55_福岡県宗像市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.55
申請日:2023年10月23日
申請/実施責任者:宗像市 市民協働環境部 環境課
場所:福岡県宗像市
居住者:当事者(夫、67歳、パートをWワーク)、妻(64歳、パート)、長男(37歳、新聞配達)
居住環境:貸家/戸建
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:28頭(26頭で申請したが、子猫が2頭生まれ28頭となった)
手術日:11月22日、12月19日
協力病院:cat spot clinic
チケット発行数:19枚(手術済みの7頭を除く19頭分を申請)
手術頭数:18頭(1頭は健康状態により、子猫2頭が幼齢により手術不可)
協働ボランティア:個人ボランティア
申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)
- 2018年頃に、庭先に現れた子猫2頭が飢えて可哀そうだったので自宅に招き入れた。
- しばらくは2頭だけの状態であったが不妊手術をしておらず、2020年~2021年頃から急に頭数が増えたとのこと。
- 当事者がペット用品売り場で個人ボランティアに声掛けしたことから多頭飼育が発覚。その際、不妊手術ができていないとの話があり行政への相談に至った。
- その後、個人ボランティアが5月26日に自宅訪問し現状確認。清掃がよく出来ていて飼育環境は良好であったが、ネコ風邪や皮膚病、また近親交配のためか四肢の奇形も見られた。自宅には外界との行き来ができるほどの穴が開いており、実際に外ネコも3頭いた。飼育頭数も把握できておらず、この時点では不妊手術済の猫は2頭だけだった。以後は、電話による不妊手術勧奨で、7頭の手術を近医で済ませている。
- 経済的に可能な範囲で少しずつ不妊手術をすすめてきているが、当事者のペースに任せていては、爆発的に増えていくことは避けられない状況である。現段階では、室内の清潔は保たれ、世話もできているが、ネコ風邪や皮膚病などで受診治療が必要と思われる猫が放置されており、治療まではお金を回せない状況。
- 当事者の居住地近くの個人ボランティアと行政で多頭飼育救済事業実施の支援、それ以降の見守りが可能であることから申請に至った。
- 衛生環境、飼育環境はキレイ好きな当事者家族であるため、以前から良く保たれている状況にある。これまで月に1~2頭の不妊手術と蔓延しているネコ風邪の治療を散発的に続けていたが、今回の救済支援事業のおかげで当事者負担で行っていた不妊手術の費用を治療代に回せるようになり、猫たちの体調の改善がみられている。
- わずかに体重不足があったことや、またネコ風邪が酷かったことから獣医師の判断で1頭が未手術となる。
- 申請後に生まれた子猫2頭は不妊手術が可能となる時期に行う。今回体調不良で未手術となった1頭は、その改善があった段階でできるだけ速やかに当事者負担による不妊手術を行う予定。残り3頭の手術の進捗状況は、同地域居住の個人ボランティアが把握しながら全頭不妊手術が完了するまで介入を続けていく。
- すべての猫たちは当事者宅で飼育を継続予定。譲渡についての支援を個人ボランティアと検討している。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
11月22日 | 0 | 9 | 0 | 9 |
12月19日 | 6 | 3 | 0 | 9 |
計 | 6 | 12 | 0 | 18 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
当事者、個人ボランティアと行政とのコミュニケーションが良くとれていたことで、事業実施に当たっては支障なくすすめられました。
ただ、手術機会を与えていただいたのに、事前の猫たちの体調管理が不十分であったことは悔やまれます。この点について、もっと具体的な支援や介入が必要であったのではと感じています。
宗像市で初めての多頭飼育救済事業にあたって、ボランティアとの協働のあり方について改めて話し合う機会となり、大変有意義であったと思います。心より感謝申し上げます。
どうぶつ基金スタッフコメント
最初の2頭に不妊手術をしていれば…と悔やまれますが、とても良いかたちで支援を実施できた例ではないでしょうか。
今回、子猫を含む3頭が未手術となっていますが、この3頭の手術実施状況は近隣の個人ボランティアが確認する体制がとられ、支援後の見守りまで含めた計画が立てられているようで安心しました。
このまま当事者のもとで飼育が継続されますが、写真や報告を見る限り、飼育環境に問題はないように思われます。必要な医療を施しながら、譲渡によって飼育頭数を減らしていくことができれば、猫たちも当事者家族も穏やかな暮らしを取り戻せるはずです。