馬島(北九州市)まるごと一斉TNR追跡調査報告
どうぶつ基金が推進する「さくらねこTNR」で、ノラ猫の不妊手術で殺処分ゼロを実現するには、
1、 速攻 スグやる
2、 徹底 全部やる
3、 継続 続ける
この3つがが重要です。
昨年12月に実施した一斉TNRから、早や1年が経つ馬島では、ボランティアの皆様の変わらぬ熱意により現在も徹底した継続管理が行われています。猫問題を抱える島や地域の良き見本となる事例です。どうぶつ基金を支援してくださった皆様、継続管理をされてりるボランティアの皆様に改めて御礼申し上げます。
馬島の現在の様子を確認するため、追跡調査を実施しました。
追跡調査にて報告をいただいた現在の様子を紹介します。
平成26年度12月13日~14日に福岡県北九州市馬島にて出張手術を実施しました。
馬島での出張手術の詳細はこちらをご覧ください。
回答者:大切な猫たちプロジェクト in 馬島 代表:竹下雅美さん
【Q1】一斉TNR時の捕獲漏れのオス2頭以外に捕獲漏れの猫は見つかっていますか?
昨年12月の一斉TNR時は、生まれて間もなくの体重350グラムに満たない子猫が4頭いました。三毛1、シャムミックス2、茶シロ1の合計4頭で、三毛以外は全頭オスだと認識していました。このうち三毛子猫の阿弥(アミ)ちゃんは、今年2月中旬に重症の脱腸を発症したとの連絡があり、福岡市へ移送して高度医療を施しましたが、その甲斐なく2月20日に永眠いたしました。また、その翌月には、シャムミックスの子猫チャー君が軽トラックに轢かれて亡くなりました。
馬島の猫たちは普段から警戒心ゼロで、道の真ん中に寝そべっていたりするため、自動車に乗る島民の皆様は徒歩より遅いかと思われるほどのスピードしか出さず、猫が移動するのを辛抱強く待ってくださるのですが・・・チャー君はトラックの死角になる場所に近づいて頭部を轢かれてしまいました。以降、島民の皆様はいっそう慎重に運転してくださっています。
【Q2】一斉TNR時の捕獲漏れのオス2頭や、その他捕獲漏れの猫の不妊手術はいつごろ実施しましたか?
三毛子猫の阿弥ちゃんが亡くなったことにより、馬島に妊娠可能なメス猫はいなくなったと思い、少々油断していました。ところが5月初めに島を訪問した際、オスだと思っていたシャムミックスの子猫がメスであったことが判明。6月18日に、4頭いた子猫のうちの残り2頭(登登/トト君、実當/ミアちゃん)を、「一般的に手術可能とされる体重2キロ」になったのを見計らって手術しました。
私が福岡市民で北九州市に土地勘がなかったため、手術は現在『どうぶつ基金』様の協力病院にもなっている「さくらねこ動物病院」にお願いし、無事に耳先カットまで終え、新たな「さくらねこ」が誕生しています。
また、一斉TNRで捕獲できなかったオスの成猫2頭については、猫の給餌をしてくださっている島民の方に「捕獲できたらしてほしい」とお願いして、捕獲でき次第手術をと考えていますが、現在まで捕獲できていません。
手前のシャムミックスが6月に不妊手術した実當(ミア)ちゃんです。奥の白黒さんはクマ君です。馬島は茶トラ、キジトラが多数派で、続いてシャムミックスも多く、白黒猫はクマ君だけです。
【Q3】現在の猫の頭数は何頭ですか?
病気や事故など島民の方が死亡を確認しているのが5頭と、里子に迎えられた子が3頭いますので、現在は約70頭です。
【Q4】現在未手術の猫はいますか?
先述した通り、オスの成猫2頭と、一斉TNR時に推定20歳の高齢だったメス猫1頭(通称:おばあちゃん)は未手術です。
【Q5】島民の方々との関係に変化はありましたか?
一斉TNRの前後は、主に猫好きの島民の方々と交流することが多かったのですが、現在は「猫は好きじゃなかった」とおっしゃる方にも話しかけていただくことが増えてきたと思います。もちろん、私たちも島内でお会いした方々には必ず明るく元気よくご挨拶することを心がけています。島民の方々から「臭いオシッコで植木が枯れたりしていたのが、最近あまり気にならなくなった」「(発情期の)気味の悪い鳴き声やケンカ騒ぎがなくなった」といったお話をお聞きするたびに、TNRは猫好きよりもむしろ猫嫌いな方々にメリットがあるのではないかと思います。
よほど寒い日でないかぎり人を見つけると集まってきます。
【Q6】島の環境に変化はありましたか?
理事長先生や山口先生もよくご存知と思いますが、一斉TNR時に捕獲した猫の保管場所に使用した渡船所の待合室は、当時「目も開けられないほど」の猫のオシッコ臭でした。しかし1年が経過した現在、気になる臭いは「皆無」(ほぼ完全になくなりました!)。このことは、常連の釣り客の方々からも(驚きを込めて)お褒めいただいています。
常連釣り客のおじさんから釣果のお裾分けです。
【Q7】フード支援や健康チェックは現在も実施していますか?
現在も毎月1~2回は有志数名で島へ行き、猫たちの健康チェック、島内の掃除などを継続しています。毎回抗生剤(錠剤・点眼薬)などを持参しますので、ケガを負った子や風邪気味の子にはできる範囲のケアを行い、本格的な夏を迎える前には捕獲可能な全頭に駆虫(レボリューション)も実施しました。
フードは、給餌を担当してくださる島民の方のお宅に毎月必要量(総合栄養食・約120~150キロ)を送らせていただいています。フード・薬剤などの費用は有志で賄っております。
島猫さんたちは、みんな総合栄養食のカリカリよりも上等のウェットフードが大好きなので、シッポをピンと立てて一斉に集まってきます。
【Q8】一斉TNR後の継続管理において、困っていることなどはありますか?
特に思いつきません。
【Q9】手術をした猫たちの様子に変化はありますか?
以前はオスの成猫のケンカによる噛み傷を痛々しく思っていましたが、手術後はケガを負うほどのケンカ騒ぎは大幅に減っています。猫たちの顔つきは、以前とは見違えるほど穏やかになりました。ただ、この夏くらいから肥満気味の子が増えたのが気になっており、フードの量を調節して様子を見ているところです。
同じく顔デカ・のりお君。メタボ気味なので只今ダイエット中です。
【Q10】その他現在の状況など特記事項があれば教えてください。
猫の公衆トイレを設置するための土地の入手が諸事情あって遅れていますが、代案を検討するとともに、人も猫もより快適に暮らせる環境づくりを目指して計画は進行しています。
【Q11】自由記述欄
一斉TNRから一年を経ての「追跡調査」とのことで、やはり『どうぶつ基金』様によるTNRは徹底したものであり、改めて素晴らしいと思いました。いつも本当にありがとうございます!