猫100頭の南海の離島でさくらねこTNR
十島村さくらねこ一斉TNR報告書 ←クリック
どうぶつ基金は、7月13日から7月18日までの日程で鹿児島県の十島村に出張し、
さくらねこTNR無料不妊手術を行いました。
どうぶつ基金本部がある兵庫県芦屋市から、
神戸空港→鹿児島空港→鹿児島港→トカラ列島中之島という経路をたどり、
13時間もかかる長旅でした。
↑フェリーとしま2 23時に鹿児島港を出航して翌朝6時に中之島に到着します。
十島村は、有人島7島と無人島5島からなり、南北約160kmという「南北に長い村」です。
今回、どうぶつ基金が出張手術を行ったのは十島村で最大の島である中之島。
鹿児島県天然記念物のトカラ馬が放牧されている高原や、
九州最大級の60センチ反射望遠鏡を備えた天文台もある美しい自然が楽しめる島です。
↑出発の14日前から朝夕記録した検温健康チェックシート これがないと乗船できません。
中之島の人口は154人、そして猫はおよそ100頭。
避妊去勢されていない猫が島に持ち込まれたことをきっかけに、
あっという間に100頭まで増えてしまいました。
↑不妊手術前の猫たち 人懐こくて島民に愛されています。
猫の数が増えるにつれ、糞尿被害や発情期の鳴き声などの苦情が寄せられ、
このままでは観光資源への影響や住民間のトラブルに発展しかねない状況となり
地元行政よりどうぶつ基金にSOSが届きました。
九州地方の豪雨災害や新型コロナの影響もあり、実現が危ぶまれましたが
獣医師2名を含む6名が出張手術に伺いました。
参加メンバーは、体調管理を徹底して、出発の2週前から毎日朝夕検温を行い、
十島村に新型コロナウイルスを持ち込むことのないよう、緊張の毎日を過ごしました。
(一部のスタッフはCOVID19の抗体検査を行いました。)
↑お約束の集合写真、獣医、行政職員、島民の皆さん 揃って さくら耳のポーズです。
主 催:公益財団法人どうぶつ基金
申請者:鹿児島県十島村
日 程:2020年7月14日~18日
会 場:十島開発総合センター
獣医師:山口、石渡
診療:不妊手術(オス・メス)、3種混合ワクチン、補液、
ノミ、ダニ・回虫の駆除(レボリューション)、負傷治療など
診療以外:耳先のV字カット(さくら耳)、爪切り、耳掃除、ブラッシングなど
手術は無事終了し、十島村に78頭のさくらねこが誕生したことを
皆様にご報告します。
3月の調査では約100頭の猫が生息していましたが、記録的な豪雨災害のため、
猫の数はかなり減ったそうです。
今回78頭を手術し、中之島の猫は、ほぼすべてが「さくらねこ」になったと推定されます。
写真左:山口獣医師 写真右:石渡獣医師
体重500gの仔猫もエキスパート獣医の高度な技術力によって不妊手術を受けました。
手術後、ケージで一晩を過ごします。行政職員が脱走防止のためケージを結束します。
元いた場所にリターンするため、軽トラックで運びます。
獣医師長の山口先生もせっせとさくらねこを運びます。
全頭、無事に元の場所に返します。
悪天候のため船の欠航が続き、帰りは漁船のような船でとりあえず屋久島へ渡りました。
島民の方たちが見送りに駆けつけてくれました。すっかりどうぶつ基金の仲間です。
この瞬間は、達成感と喜びで本当にうれしくなります。
私たちは、猫たちのためにがんばっていますが、猫には人間がつきものであり、
その人たちと同じ目的のもと協力し、やり遂げられたことは感無量です。
お世話になりました。さくらねこたちをよろしくお願いします。
最後になりますが、今回の豪雨により被災された方にお見舞いを申し上げますとともに、
このような非常時にもかかわらず、出張手術実現のためにご尽力いただいた
地元行政の皆様にお礼を申し上げます。
これからも、どうぶつ基金は地元の方々と力を合わせて
中之島のさくらねこたちを見守っていきます!
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猫島=猫の楽園ではありません。
弱い猫は餌にありつけずにやせ細り、オス猫に襲われて命を落とす子猫たちー。
観光で訪れるだけでは決して見ることのできないつらい現実があります。
そして、人口の少ない島では、増えすぎた猫はより大きな問題となります。
自然豊かな美しい島で、人と猫がともに幸せに暮らしていくために
どうぶつ基金は離島での出張不妊手術を行っています。
さくらねこの島をこれからも増やしていけるよう
どうか皆様のご支援をお願いいたします。
広げたい、 愛され猫のしるし。 殺処分0の裏側を見逃さないために
https://www.doubutukikin.or.jp/kifu/