私たちのアドボカシー「頭数制限は10頭」~みんなの改正動物愛護法

こんにちは
どうぶつ基金です。

今日は、法律の話をします。

法律の話なんて、聞きたくないなあ。
そんな声が聞こえてきそうですが、動物愛護法のことなので、
犬や猫が好きな人、犬や猫のいのちを大事にしたい人がたくさん読んでいる
このメルマガには必要な話なのです。
ご容赦いただき、ちょっとお付き合いください。

日本は法治国家で、民主主義国家ですので、絶対権力者のいうことを聞く、
のではなく、天皇も、総理大臣も、官僚も、裁判官も、法律に則って、
判断したり、指示を出したり、仕事をしたり、しています。

それら全てがよって立つところが、法律です。
(それら法律のおおもとが憲法です。)

法律を作ったり、今ある法律を変えたりするところが、議会です。

なので日本は法治国家で、民主主義の国ですが、議会制民主主義の国、
という言い方もします。

たくさんあるこの国の法律のなかで、飼っている動物をないがしろにしたり、
残酷に扱ってはならない、ということを決めているのが、
「動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動物愛護法)」です。

この法律ができたおかげで、犬や猫に残酷なことをしてはダメ!
虐待しちゃダメ!という世の中になりました。犬や猫だけではありません。
殺処分を減らそう、動物実験をしないで商品を開発しよう、苦痛を与えないで飼おう。

私たち、どうぶつ基金も、この動物愛護法に則って、活動しています。
そして他の団体と同じように、法律の提案をします。
もっと動物のいのちを大事にして、人間と動物の関係が良くなるために、
どんどん動物愛護法をよくしていこうと思っています。働きかけています。

法律を変えると、世の中が変わるので、法律がどう変わるかは、とても
大事です。急に変えると困る人も出てくるので、ゆっくり、しっかり
変えるために、法律が成立したあとは、みんなに「変えますよ」と知らせ、
みんなが準備をして、急ぎながら、でもなるべく無理をしないように、
期限を決めて、取りかかります。

3年前の2019年に成立した『改正動物愛護法』の準備期間が過ぎて、
2022年6月からマイクロチップ装着の義務化が始まりました。それと同時に
始まるはずだった「飼育頭数の制限」という取り組みは、既存事業者に
対しては3年間の経過措置がとられることになってしまいました。

どうぶつ基金はこの「改正動物愛護法」が成立、施行され、「飼育頭数の
制限」というきまりができたことは、とても良かったと思います。

その上で、完全施行の時期が遅れたこと、動物愛護団体が「受け皿」扱い
されていること、については、残念に思っています。

2年前の2020年の12月25日、中央環境審議会動物愛護部会で環境省は、
「このままでは13万頭以上の繁殖用の犬猫が行き場を失う」という理由から、
当初の頭数制限からは犬も猫もゆるめの上限設定とし、その後は1年毎に
5頭ずつ段階的に減らすと発表しました。「上限飼育数の規制の完全施行」は、
予定より3年遅れになってしまいました。

もともと狭いオリや劣悪な環境のなかでたくさんの動物を飼うペット業者や
ブリーダー(第一種動物取扱業と呼ばれる人たち)がいたので、それは
動物福祉に反しますよ、劣悪な環境はやめてください、お世話する人
ひとりあたり10頭までにしてください、という法律の主旨を、
私たちどうぶつ基金を含む動物愛護団体が提案してきました。

でも私たち、動物愛護団体(第二種動物取扱業と呼ばれる人たち)が
「受け皿」になりますよ、とは提案していません。

え、非営利の動物愛護団体が、なんで、受け皿になるのを嫌がるの?
と、おっしゃる方がいるかもしれません。

それは、非営利の動物愛護団体が、ペット業界の劣悪な環境の逃げ場や
隠れ蓑になってしまう危険性があるからです。

というか、実際にそんな事例が出てきてしまいました。とても残念です。

非営利だとしても、動物に食事を与え、劣悪でない環境で育てようとすると、
お金はかかります。すべての動物愛護団体の資金繰りがうまくいっている
というわけではありません。そこにつけ込んで、非営利の動物愛護団体に
お金を払って、法律できまった頭数制限を実現しようとする、ペット業界や
ブリーダーがいないとも限りません。というか、すでにそれがこの法律の
逃げ道になっているのではないか、という懸念、いやな予感があります。

せっかく、「飼育者ひとりあたり飼える頭数」を制限して、動物にとっての
劣悪な環境をなくそう、動物福祉を実現しよう、飼われている動物の幸せを
実現しよう、という理念からできた法律なのに、「劣悪な環境がペット業界
から非営利の動物愛護団体へ移動する」という矛盾を引き起こしてしまっています。

これでは、非営利の動物愛護団体、シェルターやボランティアさん、の
社会的な存在理由も誤解されかねません。世の中に疑われます。世の中が、
あー「動物愛護団体」って、非営利だけど、結局はお金もらって、口では
動物福祉と理想を言うけど、結局、動物福祉なんて実現してないんじゃない、
と言われかねないのです。これは困ります。

本来、非営利の動物愛護団体は、たとえ個人で運営していても、ペット業界や
ブリーダーに対し、「動物福祉のための理想の環境のお手本」を示す存在、
動物福祉の具体施策を提案する存在、なのです。そうあってほしいのです。

決して、動物の劣悪な環境を(1年たりとも)生き延びさせるところであっては
ならない。それでは「動物愛護団体」の名がすたる。と、私たちは思います。

あとは、法律上では「動物愛護団体」に対してはゆるい頭数制限だけれども、
私たち「動物愛護団体」は分断されることなく、当初から提案していた
「動物福祉の精神に則った、犬も猫も飼育者ひとりあたり10頭」を、せめて
私たちから実現していきましょう、と粘り強く呼びかけていきたいと思います。

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「飼育頭数の制限は10頭」という理想を実現しようと私たち動物愛護団体が
イニシアチブを発揮して、政策提案する。このような活動を
「市民による政策提言=アドボカシー」といいます。
NGO(非営利・非政府・団体)の重要な使命でもあります。

●現行の「飼育頭数の制限」
・犬 : ひとり当たり20頭が上限(うち繁殖犬 15 頭まで)
・猫 : ひとり当たり30頭が上限(うち繁殖猫 25 頭まで)
※親と同居している子犬・子猫及び繁殖の用に供することをやめた
犬・猫(繁殖引退犬・猫)は頭数に含めません。

●経過措置: 第一種動物取扱業「ひとり当たりの飼育頭数の制限」
2022年6月 犬30頭(うち繁殖犬25頭)、猫40頭(うち繫殖猫35頭)
2023年6月 犬25頭(うち繁殖犬20頭)、猫35頭(うち繁殖猫30頭)
2024年6月 犬20頭(うち繁殖犬15頭)、猫30頭(うち繫殖猫25頭)

●第二種動物取扱業では、ブリーダー等の第一種動物取扱業からの譲渡が
増加する可能性があることから、完全施行時期が1年遅れます。
・新規事業者は、2021年6月に完全施行
・既存事業者は、段階的に適用し、
(第一種動物取扱業)2024年6月から完全施行
(第二種動物取扱業)2025年6月から完全施行

<参考>
テレ朝news 2022/06/24 23:30
「13万頭に保護必要か」改正動物愛護法 6月施行の“頭数制限”で揺れるペット業界
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000259130.html

朝日新聞デジタル 太田匡彦 2020年12月25日 19時43分
犬猫業者の飼育数制限、完全施行を3年先送り 環境省
https://www.asahi.com/articles/ASNDT6G0XNDSUUPI00L.html#:~:text=%E6%95%B0%E5%80%A4%E8%A6%8F%E5%88%B6%E3%81%AE%E5%B0%8E%E5%85%A5%E3%81%AF,%E3%81%99%E3%82%8B%E8%A6%8F%E5%88%B6%E6%A1%88%E3%82%92%E6%8F%90%E7%A4%BA%E3%80%82

(聞き取り・文責 マエキタミヤコ)
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