千葉県白子町犬多頭飼育救済支援レポート(行政枠)犬①

申請No.1(犬)
申請日:2020年11月10日
申請/実施責任者:白子町 環境課
場所:千葉県長生郡白子町
居住者: 当事者本人(77歳、女、無職)、息子(52歳、無職)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給している
多頭飼育現場の犬の総数:12頭
手術日:12月17日
協力病院:ふー動物病院 袖ヶ浦
チケット発行数:12枚
手術頭数:11頭(1頭老犬のため手術できず)

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

    1. 当事者の娘が犬を飼養していたが、ペット不可のアパートに引っ越すため当事者宅に犬を残していき、2012年時点では3頭だった。
    2. 犬に不妊手術をしていなかったことで、どんどん数が増えていった。当初は、生まれた子犬を希望する人に譲渡していたが、体調を崩して仕事を辞めてから里親を探すことが難しくなった。
    3. 2019年に子犬が4頭産まれ、飼育頭数が10頭を超える。当事者は、限界を感じたものの誰にも相談できない状態が続いた。
    4. オス犬にオムツを穿かせる、オスメスをケージで分けるなど、当事者なりに工夫して繁殖防止対策を行っていた。
    5. 当事者、息子ともに持病が悪化して思うように体が動かせず、十分な世話ができない状態となり、多頭飼育崩壊となった。
    6. 別件で訪問した福祉担当課が多頭飼育崩壊が起きていることを発見。救済支援を要請するに至った。
    7. 1頭は老犬のため手術適応外となり、残り11頭の不妊手術を実施。今回は協力病院のご厚意により、当事者宅への往診で手術を実施した。
    8. 術前に比べて家の中も綺麗に片付き、不妊手術を受けた犬たちは部屋の中を自由に行き来できるようになった。
    9. 手術できなかった老犬1頭は飼い主のもとに残すが、残りの11頭については、ボランティア団体の協力を得て新しい飼い主を探していく。
手術日 オス メス 耳カットのみ
12月17日 6 5 0 11
6 5 0 11

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
往診による手術が2度目ということもあり、準備などスムーズにでき順序良く行うことができました。
協力病院が近くになく、往診を行ってくれるふー動物病院様とどうぶつ基金様には感謝しかありません。
近親交配ということで、事前に先生から手術の危険性について説明を受けて理解したつもりでいましたが、実際に手術の様子をみると緊張してしまい、担当者が足手まといになってしまった部分がありました。


どうぶつ基金スタッフコメント
引っ越しやアレルギー、仕事が忙しく世話ができない等の理由で、子供が親に犬や猫の世話を押し付けるケースはあとを絶ちません。「飼えなくなった、だから実家に預けた」これで当事者の娘は飼い主としての責任を果たしたでしょうか。
命あるものを何の準備も心構えもなく押し付けられる家族はたまったものではありません。そして、優しい人であればあるほど、押し付けられた命を見捨てることはできず、状況によっては今回のように多頭飼育崩壊に陥ります。

誰よりもそのしわ寄せを受けたのは、まるで物を移動するかのように扱われた犬たちです。
「なぜ不妊手術をしなかったのか」「なぜ自分で最期まで飼育しないのか」と責められるべきは、無責任に犬を置いて行った当事者の娘でしょう。

今回は行政が関与したことから発覚して支援につながり、12頭のうち11頭の不妊手術が実施されました。老犬で手術適応外となった1頭は当事者が最期までお世話をし、残りの11頭は里親探しが始まります。この頭数で食い止めることができたことは幸いでした。


 

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