25_群馬県前橋市多頭飼育救済レポート(行政枠)
申請No.25
申請日:2024年7月19日
申請/実施責任者:前橋市保健所
場所:群馬県前橋市
居住者:当事者本人(56歳、女、派遣社員)夫(58歳、派遣社員)息子(17歳、学生)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数(うち子猫の頭数):11頭(0頭)(当初15頭で申請するも実際は11頭であった)
手術日:8月23日
協力病院:ふー動物病院(群馬分院)
チケット発行数:15枚
手術頭数:6頭(全11頭のうち5頭が手術済みであった)
協働ボランティア:群馬わんにゃんネットワーク
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
- 飼い始めた時期は不明だが、近隣住民によると2015年辺りから飼育しているとのこと。当初は敷地内にくる野良猫に餌をあげたり、子猫を拾ったりしていた。
- 最初は猫を室内に入れていなかったが、当事者の親が死去した数年前から室内に入れ始めた。猫が室内外を自由に行き来するようになり、外敵から狙われることが少なくなって子猫を含めて生存率が上がり、健康面に問題がありつつも繁殖を繰り返して現在の頭数にまで増えている。
- 当事者夫妻は派遣の仕事に就いているが、全頭に行き渡る量の餌を確保できておらず、不妊手術や動物飼養に関する知識も不足している。
- 2020年に近隣住民から対象者宅の猫による糞尿被害について保健所に苦情が入り、現地訪問のうえ適正飼育について指導を行った。その際、猫は全部で7頭(うちメス2頭が不妊済)と申し出があったが室内確認はしておらず、実際には申告以上の猫がいた可能性が高い。その後も定期的に近隣住民からの苦情が入り、指導を繰り返したが改善されず。
- 2023年にボランティア団体と連携し、これ以上近隣に迷惑をかけないよう不妊手術を勧めて賛同を得た。しかし、話を進めようと電話や訪問をしてもなかなか連絡が取れず、2024年にようやく連絡が取れた。
- 当事者夫婦の収入では手術費用を負担することは難しく、独立している子供が二人いるが援助はなく帰省することもない。近隣住民や親族との関係も悪く相談先がない状況。室内はいわゆるゴミ屋敷の状態で、早期に治療が必要な子猫がいる。さらに妊娠している猫が確認できたため、これ以上の繁殖を抑えるため申請に至った。
- 当初15頭で申請していたが実際は11頭であった。当事者は手術済みの猫を把握しておらず、耳カットなどの目印もないため確認に困難をきたしたが、うち5頭が手術済みであることが判明し、残る6頭にチケットを使用して不妊手術を行った。
- 猫は手術後も当事者が飼育を継続する。
- 衛生環境についてはあまり変化がないもののトイレの数が増えた。猫の健康状態が悪かったが、治療によって現在は改善されている。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
---|---|---|---|---|
8月23日 | 3 | 3 | 0 | 6 |
計 | 3 | 3 | 0 | 6 |
【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
数年前からの苦情対応でようやく手術にこぎつけた点は評価できるが、頭数把握が難しく、チケット確定後も当事者となかなか連絡が取れなかったことや室内環境の改善ができなかったことが反省点である。
どうぶつ基金スタッフコメント
すでに手術済みであった5頭に耳カットなどの目印はなく、当事者自身もどの猫が手術済みかを把握しておらず、手術対象の猫の判別に困難があったようです。幸い、この5頭については二度の麻酔と開腹のリスクを避けることができましたが、早急に支援が必要にもかかわらず連絡が途絶えるなど、これまでの当事者の言動からは残念ながら猫への愛情は感じられません。
ともあれ、11頭の猫は全頭手術済みとなりました。猫は今後も当事者が飼育を継続しますが、飼育環境の改善は絶対に必要です。また、これまでの経緯をみても、本件の当事者には保健所による定期的な状況確認と指導は欠かせません。数年後には元通り、という事態にならないよう今後も継続して関わっていただきたいと強く願います。