ねりまねこシンポジウム「解決!猫トラブル 避妊去勢手術で増やさない」参加レポート
3月9日に開催された、NPO法人ねりまねこ主催のシンポジウム「解決!猫トラブル 避妊去勢手術で増やさない」で講演させていただきました。
日時:2019年3月9日 13:30~16:30
場所:区民・産業プラザ3階ココネリホール
主催:NPO法人ねりまねこ
後援:練馬保健所
協力:公益財団法人どうぶつ基金 NPO法人ゴールゼロ NPO法人ねこけん
来場者数:340人
司会進行:NPO法人ねりまねこ 亀山知弘氏・亀山嘉代氏
東京都動物愛護推進員、練馬区地域猫推進ボランティア。練馬区保健所・地域中民とともに不妊・去勢手術や適切な管理の推進を行う。猫に起因する様々な問題を解決するために、ブログ、講演会などで情報発信を行っている。
<パネリスト>
公益財団法人どうぶつ基金佐上邦久
いながき動物病院 稲垣将治先生
NPO法人ゴールゼロ、どうぶつ基金協力病院。越谷本院の他、土浦、いわき、鹿島、匝瑳分院、その他出張手術を推進、2018年度の犬猫の手術数は5094頭とTNR活動の推進に努めている。
NPO法人ねこけん代表 溝上奈緒子氏
殺処分ゼロ、野良猫ゼロ、多頭飼育崩壊ゼロをめざし、TNRと譲渡活動を行っています。2017年不妊・去勢手術無料動物病院設立、現在までに約1万頭の猫を受け入れている。
地域猫活動アドバイザー 石森信雄氏
練馬区職員として、練馬区地域猫推進ボランティア制度を立ち上げ、どうぶつ相談センターに持ち込まれる猫の数の減少に成果を上げている。現在は他部署に移動するも、ライフワークとして、地域コミュニティにおける人と猫との共生の在り方について、各地で講演や研修を行うなど、啓発を行っている。
どうぶつ基金理事長佐上からは
●さくらねこTNRについて
地域猫とは?を考え、どうぶつ基金過去のアンケートデータを元にした、地域猫の分析、なぜ地域猫活動は広まらないかの問題に焦点を当てました。行政に地域猫として認められるまで(アンケートでは地域猫と認められた猫の数はわずかに4%)の高すぎるハードルが問題になっていることが分かり、どうすればいいのかとたどり着いた答えが「さくらねこTNR=TNR先行型地域猫活動」で、地域猫と認められるのを待たずに、話し合いの前にまずは不妊手術を行いましょうという活動です。
●行政との協働が大事
ボランティアが世話をする猫が地域猫と認められるには、ボランティアに降りかかる負担が大きいこと(周辺地域の空き缶拾いや、ごみ拾いの強制、自治会の承認)、ボランティア任せにしない猫活動。
●三重県の一歩進んだ殺処分ゼロ大作戦「三重県モデル」(あすまいる)の紹介
保健所の引き取り拒否のデメリット、未手術の猫を野に放つことは根本的な解決にはならないばかりか、野良猫を増やす原因になっている。そこで、どうぶつ基金と三重県行政の協働で、保健所に持ち込まれた猫に無料で手術をし、行政が捕獲して手術をし元に戻す仕組みを作った。(どうぶつ基金が、あすまいると協働して行ってきた一斉TNRの5年間の歩み=行政の自走)
T:市町村職員が捕獲して、あすまいるに運搬
N:行政獣医師が手術をする
R:市町村の職員がリターンする
TNR先行型地域猫活動の成功例として紹介
●多頭飼育救済について
多頭飼育崩壊は、猫だけでなく人も関わるため、ボランティアだけの介入は極めて危険であり、行政の協働が不可欠である。(多頭飼育救済後も見守りが必要)
H30年度の多頭飼育救済の行政からの申請は全体79%、団体は21%という結果になった。
上記のような問題を踏まえ、TNRを成功させるには、
- 速攻 すぐやる
- 徹底 全部やる
- 継続 続けてやる
どうぶつ基金と、行政、ボランティア、獣医師が協働して、得意な分野を補完しあうことが重要になってくると発表した。
また、3月22日は「さくらねこの日」記念日とすることを先行発表した。
NPO法人ねりまねこが取ったシンポジウムのアンケートによると、96%がシンポジウムの内容がよかったと回答。圧倒的に参加者は40代50代の何らかの猫活動をしている女性が多く、今後、男性や若い方など気軽に参加できるような仕組みを作っていくことが課題になってくるだろう。
<シンポジウムアンケート結果>
非常に良かった 163
概ね良かった 54
普通 6
あまり良くない 1
悪かった 1
Q1 シンポジウムはどちらでお知りになりましたか?
①ネット 194 (ねりまねこ119、ねこけん33、)
②口コミ 45(ねりまねこ15、稲垣先生5、その他)
③区報 1
④チラシ 15(区役所、ココネリ、その他)
Q2 猫に関わるボランティア活動をしていますか?
活動している 150
活動していない 73
活動している方は、内容を教えてください。
不妊去勢手術 117
餌やり 85
保護 101
譲渡 80
啓発 70
その他(シェルター手伝い、寄付、一時預かり、譲渡会スタッフなど)
男性 31
女性 175
10代 2
20代 6
30代 33
40代 52
50代 81
60代 31
70以上 5
詳しくはこちらから
https://ameblo.jp/nerimaneko/entry-12445865201.html
どうぶつ基金協力病院の稲垣先生も「地方での不妊手術の取り組み」を講演。
稲垣先生は、越谷本院の他土浦、いわき、鹿島、匝瑳分院や出張手術により、ボランティア参加型不妊手術を精力的に進めている。
不妊手術と啓発活動は両輪と考え、不妊手術のハードルを下げ、定期手術で地域に根付いた活動をボランティアとともに行っている。
NPO法人ねこけん溝上奈緒子代表からは、一般の人が気軽に参加できる猫活動を今後広めていくことが大切との講演と、猫活動をしたことがなかった方が、猫を保護したことから始まったボランティア活動を感動的な映像で紹介された。
講演のまとめとして、猫問題は行政と、民間と、獣医師が協働し、地域の人が参加しやすい環境を作ることが今後の課題となってくるとして締めくくった。