4_北海道新ひだか町多頭飼育救済支援レポート(行政枠)

申請No.4
申請日:2022年4月5日
申請/実施責任者:新ひだか町 保健福祉部生活環境課
場所:北海道日高郡新ひだか町
居住者:当事者本人(70代、女、無職)息子(50代、飲食業)息子妻(40代、パート)孫(20代、介護職)
居住環境:持ち家/戸建て
生活保護の受給状況:受給していない
多頭飼育現場の猫の総数:38頭(申請時23頭、うち手術済み8頭。申請後に新たに1頭発見されたほか14頭の子猫が生まれた)
手術日:2022年5月12日
協力病院:えぞりすどうぶつクリニック
チケット発行数:15枚(申請時の未手術頭数)
手術頭数:11頭(手術予定の猫4頭が出産してしまい手術対象外となる)
協働ボランティア:WARP

申請から不妊手術完了までの経緯(報告書より)

  1. 20年以上前に息子の妻が猫を1頭連れてきた。その後、野良猫に餌をやって保護しているうちに増えていった。
  2. 室内に10頭、屋外で13頭飼っており、家猫と外猫は明確に区別して飼養している。
  3. 家猫を長時間ケージ飼育している状況である。毎日運動の時間を設け、動物病院でケアを受けさせるなどの世話はしている様子。
  4. 外猫については餌付けしているうちに増えていき、一度出て行った猫が子猫5頭を連れて戻ってきたりしているが猫の栄養状態は良好。猫をかわいがってくれる人を探して譲渡してはいるが、追い付かなくなっていた。
  5. 近隣住民から当事者宅の猫について相談を受けたボランティア団体から市へ情報提供があり発覚した。
  6. 経済的に息子夫婦の世話になっており、当事者に手術費用の捻出は難しい。繁殖期を迎える前に不妊手術をしなければ、さらに頭数が増える恐れがあることから申請を決定。
  7. 申請時の総数は23頭でうち8頭が手術済み。しかし、申請後に4頭の猫が出産。子猫が14頭増え、申請時に確認できなかった1頭を含めて現場の猫の総数は38頭となる。未手術15頭分でチケットを申請したが、出産した猫4頭は手術不可となった。11頭がチケットにより手術を受け、現場の手術済みの猫は19頭、未手術19頭(子猫14頭含む)となった。
  8. 未手術となった母猫4頭のうち2頭は子猫6頭とともにボランティアが保護。残り2頭と子猫8頭については当事者宅で子育て中である。子猫については、離乳次第ボランティアに譲渡を依頼するか、時期を待って手術するか検討中。申請時に把握できていなかったメス1頭のこともあり、2度目の申請を検討している。
  9. 手術後の猫の状況は次のとおり。当事者宅に30頭:手術済み19頭+未手術11頭(うち子猫8頭)、ボランティア団体による保護及び譲渡8頭:未手術8頭(うち子猫6頭)
  10. 手術前と比べて外猫の数が減り、周囲への糞尿等の被害が軽減した。
  11. 室内飼育の猫については、手術前と同様にケージ飼育で夜に時間を設けて運動させているが、今後、ボランティアの指導のもと改善を図る予定である。
  12. 室外飼育の猫については、ボランティアの協力を得て少しずつ譲渡を進め、最終的に面倒を見られる頭数を室内飼いとするよう当事者に話をしており、当事者も猫のために家を片付けているとのこと。
  13. ※新ひだか町2回目レポートはこちら

手術日 オス メス 耳カットのみ
5月12日 5 6 0 11
5 6 0 11

【現場写真(支援前)】

【現場写真(支援後)】

今回の取り組みを振り返り、改善すべき点や今後の配慮事項(報告書より)
町として初めての試みであり、各種調整に苦慮したが、おおむね無事に終了しほっとしている。
当事者に今回出生した子猫が14頭、手術で堕胎した子猫が11頭いたことを伝えたところ、深く反省していたことから、今後は家猫の飼育環境改善についても努力してくれることを期待したい。
申請から手術までに時間がかかり、4頭の猫が出産してしまったこと、手術前の捕獲や物品提供、手術後の預かりなど、多くの場面でボランティアの負担が大きくなってしまったことは反省すべき点と感じている。
2回目の申請についても関係団体や当事者と調整のうえ準備を進めたい。


どうぶつ基金スタッフコメント
申請当初は23頭でしたが、支援実施までに4頭の猫が14頭の子猫を出産。申請時に把握できていなかった1頭を含め、わずか1カ月ほどで38頭にまで増えていました。不妊手術をせずに、雌雄を同じスペースで飼育することの怖さはここにあります。だからこそ、多頭飼育救済においても「スグやる」「全部やる」が重要なのです。
一部の猫はボランティア団体に保護されましたが、当事者宅には子猫8頭を含む11頭の未手術の猫が残っています。また、飼育環境の改善も急務です。今回、手術を担当した獣医師から室内飼いの猫について筋肉量の不足を指摘されたとのこと。たとえ夜に運動の時間を与えていたとしても、写真のような狭いケージに閉じ込めておくのは虐待です。今後、飼育環境の改善が図られるようですが、そのためには、一刻も早く未手術の猫に不妊手術を行うことが必要でしょう。


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