絵本を書いた獣医さん

緊急事態宣言が解除されて約1カ月。
少しずつ全国から活気のあるニュースが届くようになってきました!

とはいえ、油断は禁物ですね。“普通の生活” ができる喜びをかみしめながら、
気を緩めずに感染対策をしっかり続けていきましょう!

さて、今回お届けするさくらねこ便りは、
どうぶつ基金の協力病院「Happy Tabby Clinic(大阪府八尾市)」の 橋本恵莉子先生にご寄稿いただきました。

橋本恵莉子先生を中心に作成された絵本「お母さんのらねこのおはなし」は、
さくらねこSHOPでも大人気!
今回は「お母さんのらねこのおはなし」を書くにいたった想いについてお伺いしました。

ぜひお読みください!

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「お母さんのらねこのおはなし」を書くに至った想い

~はじめに~

私がスペイ専門の獣医師として活動を始めたのは、Happy Tabby Clinic開業前に
勤務していた天美動物診療所でTNRと猫ボランティアさんの存在を知り、
勉強すればするほど、その重要性と活動意義に共感を覚え、
是非この活動を支援したいとの思いからでした。

しかし、活動を重ねボランティアさん達との関りも強くなるにつれ、
一般市民からのTNR活動への理解を得るのが難しいと困っておられる
ボランティアさんが多いことを知り、そのことが活動への妨げになっていると感じました。

私は、TNR活動の成功のためには、活動への理解を広めることでボランティアさんが
より活動しやすくすることが必要だと考えています。

そのために、不妊手術を行うほか、理解を広めるための資料作りや、
獣医師がTNRを支持していることを示すために、
講演活動や資料公開など様々な啓発活動を行ってきました。

しかし、セミナー形式の講演や文字の多い資料などでは、
やはりなかなか声を届けることは難しいと感じ、
より親しみやすく簡単に読める資料が必要だと感じていました。

撮影:平山法行

~作者 碓井あさみさんとの出会い~

作者の碓井あさみさんは、同じ天美動物診療所で
保護猫の里親探し業務を担当していた同僚でした。

私とほぼ同時期に同診療所で勤務を始めた碓井さんは、
私と一緒にTNRについて勉強し、ボランティアさんの声に耳を傾け、
活動への想いを強めていきました。

また、里親探し業務の担当とあって、こんなにも沢山の保護猫がいることを痛感し、
「何とかして猫を減らさなければ」と強く考えるようになっていったと言います。

そして、そのためにはTNRの支援が最優先だと、
私も碓井さんも一致してその考えに至ったのです。

碓井さんも自身のブログでTNRについて頻繁に発信するなど、啓発活動を続けてきました。

しかしもっと効果的な方法はないか-。

私と碓井さんは話し合いを重ねました。

~子供達への道徳教育~

私は活動の一つとして、子供達に向けての「命の教室」を行ってきました。

そこで分かったことですが、子供たちや保護者の方たちの多くが
野良猫の過剰繁殖により、幼い仔猫が殺処分されたり、人知れず野外で亡くなったり、
近隣トラブルを引き起こしていることをご存じありませんでした。

また、ほとんどの方が野良猫を野生動物だと思われており、
野良猫が過酷な生活を強いられていることを知りませんでした。

そのため、TNR活動の理論だけを説明しても、
「なぜそうまでして野良猫を減らさないといけないのか」という理解が進まないのです。

しかし、野良猫をとりまく実情を説明すると、
子供たちも大人の方も、野良猫をなくしてあげたいということを理解してくださるのです。

「じゃあ、野良猫を皆おうちで飼ってあげたらいいやん。不妊手術なんてかわいそう。」
という意見は、必ず子供たちから出てくるのですが、その時には猫の人形を使って、
猫をおうちに入れていってもすぐにあふれ出る様子を説明します。

そこで、猫の人形の蛇口を閉めないと解決しないこと目で見てもらうと、
不妊手術の必要性が子供たちにも理解してもらえたのです。

地道に教育を続けていくことで、確実に効果は出ると考えました。

~未来への啓発活動~

以上の経験から、猫達を取り巻くありのままの現状とその猫達を助ける方の存在、
そして、共存しながら野良猫の数を減らしていく解決方法をより親しみやすく伝えるため、
絵本という形で、私と碓井さんとの共同作「お母さんのらねこのおはなし」が誕生しました。

これは現在の大人の方にむけての啓発というよりも、たくさんの子供たちに読んでもらって、

野良猫に対しても優しい気持ちを抱き、そのまま大人になってほしい。
大人になっても、さくら耳の野良猫を見かけたら、誰か優しい人がお世話をしているんだなと、
優しい気持ちになってほしい。
そして、そんな大人ばかりの世の中になれば、きっと社会は変わる。

そんな願いを込めて制作した絵本です。

出版に向けての編集では、より広く読んでいただけるよう英訳も掲載しました。

そしてこの絵本を小中学校に寄贈するプロジェクトを実行しました。
出版費用をクラウドファンディングで募ったところ、目標金額を大きく上回る形で成功し、
これまでに29自治体の小中学校、公立図書館などの公共施設への寄贈が完了しました。

そして、寄贈予定分を上回り出版させていただいた絵本は販売させていただき、
その売り上げは全額、猫の不妊去勢手術費用に充てさせていただいております。

さくら猫に対する理解が大きく進み、人も猫も皆が笑顔で暮らせる社会になることを
願ってやみません。

【一般社団法人Happy Tabbyについて】

猫の多頭飼育崩壊、のら猫に迷惑し困り果てる住民、住む場所を追われ殺処分される猫、
理解と実行の進まないTNR、不当な暴言を受ける餌やりボランティアさん、
譲渡を続けても減らない猫の保護依頼…

現在の日本は、猫と人とが笑顔で共生しているとはとても言えない状況だと思います。
どうして猫も人も、これほど苦しまなければならないのか。

一体原因はどこにあるのか・・・?

答えは、猫の過剰繁殖にあります。

それを食い止めるための不妊手術は獣医師にしかできない仕事であり、
それをせずには猫も人も救えません。

その考えから、獣医師:橋本恵莉子は2018年7月に猫のスペイクリニックを開院しました。

そして開院以来、ボランティアさんの声をそばで聞きながら、
獣医師として何をすべきかを模索し、実践し続けてきました。

そしてより専門的に問題に取り組むべく、獣医師:橋本恵莉子を代表理事とする
一般社団法人Happy Tabbyが設立されました。

当法人は

・猫の不妊去勢手術の無償化を目指す助成金基金の構築
・不妊去勢手術の普及と、TNR・地域猫活動の理解を広めるための啓発活動
・子供達へ命の大切さを伝える活動

を軸に活動しております。
どうぞよろしくお願い致します。

撮影:平山法行

Happy Tabby Clinic (写真)
院長 橋本恵莉子

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いかがでしたか?

「お母さんのらねこのおはなし」では、野良猫たちを取り巻く過酷な現実と
そこに関わる人々の姿が、優しいタッチで分かりやすく描かれています。

獣医師という立場からTNR活動に長年取り組んでこられた橋本恵莉子先生、
そして作者である碓井あさみさんの強い想いが込められたおすすめの絵本です。
親子での学びに、お子様へのプレゼントに、ぜひご検討ください!

「お母さんのらねこのおはなし」はさくらねこSHOPからお買い求めいただけます!
ヤフー店 bit.ly/2S2X4p1
BASE店 https://doubutukikin.thebase.in

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全国の協力病院で行われている無料不妊手術は、皆さまのご支援で支えられています。
1頭でも多くのさくらねこを誕生させ、ヒトと猫が共存できる社会を作るためにも、
ぜひ継続したご寄付をご検討いただけましたら幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。

https://www.doubutukikin.or.jp/contribution3/#form

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