戦争があると環境への取り組みはどうなっちゃうの
2022年4月15日現在、ロシアの侵攻によるウクライナの戦禍は
まだ収まっていません。テレビから流れてくる情報を聞いているとまるで、
この33年の人類の戦争回避への努力が水の泡になったかのようです。
第二次世界大戦が終わったのが1945年。それから44年経ち、
東西冷戦の終結をアメリカの大統領やソビエトの書記長が宣言したのが
1989年。それから今年で33年。この間、人類は少しずつ戦争を
遠ざける努力を重ねてきました。
環境破壊は戦争の火種です。そして、いったん戦争があると、
さらに自然環境が破壊され、人々の暮らしが貧しくなるため、
さらに次の戦争へ追い込まれていくという悪循環になってしまいます。
地球環境を守るのは、戦争を防ぐためでもあるのです。
気候変動も、エネルギー危機も、生物多様性保全も、
自分の会社の儲けには関係ないからやらなくていいや、と言っていると、
戦争に巻き込まれて、すべてを失い、ひどい目に遭います。
だから、そうなる前に、すべての地球上の人が、ちゃんと自然を守る対策をして、
持続可能な自然環境の中で、暮らすようにしなくちゃ、ね。
と言っても、しっし、あっち行け、といっているだけでは、
戦争はあっちに行ってくれません。
その時の外交が大事、なのですが、政府がちゃんと外交をしているか、
すべての国と平等に仲良く付き合っているか、民意でコントロールする
技術や道具も、世界中、まだ万全とは言えない状態です。
では、戦争を遠ざけるための地球の最先端の技術は、どうなっているんでしょう。
いちばんのメインステージは、ニューヨークの42ndストリートにある
国連本部です。ここで話し合って法律を作り、戦争を遠ざけようと試みています。
えー、そんなこと言ったって、実効力ないんでしょ、と言う人が、よく、います。
えー、だって、防げなかったじゃないか、という声もよく聞きます。
それでも法律を積み上げ、人類の存続をかけた法律なんだから守っていこう、
と根気強く説き続けるしかないし、結局それがいちばん早いのです。
遠回りに見えても。
即効性がないからやらない、どうせダメだからやらない、といっているようでは、
国際社会のりっぱな一員とは言えないのが現実です。せっかく今は国際社会の
一員として、ひとつの国として国連に参加しているのですから、みんなと
力を合わせて、平和な国際社会づくりに積極的に参加しなくちゃ。ね。
これまで、どんな歩みがあったか、ロシアのウクライナ侵攻に無力感を
感じる前に、ちょっと思い出してみましょう。
まずそもそも、なにじんだから、ほかのひとの言うことをきかなくちゃいけない、
というムチャクチャな「人種差別」、これは戦争のいちばんの種なのですが、
それをなくすために作られた「人権」という概念について。
1948年には、世界人権宣言が採択されました。
第二次世界大戦の3年後だから、戦争終わってすぐ、に見えますが、
これだって以前からの長年の話し合いの積み重ねでできたのです。
戦争犯罪を防ごうとする取り決めは20世紀の終わりにできました。
1998年には、国際刑事裁判所を作るための法律(「ローマ規定」)が
採択され、2002年には国際刑事裁判所(インターナショナル・クリミナル・
コート:ICC)ができました。日本では5年後の2007年に発効しました。
武器を非合法にしようとする取り決めも始まっています。
非人道的であることを理由に、使用が禁止された武器も徐々に増えています。
1997年には「対人地雷禁止条約(オタワ条約)」が調印され、
1999年に発効。2008年には「クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)」が調印、
日本を含む94カ国が条約に署名、2019年時点で120カ国が署名、107カ国が
批准(ひじゅん)しています。
核兵器を非合法にする取り決めも一歩一歩ですが進んでいます。
核兵器禁止条約(Treaty on Prohibition of Nuclear Weapons(TPNW))が
できたのは2017年。50ヵ国が批准した90日後に発効する、という
決まりに則って、2017年9月20日に最初の3カ国、ガイアナとタイとバチカンが
署名批准、2018年にはメキシコから始まって19カ国が署名、2020年に
批准国が50カ国に達したので、2021年1月22日に世界的な法規範として
正当な効力を持つことになりました。
この核兵器禁止条約に日本は「不参加」です。
被爆国なのにこれはよろしくないことです。国際社会からの期待も
高まっています。今年こそは参加し、署名批准し、国際社会に日本の国民
としての声と存在を伝えたいものです。
この運動を進めてきたのは核戦争防止国際医師会議から独立結成された
「核兵器廃絶国際キャンペーン:ICAN」は2017年にノーベル平和賞を
受賞。2018年には事務局長が来日し、国会議員らと話し合い、
参加を呼びかけました。
核兵器禁止条約が採択された2017年の国連本部での核兵器禁止条約交渉会議は、
賛成122票、反対はオランダの1票、棄権はシンガポールの1票、
賛成多数による採択でした。
参加していないのは、核兵器保有国のアメリカ、中国、イギリス、フランス、
ロシア、インド、パキスタン、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と、
反対票を投じたオランダをのぞいたNATO加盟国と、オーストラリア、
大韓民国、日本です。
ヨーロッパではスウェーデン、スイス、オーストリア、アイルランドが
参加しています。
国連の法律のこの頃の作られ方は、まず話し合って、条約案を作ります。
そのときに同時に、何カ国が署名したら何年後に発効する、と決めておきます。
条約案はその会議に出ている参加国が賛成多数で成立します。成立すると、
条約案は条約になります。次に、国連で決まったその条約を自分の国に
持ち帰り、国内のみんなで話し合い、いいね、これをうちでも守るし
他の国にも守ってもらおう、という合意が国会でできて承認が取れたら、
それを国連に持ち帰って、条約にサイン(署名批准)をします。
署名批准をする国が最初に決めた国の数に達したら、発効します。
効力を発揮するのは、参加国の間で、です。大国であろうが小国であろうが、
人口が多かろうが少なかろうが、武力が大きかろうが小さかろうが、
お金持ちだろうが貧困国であろうが、国連では平等に扱われます。
一票は一票なのです。民主的な運営です。
人権や武器、核兵器についての取り組みと同じように、動物愛護や気候変動、
CO2削減、自然環境破壊、海洋汚染についても、同じようにひとつひとつ、
法律を作り、人類滅亡の危機を回避しようとしています。そのひとつの、
総合的な指針が、この頃よくテレビで見かける、「SDGs(エスディージーズ)」です。
こうやって、踏みにじられているその瞬間は、その努力が水の泡に
見えようとも、ひとつひとつ国際社会は、民主的な手法にのっとって、
平和への努力を積み重ねています。そしていったん作った法律は、
歴史に残り、誰が踏みにじろうとも、消えません。しつこく、しつこく、
守るように言い聞かせる、追いかけて、どこまでも追いかけていって、
参加を呼びかける、守るように呼びかける、それが民主的な地球の運営と、
人類の危機回避の唯一の道なのです。
いまは、とほほ、だけど。良くなるように、ひとりひとりが
力を尽くさなくちゃ、ね。諦めたり、いちぬーけたー、と言って周りを
ガッカリさせたりしないように、ね。
ロシアのウクライナへの侵攻が、一刻も早く停戦になりますように
参考資料:今のNATO北大西洋条約機構という軍事同盟へ参加しているのは
この30カ国。
アイスランド、アメリカ合衆国、イタリア、英国、オランダ、カナダ、
デンマーク、ノルウェー、フランス、ベルギー、ポルトガル、ルクセンブルク、
ギリシャ、トルコ、ドイツ、スペイン、チェコ、ハンガリー、ポーランド、
エストニア、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ラトビア、リトアニア、
ルーマニア、アルバニア、クロアチア、モンテネグロ、北マケドニア
(30か国:2022.4. 外務省のホームページより引用)
文責 マエキタミヤコ
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