山梨県笛吹市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)㊵

申請No.40
申請日:2020年12月17日
申請/実施責任者:笛吹市 環境推進課
場所:山梨県笛吹市
居住者:当事者(58歳、男)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:56頭(申請時は推定32頭)
手術日:1月15日、16日
協力病院:ふー動物病院
チケット発行数:26枚(未手術と推定される頭数で申請)
手術頭数:26頭

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

    1. 7年ほど前、職場の同僚から猫を1頭引き取ることになった。当初は1頭のつもりだったが、もらったダンボールの中にオスとメスの2頭が入っており、そのままなし崩しに2頭飼うことになった。
    2. 最初に引き取ったのがオスとメスだったため、職場の人からは早く手術を行うよう指摘を受けていた。手術の必要性を認識していたが金銭的な負担もあり、後回しにしているうちにどんどん猫の数が増えてしまった。
    3. 当事者が触ることができる猫は最初に引き取った2頭のみで、餌の時に出てくる他の猫たちは野放し状態である。
    4. 当事者は頭数も具体的には把握しきれていなかった。餌の減り具合から数が増えたのかもしれないと、つい最近になり感じ始めるも自らSOSを発信することができなかった。
    5. 以前から近隣住民は、当事者宅から異臭がすると感じていた。その状況を見かねた住民の1人が当事者に声を掛けたが、1人では行動に移さないと判断。当事者の代わりに保健所や市役所、ボランティアに相談したことで多頭飼育崩壊が発覚した。
    6. 4部屋あるうちの1部屋だけが人の居住スペースだが、いたるところに猫が糞尿をしており、人も猫も健康的に生活を送れる環境ではない。猫によってドアやカーテンなどは壊され、かろうじて自宅にある家電製品はテレビ(壊れたテレビをダミーにし死守)、レンジ、冷蔵庫、扇風機となる。
    7. 2階はコンセントにおしっこをかけられ漏電したため電気を止めており、ドアはガムテープなどで修復するもほぼオープンスペースとなっている。外にも臭いが漏れており、周辺住民は我慢を強いられている。
    8. 当事者は飼い主の責任として餌だけはあげているが、金銭的にも困窮している状況。ここ3ヵ月で7㎏の体重減少が見られ、早期の生活環境の立て直しが求められる。
    9. 猫の不妊手術を進めることはもちろんだが、部屋の清掃を行い、人と猫が衛生的に生活できる環境を整備する必要がある。ただ、当事者には金銭的負担が難しいことと、1人でなんとかできるレベルではないため全面的な支援が必要であり申請に至った。
    10. 手術後は、当事者宅1階の6畳間と8畳間に猫専用部屋を設け、ボランティア団体が毎日お世話に入っている。ボランティア団体の尽力によって特殊清掃が入り、不衛生な環境は改善されたが、今後も猫との付き合い方について当事者に助言していく必要あり。
    11. 申請時は推定32頭であったが実際の総数は56頭。未手術の30頭については再度どうぶつ基金に救済申請を行う予定である。
手術日 オス メス 耳カットのみ
1月15日 0 13 0 13
1月16日 12 1 0 13
12 14 0 26

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
大変なケースの中なんとか事業が遂行できたことを考えると100点をつけたいところではあるが、まだ半数の猫が手術待ちの状況であること、猫の行き先探しについて本格的に取り組むのがこれからだということを踏まえ自己評価点を50点とする。


どうぶつ基金スタッフコメント
このケースでは当事者の意思がまったく感じられません。
結果的に猫の総数56頭と申請時の推定頭数を大きく超えていましたが、当事者の認識は「餌の減り具合から数が増えたのかもしれない」といったものでした。自分が飼っている猫の状況はもちろん、猫の増減にも興味がないように見受けられます。手術後のお世話もボランティア団体に丸投げといってもよい状態です。
猫に限らず、動物は「なし崩し」で飼うものではありません。当たり前のことですが、1頭1頭すべてに命があり、その責任を負う覚悟がなければ飼ってはいけないのです。そして、そのような人物に安易に猫を渡した人にも、今回の多頭飼育崩壊の責任の一端があるのではないでしょうか。
動物愛護というと悪質な繁殖業者やペットショップなどがやり玉にあがりますが、一般の飼い主のモラルについてもさらなる底上げが必要なことを実感させられます。


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現場 オス メス 性別不明 耳カットのみ 合計