笠間市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)⑦
申請No.7
申請日:2018年10月31日
申請/実施責任者:笠間市環境保全課
場所:茨城県笠間市
居住者: 当事者本人(50歳、男、ホテル作業員)、母親(70代、ホテル清掃員)
居住環境:持ち家/戸建て(2階建)
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:29頭(内1頭が不妊手術済)
手術日:11月15日
チケット発行数:28枚
協力病院:いながき動物病院
手術頭数:21頭
※7枚のチケットが未使用であったが、4頭は子猫、成猫1頭は病気により手術できなかった。成猫2頭は奇形で高度な医療技術を要するため依頼者本人負担により不妊手術を行った。
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
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- 飼い猫を1頭飼養していたところ、数年前に野良猫1頭をかわいそうになり保護し飼養を始めた。
- 飼養当初は室内外関係なく世話をしていたが餌をあげ始めたことをきっかけに周囲から子猫を連れてくるようになった。
- しばらくして世話をしていた子猫がカラスに襲われるようになり死んでしまう個体が数十頭出てきたためそれから全頭室内で世話をするようになった。(子猫が襲われる時点ですでに出産を繰り返しており相当な数が周辺で生活していた。これまでに累計30頭ほど死体を処理している。)
- 野良猫を保護する前から飼養していた個体は手術を済ませているがその他の個体の数年間に及ぶ繁殖活動を止められず出産と死亡を繰り返したことにより現在29頭を飼養している。
- これまでに30頭前後死んでいる為、全頭室内飼養が継続されさらなる急速な増加が危惧される。
- 当事者との話の中で手術代を捻出し繁殖を止めることは厳しく今後さらに増えることで多頭飼育崩壊となり餌代や世話代により当事者自身の生活に大いに支障をきたすことが危惧される。そのため本事業を活用し全頭の手術を行いたいと思った。
- 当事者は現状の改善に向け前向きであり、不妊去勢を少額もしくは無料で行えることを知人から聞き市へ相談を持ちかけたことにより発覚。市職員とボランティアが自宅に訪問し現場と状況について聴取した。これ以上増えなければ当事者自身で飼養が可能なため元へ戻し終生飼養をする。また手術後は可能な限り里親探しを行っていく。
- 手術できなかった個体は尿路結石により血尿を患っている成猫1頭、生後1ヶ月に満たない猫4頭の計5頭。奇形の為同様の手術ができない猫2頭については当事者負担で手術を実施した。
- 以前より動物愛護行政において相談している個人ボランティア(H氏)に相談し実務において全般的に協力頂いた。頭数や飼育環境に大きな変化はないが望まれない不幸な命が産み出されることがなくなった。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
11月15日 | 14 | 7 | 0 | 21 |
計 | 14 | 7 | 0 | 21 |
【現場写真(支援前)】
【現場写真(支援後)】
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
・これまで出産と子猫の死亡を繰り返していた環境からの脱却することができた。
・事前の調査は2回行ったが詳しい住環境について聞き込みができず猫の頭数においても認識違いが生じてしまった。
どうぶつ基金スタッフコメント
今回のケースも、初めの数頭のうちに避妊手術を施していれば多頭飼育崩壊を未然に防げた案件であった。多頭飼育では近親交配により奇形の猫が生まれてくる可能性も高く、オス猫がメス猫の発情を促すため子猫を食べてしまうという事例もある。繁殖をコントロールすることは、猫のストレスを軽減することにもなり効果的である。今後この生活環境を維持し衛生管理に留意して生活していかれることを願っている。
現場 | オス | メス | 性別不明 | 耳カットのみ | 合計 |