100万人のキャンドルナイト

こんにちは
どうぶつ基金事務局です。

夏至と冬至の日、ろうそくの灯で夜を過ごそうと
始まった「100万人のキャンドルナイト」。

ろうそくに灯され愛する人達と静かに過ごすロマンチックな夜、
電気にまつわる環境についてちょっと考えてみませんか。

「100万人のキャンドルナイト」の呼びかけ人の一人、
マエキタミヤコさんからのお話です。

できれば部屋の電灯を消して「100万人のキャンドルナイト」に
参加しながら読んでいただければ幸いです。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
100万人のキャンドルナイト
~風力や太陽光発電って本当に地球にやさしいの?~

でんきを消して、スローな夜を。

夏至(げし)の日の夜8時、
一斉にでんきを消して、真っ暗な中で音楽を聞いたり、
ろうそくの微かな光を浮かべたお風呂に入ったり、星を眺めたり、
ワインを飲んだり、思い思いに暗闇を楽しむ、100万人のキャンドルナイト。

あなたは誰かと一緒に、やってみたこと、ありますか。

もともとは、人類の文明の進化はこれでいいのだろうか、
立ち止まって、ちょっと考えてみよう、と始まった環境文化運動です


100年前、電気はこんなに普及していませんでした。

日本の電燈は1882年、明治15年銀座にアーク灯が点いたのが最初です。
日本の鉄道で初めて、JR中央線(当時の名前は甲武鉄道)が電車を使った
営業運転を始めたのは1904年の明治37年です。

戦後、新しい電化製品が次々と登場し、焼け跡からの復興を象徴しました。
テレビも、洗濯機も、冷蔵庫も、エアコンも、エレベーターも、
エスカレーターも、「近代化」と「豊かな生活」と「経済発展」という
言葉とともに、みんなを夢中にしました。

電気は、暗い所を明るく、遠い所を近く、重いを軽く、寒いを暖かく、
暑いを涼しく、ゆっくりを早く、しました。それは、本当でした。

大量生産・大量消費を、高度成長を、可能にした電気。
ああ、便利という言葉は電気のためにあるようなもの。
でも、待って。便利になり過ぎたのではありませんか。

もちろん電気を全否定する気はありません。「便利」は、いいことです。
でも、その「便利」のかげで自然環境が破壊されているとしたら、どうでしょう。

電気のかげは、ふたつあります。
ひとつは、電気を作るときに起こる、直接的な、自然環境の破壊。
もうひとつは、電気にどんどん依存していこうという同調圧力が引き起こす、
間接的で、社会的な、でも結果は同じく、自然環境の破壊。

電気が悪者だ、悪の元凶だ、悪魔だ、と言っているのではありません。

電気について、ふたつの大きな無知が発生していて、
それが私たちの首を締めています。

具体的に、電気を作るときに起こる、直接的な、自然環境の破壊のナンバーワンは、
気候変動です。電気を作るとき、CO2がたくさん出ます。
特に火力発電から。これが気候変動のいちばんの要因です。

気候変動は水害と水不足と食糧危機と貧困と国家間の争いと戦争の、
原因になります。

電気を作るときに起こる、直接的な、自然破壊はまだあります。

水力発電のダムは川を壊します。
川にある生態系、魚や虫や植物や微生物、生物の多様性が失われます。
川が劣化すると、山と海が劣化します。国土が劣化すると、農林水産などの
一次産業が劣化します。一次産業が劣化すると、食べ物や家や家具を
作るときの材料である木、服の材料が不足します。

いま日本の大きな川で、ダムのない川はほとんどありません。
ダムにも耐久年数があり、古くなったダムは壊して自然に返そうという動きが
始まりましたが、日本ではまだあまりちゃんと受け止められていません。

原子力発電から出る核のゴミは、安全になるまで10万年かかるといわれています。
子どもの未来に重荷を負わせる発電方法です。

核のゴミはそれ自体では近くに寄れないため、(近くに寄るとニンゲンも
死んでしまうため)、特殊な扱い、特殊な加工が長年にわたって必要なため、
それ自体が厄介なもの、危険なもの、社会としての「弱点」になります。

弱みを押し付けられてはかなわない、と賢く考え、政治的に上手に立ちまわった
地域に原子力発電所は建っていませんが、大きなお金に釣られて「まあいいか」
とあきらめてしまったか、甘く考えていたか、絶対事故は起こらないと言われ
本当にそう思ってしまった地域に、原子力発電所は建っています。50年ほど前、
政治的に弱かった地域です。2011年には、絶対に起こらないと言われていた
事故が起こり、安全神話が崩れたため、モラルの崩壊も起きています。
モラルの崩壊とは、具体的には、「どうでもいいや」「考えたくない」
「なんでそんなこと私たちに関係があるの」「私は悪くない」「誰かが
適当にやってくれればいいよ」「私には関係ない」という無責任のことです。

やれやれ。
ホント、やれやれ。
電気って、ホントに厄介。

いまだに「クリーンエネルギー」と呼んでいる人がいる原子力発電ですが、
クリーン(きれい)ではありません。

原子力マネーによる地域コミュニティの破壊ほどダーティなものはありません。
うっかり原子力発電を受け入れて建てさせてあげた地域コミュニティの一部にだけ、
電力会社がお金をあげて、片方の悪口を言ったり、仲間割れをそそのかしたりして、
地域コミュニティを分断して、話し合わせないように細工する定型の方法が確立
されています。健全な合意形成をじゃまする、これは民主主義社会の冒涜です。
負の要素が多過ぎます。

再生エネルギーならいいんじゃないかな。
そうですね、確かに、まし、です。
でも負の側面がまったくないとは言えないので、要注意です。

太陽光パネルや水車などの小水力発電で、自分の家で使う量だけ発電しよう、
あるいは自分たちの地域コミュニティで使う分だけ電気を作ろう、というのが
いちばん賢い方法ですが、他の遠い地域の分まで発電して送電線を使って
電気を売ろう、とすると少しずつ無理が出てきます。送電線を通すと、
電気は減りますしね。(これを送電線ロスと呼びます。)

太陽光発電はパネルを作るのに電気をたくさん使います。
メンテナンスにも手間がかかります。太陽光パネルを大規模に設置するための
土木工事が原因で土砂崩れが起こる可能性も考えないといけません。
土木工事はそれ自体が環境負荷になります。

自然をいじり過ぎた上での土砂崩れの被害は、
一見自然災害に見えますが、人災です。

この頃ようやく、防災マップが公開されるようになりました。
ぜひご自宅の災害時の危険度をチェックしてみてください。

行き過ぎた宅地開発の結果としての、水際に住み過ぎた上での水害は、
自然災害ではありますが、人災でもあります。

風力発電はバードストライクが問題になっています。
日本の大型の風力発電の羽(ブレード)は1枚が40m、大型旅客機の翼と
同じぐらいで、高さは100mを超えます。ゆっくり回っているように
見えますが、先端の速度は時速250kmを超え、「新幹線並み」です。
カバーのない扇風機が山の上で回っているのと同じです。
そして鳥の目には、風力発電機の羽は見えない。これが大問題なのです。

風力発電が殺してしまう鳥は、山の生態系の頂点に立つ猛禽類、特に、
天然記念物で絶滅危惧種で国内希少種であるオジロワシの被害が甚大なのです。
被害はオジロワシだけではありませんが、オジロワシはこれまで日本が必死で
守ってきた特別な猛禽類です。さらに、日本の生態系の頂点に立つ猛禽類と
呼ばれる鳥類を守ることは、日本の自然そのものを守ることになります。
なぜなら、猛禽類は非常に注意深く、神経質で、エサ取りの行動範囲も広く、
さらに個体識別ができるNGO(自然保護団体)の研究者も多く、研究も
進んでいるので、データが比較的他の生物よりも取りやすく、法律を作って、
科学的に守ることができるのです。つまり、猛禽類を守ることは、山のほかの
生き物たちをもまとめて守ること、なのです。天然記念物や絶滅危惧種を
守るため、猛禽類研究者が山の中で、双眼鏡で、ひと家族ずつ、子育てを
見守ってきたオジロワシ保護の30年間の、NGOと国の両方の努力を、
一瞬で切り裂いてしまう風力発電の罪。それを、電気を使う私たちは、
向き合って、考えていかなければなりません。
(日本野鳥の会が公開しているプレゼン資料:
https://www.meti.go.jp/shingikai/safety_security/renewable_energy/pdf/001_03_04.pdf

(ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社が公開している風車の大きさ:https://energy.jre.co.jp/re-energy-book/onshore-wind-power/#:~:text=%E3%81%BE%E3%81%9A3%E6%9E%9A%E3%81%A7%E6%A7%8B%E6%88%90,%E5%9B%9E%E8%BB%A2%E3%81%97%E7%B6%9A%E3%81%91%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

電気がないなんて、想像できない。電気が止まることを考えたら、
怖くて、怖くて。まずはその「怖さ」から、ちょっと抜けてみませんか。


夏至は、一年でいちばん陽が長くなる日。
今年、2022年、北半球では6月21日。

ぜひ、ご家族で、お友だちと、
いい100万人のキャンドルナイトをお過ごしください。

文責 マエキタミヤコ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どうぶつ基金のさくらねこショップの収益は全て、動物愛護活動に使われます。
28f5241a2181bac6ff6eb6425a89d288.png

この機会にチャリティグッズを購入して、
動物愛護活動へのご支援をお願いします。
 
Yahoo!店 https://store.shopping.yahoo.co.jp/doubutu-kikin/

BASE店 https://doubutukikin.thebase.in/

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
あなたのご寄付が、地球を守ります。
知ることは、アクションの始まりです❣
https://www.doubutukikin.or.jp/contribution5/
 
毎月のご寄付へすでにご参加いただいているにもかかわらず、
再度のご案内となりました場合は失礼をご容赦ください。
 
※金額変更はこちらのフォームからお申し込みください。
 
*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*—*

最近の投稿
  • 【ちきゅう部だより】ダメ!野生動物の餌付けと猫の置き餌
  • 【視察レポート:アフリカ編】アフリカのサイには○○がない!?
  • 【ちきゅう部だより】第18回 コンゴで考える人間の家族と犬の家族
  • 【視察レポート:アマゾン編】ナマケモノはペットではない