茨城県筑西市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)㉗

申請No.27
申請日:2020年10月16日
申請/実施責任者:筑西市 環境課
場所:茨城県筑西市
居住者:当事者(45歳、女性、自営業)、姉(48歳、用務員)、甥(20歳、工場勤務)、当事者の父(68歳、建築業)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:28頭
手術日:11月3日、4日、17日
協力病院:茨城さくらねこクリニック
チケット発行数:32枚
手術頭数:28頭(捕獲時に28頭と判明)

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

    1. 当事者は幼少の頃から猫を飼育しており、野良猫や捨て猫を保護して、敷地内に建てた小屋で面倒を見ていた。
    2. 不妊手術をしていなかったため頭数が増えて餌代等がかさみ、生活を圧迫するようになった。
    3. 2019年にそれまで主に猫の面倒を見ていた当事者の母が亡くなる。その後、自営業で自宅にいた当事者が面倒を見るようになったが、健康問題や家庭事情が重なって多頭飼育の継続が困難となった。
    4. 当事者が筑西市環境課に相談したことで多頭飼育崩壊が発覚。
    5. 猫は全頭小屋で飼育されているため、自宅へは出入りはしていない状態。飼育環境は不衛生で、常時、糞尿、抜けた毛、食餌、缶詰の空やゴミがまわりにちらかっており、アンモニア臭などの悪臭がしていた。
    6. 手術後、飼育小屋を整備してトイレを設置したことにより飼育環境が改善された。
    7. 当事者と姉は転居して6頭を継続して飼育、その他の家族が現在の家で11頭の飼育を継続している。残り11頭はボランティア団体によって保護され、今後里親探しを行う。
手術日 オス メス 耳カットのみ
11月3日 10 15 0 25
11月4日 1 0 0 1
11月17日 0 2 0 2
11 17 0 28

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
当事者本人には改善の意思があったものの、経済的な理由などから不妊手術の実施には至っておらず、どうぶつ基金を活用させていただくこととなった。
初めてのことで、申請者としての手続きや関係各所との調整に時間がかかってしまったが、実施日が決定してからは「茨城さくらねこの会」の方々の協力もあり、捕獲から返還までスムーズに行うことができたと感じている。


どうぶつ基金スタッフコメント
当事者とその家族が半数以上の猫の飼育を継続していますが、手術後は飼育環境も改善され、また2カ所に分散して飼育されることによって猫たちのストレスも軽減されたと思います。ボランティア団体に保護された11頭についても里親探しが始まり、今後、新たな飼い主のもとへ1頭でも多く巣立ってほしいと感じています。
今回のケースは、当事者が自ら行政へ相談したことにより救済支援へとつながりました。このような多頭飼育崩壊の相談に対して、これまで多くの行政が有料での引き取り→殺処分という方法しか提示してきませんでした。今回、命を生かす方法で解決を試みた筑西市のような行政が1つでも増えることを願っています。
環境省も、増え続ける多頭飼育崩壊の解決に向けて新たなガイドラインを策定しました。今後は、動物行政と福祉行政、行政と民間が一体となれるかどうかが解決のポイントになりそうです。


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現場 オス メス 性別不明 耳カットのみ 合計