30_埼玉県さいたま市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.30
申請日:2024年8月8日
申請/実施責任者:さいたま市動物愛護ふれあいセンター
場所:埼玉県さいたま市
居住者:当事者本人(67歳、男、無職)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):28頭(16頭)
手術日:9月5日
協力病院:堀どうぶつ病院
チケット発行数:13枚(5頭はすでに手術済み、子猫10頭は幼齢のため手術対象外)
手術頭数:9頭(2頭は手術前に譲渡が決定、1頭は子育て中の母猫で1頭は2月生まれの子猫のため手術できず)
協働ボランティア:保護猫カフェ Porta保護猫カフェねこかつ

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 2011年にメス猫1頭を保護し、その猫が生んだ子猫5頭を含め2~3年で9頭になった。メス猫は不妊手術をして完全室内飼育をしていたが、経済的理由もありオス猫は去勢手術をしていなかった。
  2. 2023年以降、餌を与えたり、自宅内に入れたりしたメス猫が子猫を生むなどして現在の頭数にまで増えてしまった。
  3. 隣人が猫の糞尿被害に悩み、当事者に確認したことで多頭飼育が発覚。当事者も困っていたが、耳が聞こえづらく電話での相談が難しいことから隣人が代わりにセンターへ連絡。当日中に当事者が相談のためセンターへ来所した。
  4. 未手術のメス猫はケージ内で飼育するよう指導し、センターからケージを貸し出した。
  5. 当事者は生活保護を受給しているため手術費用の捻出は困難である。また、2024年2月から急激に頭数が増えていること、家の中に糞が堆積し家の周囲にも悪臭が漂っていることから多頭飼育救済支援の申請を決定。
  6. 総数28頭のうち、手術済みの5頭と幼齢のため手術対象外となる子猫10頭を除く13頭分のチケット申請をした。
  7. 未手術13頭のうち9頭がチケットにより手術済みとなった。未使用となった4枚は、手術前に譲渡が決まった2頭(里親にて不妊手術予定)、子育て中の母猫1頭、幼齢で手術対象外となった子猫1頭である。
  8. 22頭(支援前から手術済みの4頭、チケット使用の6頭、未手術の母猫1頭と子猫11頭)は協働したボランティア団体2組が分担して保護し、健康状態を確認したうえで里親募集を開始している。未手術の猫については、団体もしくは里親で不妊手術予定である。うち5頭は団体から別の団体へ譲渡している(譲渡先の団体名、飼養環境、譲渡後の不妊手術の状況については行政にて確認済)。
  9. 当事者宅には4頭(元々手術済みの1頭とチケット使用の3頭)が残り、同じ場所に住み続ける。
  10. 室内の堆積物は全て除去し、臭いも当初より軽減したが、畳に染みついた臭いまでは取れていない。4頭になったので健康管理もしやすくなったと思われ、ケガをしている猫の通院も出来るようになった。新たに2個のトイレが設置され、不用品も廃棄したため猫の居住空間は広くなった。トイレは今後増やす予定である。
手術日オスメス耳カットのみ
9月5日7209
7209

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
頻繁に飼い主宅を訪問し、掃除の状況や猫の飼養状況等確認していたためか手術当日までにかなり室内の清掃も進み、センター職員が手伝う部分が少なかった。また、どの猫をどのタイミングでケージに入れるか等メモを渡したことで、搬送日に手間取ることなく積み込むことが出来たことは良かった。
しかしながら、大部分の猫達の引取りを愛護団体に協力いただいた事で愛護団体の負担が大きかったことが反省点。


どうぶつ基金スタッフコメント
ボランティアの皆様の協力もあり、申請から手術完了までスムーズに進んだ様子が伺えます。
当事者宅には4頭が残り、飼育頭数が大きく減ったことで当事者の負担は減少。猫を医療にかけることができるようになり、飼育スペースも広がり、現場に残った猫のストレスも大きく軽減されたのではないでしょうか。ただし、手術完了が問題解決のゴールではありません。行政には、さらなる飼育環境の改善と、当事者が新たに猫を増やさないよう定期的なチェックと指導を行っていただくことを望みます。
残る24頭は譲渡もしくは団体による保護で決着となりましたが、行政の報告にもあるように、受け入れるボランティアの負担は計り知れません。「多頭飼育崩壊を起こすような飼い主のもとに戻すな」「なぜ保護しないのか」という意見をいただくことがありますが、それは多頭飼育崩壊とは無関係の、どこかの誰かが身を削る努力をして初めて成り立つこと。とても難しい問題ですが、ケースバイケースで判断していくしかありません。


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