沖縄県うるま市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)⑥
申請No.6
申請日:2020年5月19日
申請/実施責任者:うるま市役所 環境課
場所:沖縄県うるま市
居住者: 当事者本人(68歳、男、無職)
居住環境:借家/アパート
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:40頭
手術日:5月30日、6月2日、3日、4日、10日、11日、12日、13日、30日
協力病院:TNRよみたん
チケット発行数:38枚(40頭のうち2頭はすでに当事者が手術済み)
手術頭数:38頭
申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)
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- はじめは、猫と犬を1頭ずつ飼育しており、飼い犬は先に死んでしまった。
- メスの野良猫1頭に餌やりをしていたが、寂しそうだったので家で飼い始めたところそこから増えた。
- これまで10頭ぐらいを里親に譲渡したものの増え続けるため、1年ほど前からオス、メスの部屋を分けて飼育していた。
- そのうち猫がドアを開けることを覚えたので、仕事の間に行き来できないようドアノブを外し、これ以上繁殖しないよう対策をしていた。
- 仕事探しをしていたところ猫の相談になり、高齢者ということもあって包括支援センターを案内された。
- 仕事がなく、年金生活でこれ以上増えることは厳しく、当事者が活動できるうちに猫の里親を探したいと、当事者および社会福祉士が愛護センターに相談。動物愛護団体を通じて行政に支援の協力依頼があった。40頭のうち2頭はすでに当事者が手術済み。
- 手術後はオスとメスを分けて飼育する必要がなくなり、これ以上増えないという安心感から部屋を開放できるようになった。
- 手術間もないが、猫が穏やかになったと感じる。
- 動物愛護団体が初動で2頭の里親探しを終えたほか、預かった猫の手術の運搬および備品の提供を行った。残りの猫は人馴れさせた後、里親を探す予定。
- 当事者はこのまま同じ場所に住み続ける。
- 当事者は仕事を始めることができ、ボランティア活動もしながら、少しずつでも猫の頭数を減らすよう譲渡の声掛けもしている。
手術日 | オス | メス | 耳カットのみ | 計 |
5月30日 | 3 | 2 | 0 | 5 |
6月2日 | 4 | 0 | 1 | 5 |
6月3日 | 5 | 0 | 0 | 5 |
6月4日 | 2 | 4 | 0 | 6 |
6月10日 | 0 | 5 | 0 | 5 |
6月11日 | 0 | 4 | 0 | 4 |
6月12日 | 0 | 4 | 0 | 4 |
6月13日 | 1 | 1 | 0 | 2 |
6月30日 | 1 | 1 | 0 | 2 |
計 | 16 | 21 | 1 | 38 |
【現場写真(支援前)】
【現場写真(支援後)】
今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
当事者が今回の活動に理解を示し、積極的に活動してくれたため、短期の実施が可能になった。
当事者宅は、繁殖制限のためオスメスを2つの部屋に分けて、猫が行き来しないよう部屋のドアノブを壊しており、頭数が少なかったオスを優先的に手術することで早期に部屋を開放することができた。
しかし、メスの方が手術に時間がかかることを考慮せず、頭数だけで手術日程を決めてオスを先に病院へ運びこんでいたところ、獣医師から手術時間や日程調整の要請を受けた。あらかじめ、獣医師と性別も含めた細やかな日程の調整を行うべきだった。反省点として次回に活かしていきたい。
どうぶつ基金スタッフコメント
支援前の写真から他の現場と比較して居住環境が清潔に保たれている印象を受け、当事者は、日頃から問題意識を持ちながらも自力での解決が難しい状況に思い悩んでいたのではないかと感じました。支援が決定したのも「自分が活動できるうちに猫たちの里親を探したい」と当事者自ら相談したことがきっかけでした。
正しい飼育ができず多頭飼育崩壊に陥ってしまった責任はありますが、手術や譲渡活動にも非常に協力的で、自ら積極的に活動した当事者の存在が成功した大きな理由と言えるでしょう。
狭い空間で人間と猫がひしめき合って暮らす、これは決して普通の状態ではありません。行政や動物愛護団体との繋がりができたことで、当事者と猫たちにいち早く普通の穏やかな暮らしが戻ってくることを願います。
現場 | オス | メス | 性別不明 | 耳カットのみ | 合計 |