石岡市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)②

申請No.2
申請日:2018年8月31日
申請/実施責任者:石岡市生活環境課
場所:茨城県石岡市
居住者:当事者本人(60歳、女)、(60歳、男、無職)
居住環境:借家/アパート
生活保護の受給状況:受給している
協力者:茨城県動物愛護推進員
多頭飼育現場の猫の総数:24頭
手術日:9月24日、26日
協力病院:石岡中央動物病院
チケット発行数:24枚
手術実施頭数:24頭

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

    1. 昔の同居人が置いて行った猫2頭を引き取ったのが始まり。
    2. 石岡市で生活保護を担当する社会福祉課より、生活環境課に対し受給者の中にアパート内で猫を多数飼育し悪臭がひどいものがいるとの相談があった。
    3. 茨城県動物愛護推進員、社会福祉課、生活環境課の合同で現地確認し当事者に聞き取りを行ったところアパート内で猫を24頭飼育し受給額が限りある中でえさ代を捻出している。完全室内飼育。飼い始めた際は2頭だったが繁殖してしまった。かわいそうで捨てたり、茨城県動物指導センターなどに引き取ってもらうことは考えていなかった。」と話した。
    4. 当事者本人の栄養状況が悪く、また部屋の隅に糞が積み上げられ悪臭を放っており衛生状態が劣悪。これ以上の繁殖を避けるためには全頭の避妊去勢手術の実施が必要であるがこの状況では自己負担で全頭避妊去勢手術を実施することは難しく、また個人所有の犬猫の避妊去勢手術に対し市から経済的な援助を行うことも困難なため、どうぶつ基金へ協力を依頼するため多頭飼育支援申請書を郵送。
    5. どうぶつ基金よりチケットが到着。関係課・ボランティア・協力動物病院と日程調整を行った。
    6. ボランティア・生活環境課・社会福祉課の3者で当事者宅から猫24頭を引き上げ動物病院へ搬入・手術を実施し、当事者へ戻す作業を行った。この際部屋を掃除するように当事者に指導を行い、27日(木)10時には当事者宅へ戻しきった。

実施スケジュール(報告書より)
8月31日 (金) どうぶつ基金へ申請。
9月19日 (木) どうぶつ基金チケット到着(計24枚)
9月24日 (月) 病院へ運搬・手術(石岡中央動物病院)オス7頭、メス10頭手術
9月26日 (水) 病院へ運搬・手術(石岡中央動物病院)オス1頭、メス6頭手術
9月27日 (木) 当事者宅へ全頭戻す。

手術を終えた猫24頭については、当事者のもとに全頭戻した。
現在はボランティア主導で猫の里親探しを平行して行っており、飼い主が決まり次第
引き渡しを行う予定。

手術日 オス メス 耳カットのみ
9月24日 7 10 0 17
9月26日 1 6 0 7
8 16 0 24

 

【現場写真(支援前)】
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【現場写真(支援後)】
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今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)

  • 猫を運搬するために必要なケージは市には1つしかなかった為、ボランティアや協力病院から借用して使用する必要があった。
  • 予算の範囲内になってしまうが購入を検討したい。
  • 猫捕獲→ケージへ入れる→動物病院へ運ぶ→手術→当事者宅へ運ぶといった作業だがケージを事前に自宅に搬入し飼い主に捕まえるように依頼したが当日伺うと捕まっておらず職員3名での猫の捕獲に手間取ってしまった。
  • 捕獲後の運搬に使用する公用車にも悪臭がうつらないように新聞やビニールなどを敷く必要があった。
  • 今回は術後に運搬に使用したケージ内で経過観察を行ったため使用後にはケージがかなり汚れてしまった。
  • 庁舎内で洗浄するには悪臭の問題があり市所有の作業場まで赴く必要があった。また猫を屋内で捕獲しケージに移す際に玄関にしかける仕切り(ゲート)など、市では持ち合わせていない道具が多くあった。
  • 生活保護者の多頭飼育崩壊ということで今回は社会福祉課・生活環境課の合同事業となったが、今後ボランティアからの要請により多頭飼育崩壊現場に生活環境課単独で介入することになった場合、人の確保が課題となり市としてどこまで出来るか検討が必要だと感じた。
  • どうぶつ基金に発行して頂いたチケットがあるとはいえ、病院の休業日・始業前・休憩時間などに事業にご協力いただいた「石岡中央動物病院」にはかなり負担の大きい作業であったと思う。しかし、手術後に先生からは「多頭飼育崩壊への対応に市が協力していただけるのは大変ありがたい」旨の話を頂いた。
  • 地域猫については茨城県でも昨年度から補助事業が開始されたが飼い主がはっきりと存在する「多頭飼育崩壊」については現在のところ行政単独では対応が難しい。この穴を埋めるどうぶつ基金の存在は非常に大きく、市としてはボランティアと協力し対応することで愛護行政への不信感を払拭できたのではと感じた。

どうぶつ基金スタッフコメント

今回のケースは当事者自身が金銭的にも、猫の飼養も困難な状況であったことが伺える。猫の繁殖力は凄まじく数年で数十頭にまで増えてしまうことから、初めの2頭への早期の不妊手術が必要であった。今回は行政と民間の連携がうまく繋がり、行政側としても今後のケーススタディーとなったことであろう。このようなことが起こらないためにも、飼い主への動物飼養のガイドラインの啓蒙が望まれる。


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