愛知県新城市多頭飼育救済支援レポート(行政枠)㉔

申請No.24
申請日:2020年9月28日
申請/実施責任者:新城市 環境政策課
場所:愛知県新城市
居住者: 当事者(69歳、男、アルバイト)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:84頭(申請時は80頭)
手術日:10月8日、9日、12日、15日、16日、17日、19日、11月5日、21日
協力病院:ヤマヒロ動物病院
チケット発行数:78枚
手術頭数:69頭(6頭はチケット交付前にボランティア団体の費用負担で手術実施。幼齢のため3頭が手術できず)

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

    1. 6年ほど前にメス猫1頭を譲り受けたが、不妊手術をせずに出入り自由で飼育していたため2度ほど出産した。
    2. 一部の猫については不妊手術や譲渡を行ってきたが、残った猫が繁殖して数が増えていった。
    3. 当事者の家族が動物愛護団体に相談。その後、ボランティア団体である「ニャンとかしまい豊川」から今回の多頭飼育崩壊について新城市に相談があった。
    4. 市・県合同で当事者宅を訪問し現状を確認。室内は糞尿や抜毛、缶詰の空き缶やゴミなどが散らかっているなど著しく不衛生な状況。アンモニア臭などの悪臭もしている。
    5. 餌が不足しており多くの猫が痩せている。病気や怪我をしている猫もいるが、獣医師の治療は受けていない。
    6. 市がどうぶつ基金の多頭飼育救済を申請し、「ニャンとかしまい豊川」が実質的な現場対応責任者として、市と連携して活動することとなった。
    7. 手術後、授乳中や治療中の7頭についてはボランティアが保護。それ以外の猫はすべて当事者宅へ戻されたが、今後はボランティア団体による里親探しで可能な限り多くの猫を譲渡していく。当事者になついている数頭を残す予定だが、今後は新たな猫を飼育しないこととする。
    8. 当事者は現在の自宅にそのまま住み続ける。これまで使用していなかった2階の部屋にケージや逸走防止扉などを設置し、残った猫は適切に飼養していく。
    9. 当初80頭と申請があったが手術中に84頭と判明。
    10. 84頭のうち、2頭はすでに手術済みであった。69頭がチケットを使用して手術を行い、6頭はチケット交付前にボランティア団体の費用負担で不妊手術済み。幼齢のため未手術となった子猫が3頭、残念ながら死亡した猫が4頭いた。
    11. 未手術の子猫3頭については、当事者もしくは里親負担で手術実施予定。2月5日時点で子猫1頭の譲渡が決まっており、残りは2頭となる。
手術日 オス メス 耳カットのみ
10月8日 6 3 0 9
10月9日 7 9 0 16
10月12日 17 3 0 20
10月15日 8 8 0 16
10月16日 2 1 0 3
10月17日 1 0 0 1
10月19日 1 1 0 2
11月5日 0 1 0 1
11月21日 1 0 0 1
43 26 0 69

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
【評価点】
ボランティア団体には当事者だけでは到底できなかったと思われる猫の運搬や清掃活動に尽力いただいた。
頭数が多かったため、どうぶつ基金のチケットを使用できたことは、不妊手術を行うにあたって大きな力となった。
【反省点】
現在飼育されている猫は、子猫を除き全頭不妊手術を実施できたが猫の譲渡は進んでいない。今後の当事者宅での飼育及び譲渡も含め、関係機関と適切に情報共有して注視していく。


どうぶつ基金スタッフコメント
猫の総数は84頭、チケットを使用した手術は10月~11月の2か月にわたって9回行われました。幼齢のため手術できない子猫3頭を除いて全頭が手術済みとなり、今後は譲渡活動が進められます。発覚からの経緯は、現場で対応にあたられた「ニャンとかしまい豊川」様のブログに詳しくまとめられています。里親募集も行われていますので、気になる方はぜひご覧ください。
残念に感じた点は、全体を通して行政の存在が薄かったことです。現在、多頭飼育救済は行政からの申請のみ受け付けています。それは、多頭飼育崩壊は命の問題であると同時に、社会福祉の問題であり、地域の環境問題であり、行政が積極的に関わることが求められるからです。
昨年10月、環境省は自治体向けの多頭飼育対策ガイドラインの骨子案を有識者検討会に提示しました。骨子案では、動物愛護部局と社会福祉部局との連携や、ボランティアなど官民を超えた連携によって動物と飼い主を同時に支援するよう促しています。
一般社会の動物愛護精神の高まりとともに、今後、全国の各行政は多頭飼育崩壊への向き合い方を問われることになるでしょう。

【追加報告】
現在、手術後の猫たちの里親探しなどの支援は、ボランティアグループ「地域猫サポーター猫球」様が行っています。
手術後も、行政は積極的に問題解決に関わる様子はないとのこと…。そのような状況のなかで孤軍奮闘する「地域猫サポーター猫球」様から、何とか市から未使用施設を借りることができ、来月に譲渡会を開催することとなったと連絡がありました!
里親募集に興味のある方は、以下ページから直接「地域猫サポーター猫球」様へお問い合わせください。
https://www.cat-tama-earth.com/shinshiro-tatoushiiku


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現場 オス メス 性別不明 耳カットのみ 合計