9_福島県白河市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.9
申請日:2024年5月2日
申請/実施責任者:福島県 白河市 環境保全課
場所:福島県 白河市
居住者:当事者本人(61歳、女、無職)配偶者(68歳、男、無職)長男(37歳、会社員)次男(35歳、会社員)
居住環境:持ち家/一戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):26頭(9頭)(16頭で申請するも実際は26頭であった)
手術日:5月23日、6月14日、7月19日
協力病院:きもと動物病院
チケット発行数:16枚
手術頭数:10頭
協働ボランティア:特定非営利活動法人 白河花里倶楽部

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 30年ほど前に近隣で生まれたメス猫を長男が1頭もらい受け飼い始めたが、不妊手術を受けさせる金銭的な余裕がなく、徐々に頭数が増えていった。不妊手術は1頭のみ実施して断念している。
  2. ここ5年ほどで10頭以上に増えてしまい、当事者夫妻も高齢かつ家族からのサポートも厳しいことから管理が困難となり、繁殖に歯止めがかからない状態。
  3. 近隣住民から「多頭飼育崩壊の懸念がある」とボランティア団体に相談が寄せられ、ボランティア団体からの情報提供により発覚した。
  4. ボランティア団体が当事者宅を訪問し、状況の確認と餌の寄付等の支援を実施。その後、市職員2名も訪問して状況確認と聞き取りを行った。衛生環境や健康状態に配慮するよう指導するが、経済的また体力的に当事者自身での解決は難しく、頭数増加に歯止めがかからず精神的に追い詰められている様子が見られた。
  5. ボランティア団体の支援にも限界があり、今のままでは猫の健康ひいては命を脅かす事態が考えられた。また、周辺へ悪影響を及ぼすことも懸念された。ボランティア団体からの提言と現場を確認した市職員の見解により、一刻も早い改善が必要との判断から申請を決定した。
  6. 市職員が現地訪問と聞き取り等を行ったうえで16頭分を申請したが、実際には室外で出産していた猫が複数おり、当事者も正確に頭数を把握できていなかったことから実際の総数は26頭であった。
  7. チケットにより10頭(成猫9頭、子猫1頭)が手術済みとなった。3頭は病気のため余命宣告を受けており手術不可、また、臨月の猫3頭はチケット発行を待たず、ボランティアが費用を負担して不妊手術を実施した。
  8. 未手術の猫10頭の内訳は次のとおり。成猫2頭が行方不明、子猫4頭が死亡、子猫3頭はボランティアが保護(後日ボランティアにて手術予定)、残る1頭は手術可能な時期になればボランティアの支援によって手術予定。
  9. ボランティアが保護した猫の内訳は、子猫3頭、病気の成猫1頭(余命宣告を受けている猫)の計4頭である。また、入院した病気の成猫1頭(余命宣告を受けている猫)も当事者宅に戻った後、ボランティアが保護する予定とのこと。
  10. 終了時点で当事者宅には16頭の猫が戻った。手術後はケガや病気の猫は協力団体が検査・治療を行い、清掃状況や臭い等についてもかなり改善されている。トイレの数は増えたが、室外で排泄することが多いとのこと。
手術日オスメス耳カットのみ
5月23日1405
6月14日2204
7月19日0101
37010

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
出入り自由飼育のため当事者も正確な頭数を把握できず、半分野良で捕まらないため、預かった直後に出産してしまった。


どうぶつ基金スタッフコメント
ひと昔前は、近隣で生まれた子犬や子猫を気軽にあげたり、もらったりということは珍しくなかったのでしょう。当事者は不妊手術の重要性も猫の繁殖力の高さも知らぬまま、室内外を自由に行き来させていました。こういった事例を目にするたび、啓発の難しさを強く感じます。
本件は、近隣住民→ボランティア団体→行政へとつながり、今回の支援によって未手術の子猫1頭を残して不妊手術済みとなりました。行政は、未手術の子猫1頭の手術実施状況をしっかり確認し、また、行方不明になった成猫2頭が戻ってきた場合の不妊手術の実施について当事者等と協議していただきたいと思います。
この現場では子猫4頭が死亡しているほか、病気で余命宣告を受けた猫も見受けられました。迅速に医療にかけられていれば救命や完治が望めた命かもしれません。当事者はそのことを決して忘れず、今後も16頭の飼養環境の改善に取り組むべきであり、行政にはそのための見守りと指導を継続していただくことを望みます。


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