11_福岡県古賀市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
申請No.11
申請日:2021年5月24日
申請/実施責任者:古賀市 環境課
場所:福岡県古賀市
居住者: 当事者本人(53歳、男、倉庫業)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:12頭(うち2頭が妊娠していたため先に手術を行った)
手術日:6月18日、19日、20日
協力病院:なな。猫達のための病院
チケット発行数:10枚
手術頭数:9頭(10頭のうち1頭はすでに手術済みだった)
申請から不妊手術完了までの経緯(行政報告書より)
- 5年ほど前に当事者が猫を1頭拾ってきたのが始まりと思われる。多頭飼育を市に相談した当事者の弟も、この頃から当事者と音信不通となったため詳細は不明。
- 当事者が職場で倒れて入院することになり、弟が自宅を訪問して多頭飼育が発覚。市役所に連絡を入れた。
- 平屋の一部屋に猫が12頭おり、ほかの部屋には出入りしていない。部屋の床が糞で覆われて悪臭がしており、人が住める状況ではなかった。
- 当事者は入院前から適正な飼育ができておらず、仮に退院しても適正飼育は困難と思われる。
- 申請時は12頭の手術を予定していたが、うち2頭が妊娠していることが判明。この2頭についてはチケットを使用せず先に不妊手術を行い、残り10頭分のチケットを申請。
- 手術対象10頭のうち1頭はすでに手術済みであることが判明。残り9頭の手術を終え、全頭不妊手術済みとなった。
- 術後は8頭の猫をボランティアが保護。4頭は現場に戻し、しばらくの間は当事者の弟がお世話を続けていたが、当事者の意識が回復せず戻れる見込みが立たないことから、これ以上お世話を続けることは困難との申し出があった。
- 当事者宅は売却の方向で検討中であり、弟も猫の引き取りはできないとのこと。
- 現場はエアコンが故障して修理や買い替えもできない。暑さが増すなか、猫をこれ以上現場に残しておけないため、残りの4頭についてもボランティアが保護した。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
6月18日 | 0 | 2 | 0 | 2 |
6月19日 | 2 | 1 | 0 | 3 |
6月20日 | 4 | 0 | 0 | 4 |
計 | 6 | 3 | 0 | 9 |
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(行政報告書より)
多頭飼育の猫を殺処分することなく、1代限りの命を全うさせる対応ができた。
どうぶつ基金スタッフコメント
支援前の部屋の写真を見ると、床は糞尿で汚れ、設置されたトイレも清掃されていない様子が分かります。住居内の不衛生な一部屋に閉じ込められた12頭は、このような環境でどれくらいの間、生きてきたのでしょうか? 自分がこのような環境に閉じ込められたら…そう考えると胸が苦しくなります。
当事者の入院をきっかけに音信不通状態であった家族が現場を訪問して発覚しましたが、誰にも見つけてもらえず閉じ込められたまま、最悪の事態を迎えるケースもあります。今回、猫たちの命が救われたことは本当に幸運でした。最終的に全頭がボランティア団体に保護され、新しい出会いを待つことになりましたが、すべての猫に良い出会いがあることを願っています。
※ボランティア団体が全頭引き取るにあたり、行政を通じて飼育環境の確認を行いました(どうぶつ基金では、二次崩壊による被害を防ぐため、ボランティア団体が犬や猫を引き取る場合は必ず飼育環境の確認を行っています)。