「動物の愛護及び管理に関する法律」では、「第37条 犬又はねこの所有者は、これらの動物がみだりに繁殖してこれに適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖を防止するため、生殖を不能にする手術その他の措置をするように努めなければならない。」と明記されています。
1匹の母猫から出産される子猫は6匹。
その子猫から出産される猫、猫、猫、猫、猫…
不妊手術をしなければ、
1年後には50〜70匹になると言われています。
犬・猫の不妊手術(生殖を不能にする手術)とは
不妊手術にはいくつかの方法があります。
メスの場合
- 子宮と卵巣を全部摘出する手術
- 卵巣だけを摘出する手術
- 子宮だけを摘出する手術
- 卵管を結んで卵子が子宮に下りないようにする手術(卵管結さつ術)
利点
- 望まない妊娠をしない。(猫が増えない)
- 卵巣・子宮の病気のリスクがなくなる。
- 性ホルモンに関係する乳腺腫瘍などの病気のリスクが低くなる。
- 性的な欲求不満から来るストレスから開放される。また欲求不満が原因の問題行動も予防できる。(大きな鳴き声トイレ以外での排尿、外に出たがる、飼い主の言うことを聞かないなど) 様々なリスクを軽減することにより、寿命が延びる
欠点
- 肥満傾向になる。(適切な栄養管理で防げる)
オスの場合
- 睾丸を全部摘出する手術
- 睾丸を残してパイプカットをする手術
利点
- 望まない交尾がなくなる。
- 前立腺の病気、精巣や肛門周辺の腫瘍などを予防できる。
- 性ホルモンに関係する病気のリスクが低くなる。
- 性的な欲求不満から来るストレスから開放される。
- 発情期特有の困った行動がなくなる。(大きな鳴き声、マーキング、外に出たがる、ケンカなど)
- オス同士の競争による攻撃性が低下する。
- ケンカや交尾で感染する病気のリスクが低くなる。(猫エイズなど)
- 様々なリスクを軽減することにより、寿命が延びる
欠点
- 肥満傾向になる。(適切な栄養管理で防げる)
それぞれ特徴がありますが、いずれも生殖を不能にする手術です。
早期不妊手術の勧め
どうぶつ基金では行政による殺処分ゼロ実現のために様々な取り組みを行っています。犬や猫の不妊手術奨励事業は、その中核事業です。
早期不妊手術とは性成熟前の性腺除去のことであり、通常6~14 週齢(42~98 日齢)の仔犬と仔猫で行うことが定義されています。
どうぶつ基金では早期不妊手術を実践し啓発しています。早期不妊手術の目的は「殺処分されるために生まれてくる不幸な命を増やさないこと」ですが、実は手術後の犬や猫たちの健康面や問題行動の予防などにもメリットがあります。
早期不妊手術のメリット
- 手術時間が短く、出血が少ない。
- 組織や皮膚が柔軟で手術がしやすい。
- 使用する薬品量が少ない。
- 成犬猫と比べ、精神的にも肉体的にも回復が早い。
- 合併症が起こりにくい。
- 術後の回復期間が短い。
- 「予期せぬ妊娠」を確実に減少させることができる。
参考資料
長野県動物愛護センターにおける早期避妊 去勢手術について 平成13 年2 月23 日(金)(平成12 年度食品衛生監視員技術研修会発表抄録:発表者及川悦子)