北海道むかわ町多頭飼育救済支援レポート(行政枠)⑪

申請No.11
申請日:2020年6月2日
申請/実施責任者:むかわ町 地域振興課町民グループ
場所:北海道勇払郡むかわ町
居住者: 世帯主(60歳、男、土木業(単身赴任))、(妻、45歳、無職)、息子(16歳、高等養護学校2年)、息子(14歳、中学生)、娘(12歳、中学生)、娘(8歳、小学生)、母(88歳、無職)
居住環境:戸建て/持ち家
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:20頭
手術日:6月15日、22日、25日、29日、7月13日、27日、8月11日
協力病院:るぼんずペット往診クリニック
チケット発行数:26枚
手術頭数:20頭(不妊手術を進めるなかで総数20頭であったことが発覚した)

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

    1. 当初、拾った猫や譲渡された猫を3頭ほど飼育していたが、不妊手術をしておらず数年で増えてしまった。
    2. 世帯主やその妻も猫を適切に飼育するという自覚がなく、ここ5、6年の間に猫の数が倍増した。
    3. 中学生以下3名の子どもたちが定時に学校へ登校できなくなり、ネグレクトの傾向が見られたことからケース会議を開催。その際、生活環境の改善対策として多頭飼育を解消する必要が生じた。
    4. 当事者は経済的に余裕がなく、家族内で対応できないまま現在に至る。
    5. 玄関前は数匹のハエが溜まって飛んでいる。
    6. 定期的な掃除がされておらず、猫の糞尿の匂いが家全体に染みついている。
    7. 室内のいたるところに猫がおり、内壁や柱、家具は猫の爪とぎでボロボロ。料理中も流し台や食器棚を猫が跳ね回り、家の中にもハエが飛んでいるような衛生状態のなかで、母親と中学生以下3人の子どもが暮らしている。
    8. 20頭いる猫の不妊手術と新しい飼い主探しを同時進行で行うこととし、5頭は北海道胆振総合振興局の保護猫扱いで新しい飼い主へ譲渡されることになった。
    9. 8月11日で手術は終了し、部屋の清掃やにおい除去作業に入った。定期的に清掃に入れるよう指導を継続する予定。
    10. 当事者はこのまま同じ場所に住み続け、家の衛生環境を改善していく。
    11. 猫は当事者が面倒を見ることができる5頭を残すこととし、引き続き、残り10頭の里親を「北海道わんにゃんネットワーク」の協力を得ながら探していく。
    12. 当事者より猫の総数は26頭と聞いていたが、不妊手術を進めるなかで実際は20頭であることが発覚。猫が室内外を自由に行き来していたため、申請前に頭数を正確に把握することができなかった。
手術日 オス メス 耳カットのみ
6月15日 2 0 0 2
6月22日 0 3 0 3
6月25日 0 1 0 1
6月29日 1 2 0 3
7月13日 3 0 0 3
7月27日 2 2 0 4
8月11日 1 3 0 4
9 11 0 20

【現場写真(支援前)】
s_DSC_1269_2018_04_03.jpg 

【現場写真(支援後)】
s_DSC_1269_2018_04_03.jpg 

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
当事者も行政も動物病院を利用したことがなく、あらかじめ獣医師から猫の持ち込みの優先度を指導されたにも関わらず失念し、メスばかりを先に持ち込んでしまうなど不慣れな点があった。


どうぶつ基金スタッフコメント
全頭に不妊手術をすることができ、解決に向けて大きな一歩を踏み出しました。すでに5頭は譲渡が決定しており、ボランティア団体の協力も得て10頭の里親探しが始まります。今後も定期的な指導や清掃が行われることで、現場に残る5頭の飼育環境も改善されていくことでしょう。
最近は、福祉系部署からの多頭飼育救済のご相談が増えています。福祉系部署が関わるメリットは、手術後も当事者への定期的なフォローが行われることではないでしょうか。当事者が抱えるさまざまな問題を解決することが、ひいては猫にとってもよい結果につながります。多頭飼育救済において行政の協力は必要不可欠であり、さらに多くの行政が手を挙げてくれることを望みます。


2020年度 多頭飼育救済支援実績はこちら
多頭飼育救済に関するお問合せはこちら

最近の投稿
  • 10_埼玉県三郷市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)   
  • 1_滋賀県長浜市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
  • 13_茨城県日立市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)
  • 18_福岡県宇美町多頭飼育救済支援レポート(行政枠) 
現場 オス メス 性別不明 耳カットのみ 合計