10_鹿児島県鹿児島市多頭飼育救済支援レポート(行政枠) 

申請No.10
申請日:2022年5月30日
申請/実施責任者:鹿児島市 生活衛生課
場所:鹿児島県鹿児島市
居住者:当事者本人(80歳、女、無職)
居住環境:貸家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:12頭(子猫3頭を含む15頭としていたが、捕獲時に子猫3頭を含む12頭と判明)
手術日:6月1日、2日、4日、6日
協力病院:ル・オーナペットクリニック
チケット発行数:12枚
手術頭数:12頭
協働ボランティア:NPO法人犬猫と共生できる社会をめざす会鹿児島

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 近隣で猫を飼育していた知り合いがいなくなったため、約2ヶ月前から面倒を見始めた(認知症の傾向があり定かではない。実際には数年前からと思われる)。
  2. 猫は不妊手術が行われておらず、交配して増えていった。
  3. 近隣住人から「当事者が猫を外飼いにしており、糞尿による被害がある」との相談があり、当事者宅を訪問して多頭飼育状態が発覚。
  4. 清潔な給水を常時確保すること、臭気により飼養環境や周辺環境を損なわないよう清潔に保つこと、猫の健康および安全が損なわれる恐れのある状態にしないことを指導するも、当事者は生活保護受給者であり、認知症の傾向が見られたことから現状の改善が困難であると判断。申請を決定した。
  5. 糞尿や残餌、空き缶やゴミ等の清掃を行ったことで腐敗臭やアンモニア臭が軽減され、衛生環境や飼養環境が改善。猫のストレスが軽減されたほか、手術をしたことでマーキングや攻撃性が抑制され、飼養しやすくなった。
  6. 室内にトイレが設置され、清掃したことによって猫の運動スペースが確保された。
  7. 当初、子猫3頭はボランティア団体が保護・譲渡し、譲渡先で手術する予定であったが、すでに手術可能な状態であったことからチケットによる不妊手術を実施。
  8. 当事者はこのまま同じ場所に住み続け、全12頭を継続飼養する。
手術日 オス メス 耳カットのみ
6月1日 3 3 0 6
6月2日 1 0 0 1
6月4日 1 3 0 4
6月6日 1 0 0 1
6 6 0 12

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
当事者は高齢で、経済的にも困窮しており、増えた猫とゴミ等に溢れた室内環境への対応ができずにいたが、どうぶつ基金の支援を受けて全頭に不妊手術が行われ、これ以上の繁殖を回避することができた。
トイレの管理や清掃状況等は一定の改善が見られているが、今後も適正な飼養管理が継続されるよう指導を行っていきたい。


どうぶつ基金スタッフコメント
当事者は生活保護を受給していて経済的基盤が不安定なだけではなく、認知症を発症しているなど明らかに福祉の手が必要なケースです。近隣からの苦情によって多頭飼育崩壊が発覚し、不妊手術を終えたことで「猫の繁殖」という問題は解決をみましたが、今後の当事者の状況によっては飼育が困難となることも考えられます。それだけではなく、当事者が自身の生活を維持することも難しくなるかもしれません。行政には指導や見守りを継続しつつ、福祉部局とも連携を密にし、この先を見据えての対応を検討していただきたいです。
日本は超高齢化社会と言われます。今回のケースのように多頭飼育崩壊に陥る高齢者は今後も後を絶たないでしょう。その時にどうするのか、行政だけではなく私たちも考えておくことが必要です。


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