事者が不妊手術をしない理由を「費用面の問題」と回答したこと、車も所有しておらず能動的に自ら不妊手術をすすめるという気持ちが欠落していると判断。室内もかなり荒れており、さらに頭数が増加していく状況を打破したく申請に至った。
- 総数12頭のうち、チケットによって11頭の不妊手術を実施。残る1頭は捕獲器を使用して捕獲を試みるも、期限までに捕獲ができず手術できなかった。当事者がやる気になっているので、引き続き捕獲に努め、捕獲ができたらボランティアが病院に運搬し手術を行う予定である。他の猫は全頭手術済みで繁殖することはないため、気長に対応を継続する。
- 手術済み11頭のうち5頭が当事者宅へ戻ったが、その後1頭が死亡した。残る6頭はボランティアが保護した。
- 支援後、臭いはまだあまり変化はないが、一部の部屋や庭の樹木など、当事者が片付けや手入れをするようになり、近隣住民も状況が改善したことに対して喜んでいる。
- 以前は猫は人のいない2階にまとまっていたが、頭数が減ったこともあって当事者の部屋に来ている様子もある。猫のストレスが緩和されたように見え、猫にとっての生活空間も広がっているようである。
- 当事者と5頭の猫(いずれも高齢のため譲渡は困難)は、このまま同じ場所に住み続け、現在いる猫が寿命を全うするまで当事者が飼養を継続する。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
10月20日 | 2 | 0 | 0 | 2 |
10月21日 | 3 | 3 | 0 | 6 |
10月30日 | 0 | 2 | 0 | 2 |
11月4日 | 1 | 0 | 0 | 1 |
計 | 6 | 5 | 0 | 11 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
期間内に1頭の捕獲ができなかったことと、もう2・3頭の保護ができるとなおよかったと思われる。
どうぶつ基金スタッフコメント
今回の支援を経て当事者の心境にも変化があったようです。片付けや手入れを行うようになり、未手術の猫の捕獲にも自ら取り組むなど、目に見えるかたちで改善が進んでいることは近隣住民にとって安心材料ではないでしょうか。
完全室内飼育で未手術の猫が1頭とのことであり、これまでのように数が増えていくことはありません。1頭が亡くなってしまったことは大変残念ですが、当事者には、その1頭の分まで他の猫たちが健やかに穏やかに過ごせるよう努めてほしいと思います。