和歌山県橋本市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)㊸

申請No.43
申請日:2020年12月14日
申請/実施責任者:橋本市 生活環境課
場所:和歌山県橋本市
居住者:当事者(75歳、男、農業)、妻(70歳、無職)、長女(42歳、会社員)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:20頭
手術日:3月4日
協力病院:北摂TNRサポート のらねこさんの手術室
チケット発行数:20枚
手術頭数:19頭(1頭は手術前に病気で亡くなる)

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

    1. 約20年前に2頭の野良猫を飼い始めるも、不妊去勢手術を行っていなかったため、一時は26頭まで増えた。
    2. 現在は20頭に当事者が給餌しており、猫たちもよくなついている。
    3. 当事者は自身が高齢であることにくわえて、妻が認知症であることや長女は仕事で帰りが遅いことから、当事者以外に猫の世話ができる人間がおらず、これ以上猫たちが増えると面倒を見切れないという不安を口にしていたとのこと。
    4. 11月19日に橋本市いきいき健康課が地域ケア会議を主催。介護事業所担当者を対象に、ボランティア団体と生活環境課担当者が「高齢者のぺット飼育について」の講演を行ったところ、講演終了後に当事者の妻のケアマネージャー担当者から、いきいき健康課を通じて猫の多頭飼育について困っている旨の相談があり事態が発覚した。
    5. 当事者は、餌代および病院代で年間約20万円を要しており経済的にも苦しい状況。
    6. できる範囲で地元の獣医師の治療を受けさせてはいるが、治療費が高くつき満足のいく治療はできていないとのこと。猫風邪による目やにで目が見えていない猫や下痢をしている猫も確認された。
    7. 手術は1日で完了し、手術前に病気で亡くなった1頭を除く全19頭が不妊手術済みとなった。
    8. 当事者宅は農村地区にあり、室内外問わず猫の出入りは自由だった。手術後も現場の状況に変化はないが、繁殖行動を必要としなくなったことから猫の行動範囲が狭くなった。
    9. 猫の健康状態も非常に良くなり元気に過ごしている。
    10. 当事者はこのまま同じ場所に住み続け、今後もいきいき健康課とボランティア団体の支援を受けながら猫たちとともに生活していく。
手術日 オス メス 耳カットのみ
3月4日 7 12 0 19
7 12 0 19

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
猫たちが当事者によくなついていて非常に捕獲がスムーズであったことをプラス要因として、自己評価点は90点としたい。


どうぶつ基金スタッフコメント
行政が介護事業者向けに主催した会議上での講演がきっかけとなり、支援につながりました。行政がこのようなかたちで発信してくれることで、日常的に動物愛護や多頭飼育の問題に触れることがない方に情報が届きます。特に介護事業者は高齢者と接する機会が多いだけに、今回のケースのように素早く支援につなげることができます。他行政でもぜひ同様の取り組みをしていただきたいです。
当事者は当事者なりに愛情を持って猫に接していたことが伺えます。経済的に余裕がないことから満足のいく治療は難しかったようですが、具合の悪い猫は病院に連れていき、非常に苦しいなかでもお世話は欠かさず行っていました。だからこそスムーズに捕獲でき、1日で手術を完了することができました。行政とボランティア団体による継続的な支援を受けながら、人も猫も穏やかな時間を過ごしてくれることを願います。


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現場 オス メス 性別不明 耳カットのみ 合計