群馬県前橋市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)㉓

申請No.23
申請日:2020年月1月22日
申請/実施責任者:前橋市保健所
居住者:当事者(71歳、女)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護受給の有無:受給している
多頭飼育現場の猫の総数:37頭
手術日:なし
協力病院:ふー動物病院(群馬)
チケット発行数:22枚(15頭はすでに不妊手術済みのため、残りの22頭分のみ申請に至る)
手術頭数:0頭(チケットによる手術が困難となったため使用せず)

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

    1. 当時者が50代の頃にうつ病を発症し、その頃に野良猫を保護し始めたのがきっかけ。
    2. 当時、出入り口の管理が甘かったため、外への出入りも出来る状態でさらに繁殖してしまった。
    3. その後も当事者は近所の野良猫にエサやりを続け、体調が悪い猫がいると持ち帰るといったことを繰り返していた。
    4. 不妊去勢手術も少ないながら行っていたが、ほとんどオスばかりでかつ、捕まえられる猫だけ行っていたため、収拾がつかない状態になってしまった。
    5. 当事者は精神的に不安定になることが多く、高揚状態と沈鬱状態が繰り返されている(やる気のある時と無いときの落差が激しい)。現在も精神内科に通院中。
    6. 当事者本人から保健所への猫の引き取り相談があり発覚。増えてしまった猫のうち、半数(約20頭)という中途半端な引取を相談してきた。
    7. 一旦譲渡先を探す努力をするよう話すと、数日後「やっぱり引き取りはしてもらわなくてよい」とのこと。ボランティア団体からも今回の多頭飼育について相談があった。
    8. 現地確認をして聞き取りすると、飼う意思はあるということであった。
    9. 総数37頭のうち15頭はすでに不妊手術済みのため、残りの22頭分のみ申請に至る。
    10. 当事者が、チケット申請後に耳カットについての同意を翻し「耳カットはしたくない」と意思表明。今後について聞くと、自力で全頭手術するとの意思を示した。資金面等について危惧し、行政側から数度にわたり説得したが、どうしても耳カットはしたくないということで同意を得られず。
    11. その後も説得を続けたが、当事者の精神不安定によって折り合いがつかなくなってしまい、チケットによる手術の実施が困難となった。
    12. 完全室内飼育は絶対厳守すると約束したが、不安が残る。

【現場写真(支援前)】
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今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
・チケット申請時までは耳カットについて同意していたが、チケット申請後に「やっぱり耳カットはしないでほしい」と当事者が強く拒否したため、チケットによる手術実施が困難となってしまいました。
・完全室内飼育と、6月までに残りの全頭手術をすることを条件としたところ当事者が納得したため、どうぶつ基金様には大変ご迷惑をお掛けしましたが、今回のチケットは未使用とし、当事者が自力で解決する方向となりました。
・力及ばずとなりすみませんでした。


どうぶつ基金スタッフコメント
多頭飼育崩壊の当事者は、経済的、精神的に問題を抱えていることも多く、解決は容易ではありません。今回は、その難しさをあらためて思い知ることとなりました。6月までに全頭に不妊手術を行うことで当事者と同意したとのことですが、その約束がきちんと果たされるのか、また、健全な飼育を本当に行うことができるのかを注視していく必要があります。
行政には、時間をかけて当事者との信頼関係を築き、継続的にサポートしていくことが求められます。


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